鳥取に市販用冷食工場 市販用冷食を一層拡大、西日本の生産拠点に ―― 極洋

グループ初の西日本地区の冷食生産拠点

井上社長
極洋は2月26日、市販冷凍食品専用工場となる極洋食品㈱倉吉工場を鳥取県倉吉市に竣工した。3月より本格稼働する。同工場は同社グループ初の市販用冷凍食品専用工場かつグループ初の西日本地区の冷凍食品工場として、需要拡大が見込まれる市販用冷凍食品の事業の強化を図るとともに、西日本地区の生産拠点として物流コストの削減を図り事業強化と高収益化を目指す。市販用を製造する極洋食品㈱塩釜工場のノウハウを活かした製造ラインで市販用商品の需要に応えることで、同社食品事業の一層の拡大を図る。
極洋食品㈱倉吉工場(鳥取県倉吉市関金町関金宿141)は、農産加工品の製造工場を極洋が取得・改修し、極洋食品㈱倉吉工場として稼働するもの。工場は平屋で、敷地面積は1万5800㎡、工場面積2727㎡。初期設備投資額は14億円。従業員は30名。
生産品目は市販用油ちょう冷凍食品(水産素材フライ製品等)で同社の市販用商品である「ふんわりえびカツ」「タルタルソース入りえびカツ」などを生産する。ラインは1ラインで、塩釜工場と同じ機器、レイアウトとした。工程の特長である二度のバッター付けと細い粗いパン粉付け、二度のフライ工程で、サクサク食感と、調理時の商品のパンク等を防止している。
生産計画では、25年度約1300t(初期生産能力1500t)、26年度以降は約2600tを目指す。
同社は2014年に市販用冷凍食品市場に参入、2016年には冷食の基幹工場である極洋食品㈱塩釜工場を竣工、水産フライ系の市販用冷凍食品は同工場を中心に製造してきた。
今後も需要増加が見込まれる市販用冷凍食品の事業強化及び高収益化に向けては、生産規模の拡大と西日本エリアへの物流コストを効率化が課題となっていた。今回の西日本拠点の新設により、東日本地区は塩釜工場から、西日本地区は倉吉工場から供給することで、生産能力の増強及び物流効率化を実現し、食品事業の強化を図っていく。
同日倉吉市内で開かれた竣工パーティで井上誠社長は、「当社は10年ほど前に市販用冷凍食品に参入。塩釜工場で生産していた。塩釜から西日本地区は物流面では課題があった。物件を探していたところ、紹介され工場を作ることを決めた。従業員も当初想定の人数を確保できた。これで我々も倉吉市の一員だ。微力ながら市の発展に貢献していきたい」とした。
全社最適浸透させる 泉佐野工場の効率化に手応え ―― ケイエス冷凍食品・古賀社長

ケイエス冷凍食品の古賀正美社長は2月26日に都内で会見を開き、2024年度の取り組みと今後の事業戦略などについて概要次の通り説明した。
当社の24年度業績は、売上が前年並み、利益は前年越えで着地した。家庭用のは前年並みだった。8月以降に鶏つくね串の配荷が鈍化したものの、ごまだんごやだし巻き玉子が好調に推移。食卓惣菜は未だ苦戦している。業務用も前年並みだった。外食ルートで〈東方屋台めぐり〉やミニハンバーグなどが大幅に伸びた。学給向けは大型給食センターへの提案強化や栄養価を高めた商品の強化が奏功して販路が広がった。デリカ向けはタレ付き肉だんご以外が苦戦している。
24年の振り返りについて、生産面では泉佐野工場の効率化と生産性向上に注力した年だった。この取組によってグループ内の「工場強化プロジェクト」で総合1位を獲得できた。商品面ではマーケティング部門と開発部門の連携が進み、業務フローの改善にも取り組んだ年だった。
今期の取組について、営業面では良質な商談でトップラインを引き上げ、自社工場の稼働率を高めたい。主力の鶏つくね串は導入が手薄なエリアで拡販に取り組む。ごまだんご、だし巻き玉子、畜肉弁当品の販売を強化し、〈中華菜皿〉の市場定着にも取り組みたい。業務用のうち外食は〈東方屋台めぐり〉を拡販し、給食はターゲットを明確化した営業活動でタレ付き肉だんごの採用率を上げていく。生産面では泉佐野工場の更なる効率化に取り組む。次世代リーダーの育成と省人化投資も進める。。
なお、私が社長就任時に掲げた「全社最適」という考え方を社内に浸透させる取り組みは、未だ道半ばだ。社員の声に耳を傾け、私自身が対話を増やして社員全員が同じベクトルを向いて業務に当たる社風を醸成していきたい。
「シン・食事サービス」公開 オリジナル商品は冷凍8割 ―― 日清医療食品

立林社長(左)と島田部長

ミキサー食はマルハニチロと日清オイリオが共同開発
日清医療食品は、給食受託業務のさらなる向上とサービス拡充を目的に開発した、持続可能な食事サービス「シン・食事サービス」をスタートした。2月26日からは「メディケアフーズ展2025」に出展し、新たな食事サービスモデルを実演、注目を集めた。
「シン・食事サービス」は、①栄養管理業務のセンター化(DX化)②リヒートウォーマーの導入③オリジナル商品の活用を通じて、安全でおいしい食事を提供し、食べやすく、食べさせやすく、かつ少量高栄養で省人化省力化を進めたサービスとなっている。
メーカー17社と共同開発したオリジナル商品は、加工食品の活用で給食現場での仕込み調理の工程を減らし給食提供をシンプルにスピーディにアップデート。冷凍食品が8割となっている。献立には“時間栄養学”を取り入た。
26日に会見した立林勝美社長は、「昨年10月にサービスを開始し効果も出始めている。あらゆる産業で持続可能性が大きなテーマとなっており、取分け医療福祉の分野では担い手の確保の問題は深刻な状況にある。医療福祉給食を主たる業務とする当社にとっても将来の運命を左右する最優先の課題であり、イノベーションを達成したい」とした。
島田理子営業本部受託管理部部長は、「介護人材の不足、新規の栄養士免許交付者の減少から、栄養士を配置しないビジネスモデルを構築した。食事は、単に完調品を提供するのではなく、刻み食、ミキサー食需要の増加に応えて調理済み食品、半調理済み食品を開発した。持続可能な食事サービスを進化させ、未来につなげたい」とした。
【協力17社(50音順)】▽味の素▽味の素冷凍食品▽伊藤ハム▽ケンコーマヨネーズ▽スターゼン▽大冷▽ニッスイ▽ニチレイフーズ▽日本ルナ▽ノースイ▽ハウスギャバン▽ハナマルキ▽丸大食品▽マルハニチロ▽みやけ食品▽森永乳業▽ヤマサ醤油▽ヤマダフーズ
川崎第一センター増設凍が稼働 市販冷食保管、モデル倉庫に ―― マルハニチロ物流

自動倉庫の保管能力は約1万4,000パレット

小門社長
マルハニチロ物流は27日、3月1日に稼働する川崎第一物流センター増設部分の南棟の内覧会及び竣工記念式典を開催した。
増設した南棟は既存の冷蔵倉庫・北棟と接続した延べ床面積約4958㎡の自動倉庫で、同社の今後のモデル冷蔵倉庫に位置付けている。投資金額は63億5000万円。設計・施工は東急建設。自動倉庫質の保管能力は約1万4000パレット。増設棟の稼働で川﨑物流センターの総庫腹は約6万5000tに、東扇地区に所在する第1~第3センター合計の庫腹は12万t超に増えた。
社外の倉庫に保管していたマルハニチロの家庭用冷凍食品の保管を中心に、農畜産品などの保管と運搬取扱い事業、通関事業及び流通加工事業に活用する。外部へ委託していた冷凍食品などの保管業務を同社に移管することで、保管コストをグループに還流させる。今後増加が見込まれる高回転貨物を取り扱い、今後予定されているグループ貨物の物流効率化に寄与する狙いもある。
増設棟では、自動倉庫を採用して入出庫の自動化と省人化を進め、フォークリフト作業や人手をかけた荷役を削減させることで貨物の破損を減らしてより高品質なサービスを提供する。自然冷媒を使った前川製作所の冷凍設備やLED照明、節電に繋がる人感センサーなど、環境に配慮した設備を多数導入している。建屋には大規模地震の発生に備えてPCaPC免震構造を採用して高い安全性を実現した。既存の北棟との接続部分となる渡り廊下に断熱効果がある高速開閉タイプのスパイラルシャッターを設けることで庫内の温度を一定に保ち、保管の品質を高めている。
祝賀会に登壇した小門賢一社長は「増設棟はグループの物流効率化に繋がる重要な施設だ。このセンターが社会環境の変化に迅速かつ適切に対応するための機能を発揮し、当社グループの更なる成長に向けた役割を果たせるように役職員一同取り組む」と語った。
明治、日東ベストが受賞 ―― サミット新商品人気コンクール

デイリー部門5位

オリジナル商品部門2位
サミットはこのほど、第45回「サミット新商品人気コンクール」入賞商品を決定、2月25日には東京渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで感謝式を実施した。今回、冷凍食品はデイリー部門で明治の「銀座洋食ビーフストロガノフ2個入」が5位に入賞。また、新設されたオリジナル商品(グロサリー)部門では日東ベストの「ご家庭で作るようなやさしい味わいのハンバーグ」が2位に入賞した。
「銀座洋食ビーフストロガノフ2個入」はバランスのとれた味付けでコクも感じられる点が評価されるとともに、「ご家庭で作るようなやさしい味わいのハンバーグ」は肉の口当たりがよく、まさに手作りのような食感が評価された。
感謝式で挨拶に当たったサミットの服部哲也社長は「この新商品人気コンクールは第45回ということで長い年月実施してきたが、45年前も現在もそしてこれからもメーカーの皆様にとって商品とは子供のような存在であり、新商品は産まれたての赤ん坊のような存在だろう。すくすく育つことが皆様にとって一番嬉しいことであり、楽しいことだと思う。また、消費者の皆様には暮らしを豊かに、楽しく便利にしてくれる存在だ。当社としてはこれからも楽しく新商品をお客様に伝え販売していきたいと考えている」とした。
日東ベストの塚田莊一郎社長は受賞商品について「当社が市販用に本気で取り組もうと考えたきっかけがこの商品であり、そういった意味では幸先が良いと感じている。我々のやろうとしていることを、得意としているハンバーグで評価いただけたことを嬉しく思う」とした。