新社長に中村氏、初の技術分野出身者 ―― 味の素

中村新社長と藤江新会長
味の素は3日開催の取締役会において、同日付で代表執行役社長に中村茂雄執行役常務ラテンアメリカ本部長が就任することを決定した。藤江太郎社長は執行役会長に就任した。今回の社長交代は藤江氏が12月に体調を崩し、現状順調に回復しているものの完全回復には一定期間擁する見通しであることから、藤江氏の申し出があり、指名委員会協議の下、決定したもの。同社では初の技術分野出身の社長となる。
新社長となる中村氏は同社入社以来、味の素ビルドアップフィルムを軸とする電子材料事業の立ち上げおよびその成長をけん引し、ラテンアメリカ本部長兼ブラジル味の素社長として食品事業およびバイオ&ファインケミカル事業の事業基盤強化と大きな成長の実現に多くの実績を残してきた。1967年生まれの57歳。
同日、都内で行われた会見に参加した藤江会長は社長交代の経緯を説明した上で「後任の中村氏は電子材料ビジネスを立ち上げ牽引してきたことに加え、ラテンアメリカ本部長、ブラジル味の素の社長として食品事業もバイオアンドファインケミカル事業も事業基盤を強化しながら大きく成長させてきた人材。味の素グループを持続的に飛躍的に成長させていくために一番ふさわしい人材だと考えている。初めての技術分野出身の社長であり、中村氏の持つスピード感、スケール感、変革の推進力がグループにとって重要だと考えている」とした。
中村新社長は「急遽、藤江より襷を受け継ぐこととなった。身が引き締まる思いでいっぱいだ。ASV経営と志を受け継ぎ、私の強みである高速開発システムを展開することで4つの成長領域を中心とした2030年のありたい姿を前倒しで実現することに全身全霊で取り組む」とした。
冷食+自動調理の試金石 ―― ニチレイフーズ・奥村部長

奥村部長

テラスニチレイ
ニチレイフーズの奥村剛飛広報部長兼ライン&マーケティング戦略部マーケティング部長は、4日に開かれた2025年大阪・関西万博未来の食の楽しみ発表会の席上、本紙の取材に応え、要旨次の通り述べた。
アーステーブル未来食堂の「テラスニチレイ」は、冷凍食品と自動調理機器を生かした厨房が特長。人は機器の前には立つが、店舗内の調理は全て自動とする。注文を受けて店員が自動調理器を運営する。
未来食堂を意識した設計であり、厨房での調理作業はお客様からも見られるようにする予定だ。
メインの「スペシャル炒飯」は、一昨日も当社研究所で試作を行ったが、自動調理に合わせ品質を安定させる特別スペックを組んでいる。卵、セレクト具材の焼豚・五目・海老、フレーバーは醤油・旨辛・にんにくをお客様が調整できる。
冷凍食品+自動調理のメリットは、3つ。作業効率が良いこと、人手を省ける部分があること、安定した品質を届けられること。
今の時代の人手不足に対しては、オートメーションを進展させることで将来的に冷凍食品が人手不足の課題解決をしていける。
品質の安定については、今回の「スペシャル炒飯」をまずは万博で試金石として提供し、しっかり実務を検証した上でお客様に売り出す考えだ。
今川焼は、率直に表現すると「凍らない」仕上げ。適度に冷たい状態で食べられる。特に初夏からの期間は、冷たく・おいしく食べられる工夫をしている。万博のみで提供する非売品であり、ぜひ会場で味わっていただきたい。
外食向けにワンランク上の新シリーズ投入 ―― 日東ベスト・新商品

ゴールドディッシュシリーズ
日東ベストは1月31日、外食向け〈ジョイグルメブランド〉新商品として16品、惣菜・給食向け〈ベストブランド〉新商品・リニューアル品として26品を発表した発売は1月より。
今回、〈ジョイグルメブランド〉にはワンランク上の価値を目指した“こだわり”のシリーズ「Gold Dish(ゴールドディッシュ)シリーズ」を新たに投入した。ラインアップは「JG国産牛ハンバーグ」「JG北海道産黒毛和牛 牛めしの具」「JG山形豚カツ」の3品。今後もラインアップ強化を見込んでいる。インバウンをはじめとしたメニュー売価の上昇に対応した。「当社にとっては今までにない価格帯の商品。肉にこだわり、作り方にこだわり、工場の技術力をふんだんに投入した」(渡辺常務)。
また、プラントベース「ボタプラス」を新たにシリーズ化。新商品として「ボタプラスミニハンバーグ」「ボタプラスボール」「大豆ミートのバーベキュー風」「ボタプラスパティ」を投入した。大豆由来の植物性たんぱくをベースにし、野菜・果物などで旨みを底上げした。
人気の中華ラインアップには「ごろっとお肉の豚角煮丼の素」「四川風麻婆豆腐(熟成豆板醤使用)」を追加。デザートメニューには汎用性の高い「フレンチトースト」「ふわふわロール(カスタード)」を投入した。
鹿児島に冷食新工場 ―― ニップン
ニップンは1月30日、2025年4月1日より連結子会社となる畑中食品に冷凍食品新工場を建設することを発表した。竣工は26年度末を予定している。
生産品目は家庭用冷凍食品全般。生産能力は1億1400万食/年。今後の需要拡大を見据え、供給体制の更なる増強が不可欠と考え、今回の決定に至った。
新工場では自動化技術の導入による更なる省力化の推進に取り組み、その製造能力は同社およびグループ会社の冷凍食品工場において食数換算で最大規模になる予定となっている。
所在地は鹿児島県出水市平和町520番地、敷地面積約4万2600㎡、投資額は170億円。
■横浜市都筑区にR&Dセンター移転
なお同社は同日、研究開発機能の強化と利便性向上に加え、土地の有効活用等を図るため、現在の神奈川県厚木市から横浜市都筑区に研究開発拠点を移転し、「ニップンR&Dセンター」を設置することも発表。26年10月より新拠点において事業を開始する。
同センターでは既存建物をリノベーションするに当たり、柱や床等の主要構造物を最大限活用し、環境配慮型内装材を積極的に採用することにより、CO2排出量を大幅に抑制し、環境負荷を最小限に抑える。
両計画の説明に当たった川﨑裕章取締役常務執行役員は「総額300億円規模の美味しさへの投資を通じ、ニップンはその経営理念である『人々のウェルビーイングの追求』に取組んでいく」とした。