業務用冷食・秋の新商品 コンセプトより明確に、時短・簡便に注力

更新情報・今週のヘッドライン

2025年3月第4週号

  • 全工程の自動化に目途 省人化ロボを冷食業界にも提供 ―― (一社)日本惣菜協会

    ▼キャプション▼
    冷凍食品の自動搬送ロボット、エレベーターにも対応
    ▼キャプション▼
    システム開発のタスクフォース

     (一社)日本惣菜協会は日本ロボット工業会との共催で18日に東京・霞が関の経済産業省講堂で会見を開き、惣菜協が取りまとめ、タスクフォースで進めている惣菜製造の省人化システムの開発の進捗を説明した。24年度の開発で、惣菜製造に関わる全工程を自動化する目途が立った。会員企業からの要望を3年以内に実現してシステムを普及させる。業界の垣根を越えて冷凍食品メーカーなどにも省人化システムを提供していく。

     24年度に開発したシステムのうち、「エレベーター経由冷蔵庫・冷凍庫への製品搬送ロボットシステム」は、冷凍食品などを製造所から階数が違う冷凍庫などに自動で搬送するシステム。実証実験では、パレット積みした約300kgの冷凍食品を搬送ロボットがエレベーターや保管庫の扉を自動で開けて運び、別の階の冷凍庫の空きスペースに置いて製造所に戻る流れで運用している。
     「麺惣菜盛付工程統合ロボットシステム」では、惣菜売場で販売する麺類の容器の中に、小袋、ネギを盛り付け、製品化して専用コンテナに移載し、冷蔵庫に入れる流れを自動化する。実証実験では製造ラインの七つの工程を自動化して人員を半分に削減した。
     「フライ投入兼弁当盛り付け工程統合ロボットシステム」は、一台で油調時のフライ品の投入と容器への盛り付けができるシステム。時間毎に別の工程を自動化できるため、稼働時間が長くなり、初期投資の回収期間が短くなる。
     「デジタルツインの実現場運用(アセンブリ型惣菜製造工程生産性向上)」は、生産計画を約10分で立案し、AIが最適化して提示するシステム。実証実験では、生産性が5%上がり、生産時間が37%削減する効果などが認められた。
     これらのシステムは、3年以内に売価を500万円以下に、対応する食材を100種類以上に、HACCP及び食品衛生法に対応する仕様に、一人分以下のサイズにした上で、低価格で即応性のある保守網も全国で構築する。

2025年3月第4週号 その他の記事

2025年3月第3週号

  • 新社長にデイカス氏、井阪社長「後悔はない」 ―― セブン&アイ

    ▼キャプション▼
    井阪氏とデイカス氏

     セブン&アイ・ホールディングスは5日に東京・紀尾井町の同社本社で会見を開き、5月27日に開催予定の株主総会を経て、スティーブン・ヘイズ・デイカス筆頭独立社外取締役が代表取締役最高経営責任者(CEO)に就任する役員人事を発表した。同社のトップ交代は約9年ぶり。初の外国人社長となる。井坂隆一社長は退任し、特別顧問に就任する。
     デイカス氏はこれまで、ファーストリテイリングシニアバイスプレジデントや西友CEOなどを歴任し、22年5月からは社外取締役として同社の経営に関わってきた。国内外の小売事業に造詣が深く、同社の実情にも明るいとされる。米国セブン─イレブンのFCオーナーの家に生まれ、経営陣としては唯一同社コンビニでのアルバイト経験がある。
     デイカス新社長は会見の席上で「近年、我々の成長の勢いはやや鈍化している。これを謙虚に受け入れなければならない」とした上で、日本発の優れた食品とそのサプライチェーンを海外事業に展開してグローバルな競争力を高める方針を表明。様々な取組のスピード感を上げて同社を再度成長軌道に乗せたいと抱負を述べた。
     井坂社長は退任の動機について事業構造の再構築に一定の目途が立ったことを上げ、「当社が新たな成長のステージに入り、グローバルな展開を強化する必要がある中で、デイビス氏はリーダーとして最高の人材」だと説明。社長として同社を率いた9年間を振り返って「心残りはない。思い切ってやった」と語った。

    ●非中核事業売却、北米のコンビニは上場

     併せて、今後の事業戦略も公表した。
     食品スーパー、専門店などの非中核分野の子会社を束ねるヨークホールディングスを、8147億円で米国ファンドのベインキャピタルに売却し、同社と創業家が35%の持ち分を買い戻す。9月の取引完了を予定している。
     北米でコンビニ事業を運営する7‐Eleven、Ink(SEI)は、26年の下期までに米国の主要な証券取引所に上場する。全株式の過半数を保有して決裁権は維持する。
     前述のヨークHDの売却益とSEIの新規株式発行で得られる原資は自社株買いに回す。30年までに約2兆円規模の自己株式を取得して資金を株主に還元する。株価の引き上げや敵対的買収に対する防衛力強化に繋がる可能性がある。
     セブン銀行の株式保有率は40%未満に引き下げて連結範囲から除外する。

2025年3月第3週号 その他の記事

2025年3月第2週号

  • 投入数大幅に減少、プレートの拡大は続く ―― 25年春夏家庭用新商品

     2025年春の家庭用冷凍食品新商品は本紙調査で主要冷凍食品メーカー23社から101品の発表数となり、昨年春の121品から20品の減少、一昨年春との比較では146品から40品以上の大幅減となった。リニューアル品も103品と前年の118品から減少した。今年も価格改定の影響は大きく、新提案は控え目。各社主力品の品質向上によるリニューアルに注力することで単価上昇を図っている。トレンドはワンプレート商品のさらなる広がり、新規参入に加え、メニューバラエティーも拡大。新たなフェーズに入った。
     新商品投入数が最も多いのは日清食品冷凍の12品、次いでニチレイフーズ、ニッスイが10品となっている。ニチレイフーズはリニューアルも多く21品、テーブルマークは25品をリニューアルした。
     カテゴリーでは近年、急成長を遂げるワンプレート商品への取り組みが目立つ。新規参入はイートアンド。明治も個食タイプのトレー商品でワンプレートとしての提案を図る。エスフーズも得意の畜肉を活かした洋食メニューで“冷凍弁当”からより“ワンプレート”の色合いを濃くした。メニューバラエティーの拡大も図られ、ニッスイの「ふっくらごはんとたらと野菜の黒酢あん」、ニップンの「五穀ご飯とあじの竜田揚げ彩り野菜の甘酢あん」、伊藤ハム米久の「さばめし」など先行組では特に魚を使ったメニューが目立つ結果となった。
     炊飯向け主食米がダウントレンドとなる中、冷凍米飯は伸長。そんな中、ニチレイフーズでは成長ドライバーとなる炒飯を強化した。主力の「本格炒め炒飯」をブラッシュアップ、新商品として「たっぷり卵の海老炒飯」を投入し、さらなる需要拡大を図る。
     炒飯ではマルハニチロも〈新中華街〉プレミアムラインの商品として「赤坂璃宮の海鮮炒飯」を投入。本格感を訴求した。
     日清製粉ウェルナも主力の個食パスタで単価アップの取り組みを進め、女性をメインターゲットにワンランク上の新シリーズ〈RICH-NA〉を一気に7品投入した。
     年々変化する気象条件の中で、長期化する夏への対応強化を図ったのはテーブルマークだ。「極細さぬきうどん」をラインアップに加え、うどんの選択肢を広げていく。
     トピックとしては日本ハム冷凍食品が15年ぶりに冷凍ピザを投入。グループとしてチルドで培った技術力をフルに発揮していく。

    ▼キャプション▼
2025年3月第2週号 その他の記事

2025年3月第1週号

  • 鳥取に市販用冷食工場 市販用冷食を一層拡大、西日本の生産拠点に ―― 極洋

    ▼キャプション▼
    グループ初の西日本地区の冷食生産拠点
    ▼キャプション▼
    井上社長

     極洋は2月26日、市販冷凍食品専用工場となる極洋食品㈱倉吉工場を鳥取県倉吉市に竣工した。3月より本格稼働する。同工場は同社グループ初の市販用冷凍食品専用工場かつグループ初の西日本地区の冷凍食品工場として、需要拡大が見込まれる市販用冷凍食品の事業の強化を図るとともに、西日本地区の生産拠点として物流コストの削減を図り事業強化と高収益化を目指す。市販用を製造する極洋食品㈱塩釜工場のノウハウを活かした製造ラインで市販用商品の需要に応えることで、同社食品事業の一層の拡大を図る。

     極洋食品㈱倉吉工場(鳥取県倉吉市関金町関金宿141)は、農産加工品の製造工場を極洋が取得・改修し、極洋食品㈱倉吉工場として稼働するもの。工場は平屋で、敷地面積は1万5800㎡、工場面積2727㎡。初期設備投資額は14億円。従業員は30名。
     生産品目は市販用油ちょう冷凍食品(水産素材フライ製品等)で同社の市販用商品である「ふんわりえびカツ」「タルタルソース入りえびカツ」などを生産する。ラインは1ラインで、塩釜工場と同じ機器、レイアウトとした。工程の特長である二度のバッター付けと細い粗いパン粉付け、二度のフライ工程で、サクサク食感と、調理時の商品のパンク等を防止している。
     生産計画では、25年度約1300t(初期生産能力1500t)、26年度以降は約2600tを目指す。
     同社は2014年に市販用冷凍食品市場に参入、2016年には冷食の基幹工場である極洋食品㈱塩釜工場を竣工、水産フライ系の市販用冷凍食品は同工場を中心に製造してきた。
     今後も需要増加が見込まれる市販用冷凍食品の事業強化及び高収益化に向けては、生産規模の拡大と西日本エリアへの物流コストを効率化が課題となっていた。今回の西日本拠点の新設により、東日本地区は塩釜工場から、西日本地区は倉吉工場から供給することで、生産能力の増強及び物流効率化を実現し、食品事業の強化を図っていく。
     同日倉吉市内で開かれた竣工パーティで井上誠社長は、「当社は10年ほど前に市販用冷凍食品に参入。塩釜工場で生産していた。塩釜から西日本地区は物流面では課題があった。物件を探していたところ、紹介され工場を作ることを決めた。従業員も当初想定の人数を確保できた。これで我々も倉吉市の一員だ。微力ながら市の発展に貢献していきたい」とした。

2025年3月第1週号 その他の記事

会社所在地

〒160-0008
東京都新宿区四谷三栄町
7番16号
黒田ビル2階