冷凍食品新聞社 発行日(週刊・毎週月曜日)購読料1年33,600円(+税)昭和44年6月19日第三種郵便物認可

今週のヘッドライン|2024年9月第1週号

24年秋冬家庭用新商品 主力強化メインに ―― 品位上げ単価アップ

 2024年秋の家庭用冷凍食品新商品は本紙調べで24社から134品、リニューアル品129品が投入された。価格改定を控える中で絞り込みの進んだ昨年に比べ新商品は27品、リニューアルは46品の大幅増となった。各社、単価アップに伴う品位の向上を進めた結果、リニューアル品が増加。また主力商品を見直し、新商品として発売する動きも活発だった。全体的な傾向としては、各社主力ブランド・商品の品質アップに注力。また、食卓を意識したプレミアム品質の商品投入、ワンプレートの充実も引き続き図られた。

 弁当向け商品で新機軸の商品を提案したのが味の素冷凍食品だ。“ニッポンのお弁当づくりを変える!”をキャッチフレーズに投入した「おべんとPON」は従来にないサイズ感で、陳列効率に配慮する他、積載効率も良く、輸送効率向上、保管費の削減にも貢献する商品を実現した。
 ニチレイフーズは「本当に旨い担々麺」で〈汁あり〉〈汁なし〉が選べるデュアル調理のトレイ入りの担々麺を投入。マルチ調理品としては日本ハム冷凍食品も「もちもち皮のにんにく丸餃子」で5通りの調理方法を提案している。
 冷凍麺・パスタメーカーを中心に進んだのが、主力商品・ブランドの刷新だ。テーブルマークは50周年を迎えた主力の「カトキチさぬきうどん5食/3食」のもちもち感や喉ごしをアップ。日清製粉ウェルナは〈THE PASTA〉レギュラーシリーズ8品を、日清食品は〈日清本麺〉4品の品位向上や具材感アップを図っている。
 食卓ニーズに応える製法・原料にこだわった高単価品にも各社力を入れており、マルハニチロは〈新中華街〉の本格中華を軸にした展開を図る他、ニッスイでは本格こだわり層をターゲットとしたピラフ「大きなえび 海老ピラフ」、日本ハム冷凍食品では「肉汁溢れるプレミアムハンバーグ」の投入が見られた。
 近年、売場でコーナー化が進み、各社の商品投入が進むワンプレートメニューもさらに充実している。生産体制が整ったニップンは〈よくばりプレート〉に3品追加、ニチレイフーズは〈三ツ星プレート〉で「和風ハンバーグ&明太クリームパスタ」を発売、米久も冷凍弁当〈お肉気分〉シリーズを新たに投入した。
 その他、新たな動きとしては、明治は発売30周年を迎えた〈銀座〉ブランドに新シリーズ「銀座洋食亭」を追加。ニチレイフーズが“たんぱく質摂取”をテーマとした健康訴求が商品「エブリオンミール」をEC・小売両面で展開。またロック・フィールドが今後、春・秋シーズンに合わせたコンスタントな商品提案をEC・小売向け商品で行っていく方針を明らかにしている。

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収穫から4時間で加工 ―― ジェイエイめむろフーズ

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(左から)JAめむろ三戸部良太課長、戸水一範課長、棚瀨組合長、ノースイ石橋課長、JAめむろ須藤昌彦部長
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大型のハーベスターで枝豆を収穫

 ジェイエイめむろフーズ(代表取締役廣江英幸)は8月22日~23日に北海道芽室町の本社で会見を開き、同社が製造し、ノースイが販売する冷凍枝豆の製造を公開した。
 同社はJAめむろの100%子会社として1993年に設立。北海道産原料にこだわった冷凍野菜を年間約1万5000t製造する国内有数の加工拠点として知られている。冷凍枝豆の製造は平成6年から本格的にスタートし、市販向けに多様な商品を提供してきた。今期から販路を業務用にも広げている。販売の動向を検証した上でオリジナル商品の開発を進め、来期には〈ノースイ〉ブランドで商品を展開する。
 同社が製造する冷凍枝豆は、早生品種の「サッポロミドリ」、晩生品種の「大袖の舞」、中生品種の「夏風香」の3品種が原料になる。今期の作付け面積は418haで、そのうち「サッポロミドリ」が57%、「大袖の舞」が40%、「夏風香」が3%を占める。播種や収穫の時期が異なる3品種を栽培することで、異常気象や突発的な災害などが発生した際のリスクに備えている。

●ハーベスターで大規模収穫、工場に直送

 枝豆の生産は2011年に設立した「芽室町枝豆生産組合」(棚瀬陽一組合長)の198戸が担っている。圃場はジェイエイめむろフーズの本社工場から車で30分以内の近郊に所在し、各生産者が農協から使用農薬の選定、栽培技術の指導、防除情報の提供や播種・収穫時期の支持などを受けながら、統一基準で生産している。
 収穫には、フランス製の大型収穫機(ハーベスター)計6台を活用している。ハーベスター1台とトラック2~4台が1チームになり、収穫した原料を工場に直送して4時間以内に加工することで、採れたての旨味、風味、色味を損なわない冷凍枝豆を製造している。
 冷凍枝豆の製造工程は、「仕掛品の加工」「選別室での選別」「パッキング」の三つの段階に分けられる。
 製造は、ノースイのバックアップを受けて品質管理を徹底し、各工程で幾度も人手や機械を使った検品を実施している。
 説明に当たったノースイの石橋恭介冷食事業本部農産事業部製品管理部課長は、「北海道は圃場が広大で大型のハーベスターで大規模収穫できるため、短時間で新鮮な冷凍枝豆を製造できる」とした上で、「台湾産やタイ産の不作によって今後は国産品の需要が高まる。需要の先行きを見越して、家庭用、業務用の両軸で国産品の販売を強化していく」としている。

市冷協・岡村顧問が死去

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 岡村智氏(おかむら・さとし=首都圏市販冷食連絡協議会[市冷協]顧問、創設者・初代会長)病気療養中のところ8月8日死去、83歳。通夜・告別式は親族のみで執り行った。喪主は妻、藤子(ふじこ)さん。
 後日、市冷協によるお別れの会を執り行う予定。
 岡村氏は1941年3月1日生まれ。日本綜合冷凍食品の社長などを務めた。
 1987年1月、卸の立場から市販用冷凍食品の市場活性化に貢献することを目的に、「首都圏市販冷凍連絡協議会」を創設、初代会長を務めた。長きに渡り市販冷食の普及啓蒙活動に尽力してきた。

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