新社長にデイカス氏、井阪社長「心残りはない」 ―― セブン&アイ
井阪氏とデイカス氏
セブン&アイ・ホールディングスは5日に東京・紀尾井町の同社本社で会見を開き、5月27日に開催予定の株主総会を経て、スティーブン・ヘイズ・デイカス筆頭独立社外取締役が代表取締役最高経営責任者(CEO)に就任する役員人事を発表した。同社のトップ交代は約9年ぶり。初の外国人社長となる。井坂隆一社長は退任し、特別顧問に就任する。
デイカス氏はこれまで、ファーストリテイリングシニアバイスプレジデントや西友CEOなどを歴任し、22年5月からは社外取締役として同社の経営に関わってきた。国内外の小売事業に造詣が深く、同社の実情にも明るいとされる。米国セブン─イレブンのFCオーナーの家に生まれ、経営陣としては唯一同社コンビニでのアルバイト経験がある。
デイカス新社長は会見の席上で「近年、我々の成長の勢いはやや鈍化している。これを謙虚に受け入れなければならない」とした上で、日本発の優れた食品とそのサプライチェーンを海外事業に展開してグローバルな競争力を高める方針を表明。様々な取組のスピード感を上げて同社を再度成長軌道に乗せたいと抱負を述べた。
井坂社長は退任の動機について事業構造の再構築に一定の目途が立ったことを上げ、「当社が新たな成長のステージに入り、グローバルな展開を強化する必要がある中で、デイビス氏はリーダーとして最高の人材」だと説明。社長として同社を率いた9年間を振り返って「心残りはない。思い切ってやった」と語った。
●非中核事業売却、北米のコンビニは上場
併せて、今後の事業戦略も公表した。
食品スーパー、専門店などの非中核分野の子会社を束ねるヨークホールディングスを、8147億円で米国ファンドのベインキャピタルに売却し、同社と創業家が35%の持ち分を買い戻す。9月の取引完了を予定している。
北米でコンビニ事業を運営する7‐Eleven、Ink(SEI)は、26年の下期までに米国の主要な証券取引所に上場する。全株式の過半数を保有して決裁権は維持する。
前述のヨークHDの売却益とSEIの新規株式発行で得られる原資は自社株買いに回す。30年までに約2兆円規模の自己株式を取得して資金を株主に還元する。株価の引き上げや敵対的買収に対する防衛力強化に繋がる可能性がある。
セブン銀行の株式保有率は40%未満に引き下げて連結範囲から除外する。
フローズン オブ フューチャー決定 ―― FOODEX JAPAN
冷食・アイス6部門のGP商品を表彰
賑わうフローズンエリア
(一社)日本能率協会など5団体は11日~14日の4日間、「第50回国際食品・飲料展(FOODEXJAPAN2025)を東京・有明の東京ビッグサイトで開催した。主催者企画として11日に家庭用冷凍食品・アイスクリームの魅力・価値ある商品を選出して公表する「フローズンオブフューチャーアワード2025」の受賞式を執り行い、6部門でそれぞれグランプリ、準グランプリ、サード・プレイスを決定。イオン幕張新都心店で特設ブースを展開するなど、業界と連携して生活者に商品の魅力を伝え、市場の活性化に繋げていく。
同アワードで選出した各部門のグランプリは、惣菜部門がニップン「いまどきごはん 彩りスープカレー」、スナック部門がニチレイフーズ「たっぷり卵のえび炒飯」、名店・外食プレミアムご当地品部門がマルハニチロ「五目あんかけ焼きそば」、ヘルス&ウエルネス部門が千房ホールディングス「千房 国産米粉のお好み焼」、サステナブル部門がニッスイ「レンジでできるミックスフライ」、アイスクリーム・デザート部門がハーゲンダッツジャパン「スプーンクラッシュあふれるショコラ 濃い抹茶」だった。
同アワードは、「FOODEXフローズンアワード」として開催されていた企画を、2023年より「フローズンオブフューチャーアワード」名称に変更して例年実施している主催者企画。今回は、6つの部門を設定し、各部門のエントリー商品をバイヤーと一般消費者の計100名が審査してグランプリからサードプレイスまでの商品を決定した。
授賞式ではグランプリの受賞社の代表が登壇して商品の特長などについて説明した。
受賞式の開会に当たり挨拶した七尾宣靖FOODEXJAPAN企画委員会委員長(イオンリテール常務執行役員食品本部長)は、「冷凍食品はイオンの店舗でも最も売上の伸長率が高い商品で、今後は国内だけではなく世界の市場でも伸長するカテゴリーだ。この将来性の高い部門を訴求するイベントを、来年も、再来年も開催して市場の活性化に繋げていきたいと考えている」とした。
冷凍野菜の開発強化 ―― イオン・トップバリュ
伸長傾向の凍菜はさらに商品数を増やす
イオンは6日、千葉県千葉市のイオンモール幕張新都心で「トップバリュ2025年商品戦略説明会」を開催し、25年度のトップバリュの開発方針などについて説明した。
冷凍食品では、冷凍野菜の開発を強化して商品数を増やす。価格訴求型ブランド〈トップバリュベストプライス〉商品の商品構成を高め、生活者の節約志向に対応していく。直近で刻み生姜などを展開した薬味系商品の開発も継続する。新機軸商品の開発にも努めてラインアップの幅を広げる。同社では冷凍野菜の売上が生鮮品の高騰や簡便化ニーズの高まりで例年伸び続けていることから、今後も冷凍食品の重要カテゴリーに位置付けて強化する。
なお、2月12日には〈ベストプライス〉ブランドから冷凍「スライスきゅうり」(250g、198円)を発売している。キュウリ約3本文をスライスカットし、自然解凍で食べられる商品で、幅広いメニューに使える利便性の高さと青果物と遜色ない価格で発売後に人気が沸騰しているという。
その他の品目では、冷凍フルーツの開発を加速する。この部門の売上は冷凍野菜よりも更に高い伸び率を記録している。
米価の高騰を受けて、米飯の代替需要を取り込める調理品の開発にも取り組んでいる。
冷食1位に「まるかじゅり」 ―― 日本アクセス新商品GP

好評の新フレーバー
日本アクセスは5日、東京・大崎の本社で「新商品グランプリ2025春夏」結果発表会を開催した。冷凍食品部門の1位に、アヲハタ「まるかじゅり ピーチ&グレープフルーツ&グァバ」が選ばれた。同部門2位とのダブル受賞となった。総合グランプリは、加工食品部門の理研ビタミン「パッとジュっとねぎ塩麹チキン用」。
冷食部門の受賞商品は、2位アヲハタ「くちどけフローズンアプリコット」、3位日清製粉ウェルナ「マ・マーRICH―NA 金時鯛と明太子のおだしパスタ」、4位餃子計画「創業の味しょうが生餃子」、5位ニップン「いまどきごはん 彩りスープカレー」だった。時代の流れを反映した新商品を評価する〈トレンド賞〉は、冷凍食品部門の1位に日清食品冷凍「完全メシ 羽根つき肉餃子」が選ばれた。今回の「新商品グランプリ」のエントリー数は64社、79品。そのうち、冷凍食品部門は16社(11品)だった。
「新商品グランプリ」は、雑誌『Mart』とのタイアップで09年にスタート。量販店で販促イベントやSNSでのPRを実施してメーカーと量販店の売上向上に繋げている。23年から日本アクセス単独の規格に刷新し、メディア向けの記者会見方式にした。
食品産業優良企業、ニッスイ、テーブルマークに大臣賞 ―― 食品産業センターなど
(一財)食品産業センターと(公財)食品等流通合理化促進機構は11日、東京・千代田区の如水会館で「第46回食品産業優良企業等表彰」の表彰式を開いた。受賞者は、農林水産大臣賞9点、農林水産省大臣官房長賞2点、食品産業センター会長賞4点の計15点。
業界関係では、ニッスイ、テーブルマークが農林水産大臣賞を受賞した。
ニッスイは、経営革新タイプ(栄養・健康)で、スケソウダラのたんぱく質の研究成果を生かした「速筋タンパクブランド」の商品化を評価された。
テーブルマークは、CSR部門で受賞。同社は08年に発生した、関連会社の中国委託工場において従業員が製造する冷凍餃子へ故意に農薬を混入、当該製品を輸入・販売したことにより多くのユーザーに健康被害を及ぼした事件から得た反省と教訓により、食の安全にかかわるグループポリシーを明確化した上で、管理体制の抜本的見直しを実施。食の安全管理体制を再構築したことで食の安全管理状態の指標となるご指摘発生率を当初の5分の1まで減少させた。これら「責任あるサプライチェーンマジメント」等CSR(企業の社会的責任)への具体的な取組が評価された。