日台で更なる連携誓う ―― 日台凍菜懇
日台から122人が参加
魏理事長
中井会長
台湾冷凍疏果工業同業公会(魏東啓理事長)と輸入冷凍野菜品質安全協会(中井清典会長)は6月26日、東京都品川区の品川プリンスホテルで「2024年日台冷凍農業品貿易会議」を開催した。日本側から84人、台湾側から38人が出席した。会議では魏理事長が23年の対日枝豆供給量が天候要因で減少したとした上で、日台の連携で難局を乗り切ろうと呼びかけた。中井会長は対面式の交流の重要性について触れ、両国の関係強化で業界を更に発展させると誓った。引き続き開催した懇談会には、流通、加工、生産に関わる日台の関係者が多く参加し、盛会となった。
会議では、台湾側から魏理事長が挨拶に立った。魏理事長は、「2023年の日台の輸入状況を振り返ると、日本向けの枝豆輸入で台湾は中国とタイを抑えて1位となった。ただ、22年比では天候要因などで3318t減少している。今年は天候に恵まれて回復することを期待したい。円安などの影響で日本の食品輸入を取り巻く環境は、厳しくなっているが、この難局を日台の連携で乗り切っていきたい」とした。
また魏理事長は、従来台湾で発行していた植物検疫証明書について、WTOからの通達で証明書の第5項目である冷凍植物及び植物製品の証明書の添付が必要なくなったことを受けて、発行を停止したと報告した。今後証明書の添付が必要な場合は、日本側の管轄機関に対して証明書の発行を要請した上でその証明を注釈することになるとして、日本側の協力を呼び掛けた。
日本側からは中井会長が挨拶に立ち「昨年高雄で開催した日台の懇親会では、対面式の交流の大切さを改めて感じた。輸入を取り巻く環境は円安などで厳しい環境にあるが、双方の交流を通じて日台業界を更に発展させていきたい」とした。
楊煜徳台湾区冷凍疏果工業同業公会冷凍豆類小組招集人が、台湾産冷凍枝豆・ほうれん草の供給状況を報告した。22年の対日供給実績は、枝豆が2万4381t(22年2万4381t)、冷凍ほうれん草が615t(同718t)だった。23年の春の作付けは、枝豆が3772ha、ほうれん草が37ha、製品数量は枝豆が1万7000t、ほうれん草が450tを見込むと報告した。
総会では、塚本知玄岩手大学名誉教授が「枝豆と健康」について、鄭大青食品工業発展研究所技師が「高齢者向け豆製品市場の可能性」について講演した。
懇親会の日本側の来賓祝辞は矢野良一ライフフーズ社長、閉会挨拶は安田俊隆東洋水産品質保証部長。
刀との協業を発表 ―― ニップン
前鶴ニップン社長と森岡刀社長
ニップンと刀は6月20日、都内で「ニップン×刀 協業発表会」を開催し、同協業を通じた両社の取組みとその成果について発表、将来展望として〈オーマイプレミアム〉ブランド(冷凍パスタ・乾燥パスタ)で売上目標120億円を目指していく方針を示した。
挨拶に立ったニップンの前鶴俊哉社長は、刀との取組みを「人的投資」とし、本社から現場までが一貫して消費者起点に生まれ変わる“本気”の組織改革について言及、一例として本社における広告・開発・営業などを集約した新マーケティング組織の立ち上げや、営業現場でのパスタ購入者を起点とした冷凍・乾燥パスタを横断した組織体制づくりなどを挙げた上で、「刀が徹底的に現場に入り込み、ニップンの社員が実践を通してノウハウを習得することで、ニップンに強いマーケティングの力が積みあがっているという手応えを感じている」とした。
刀の森岡毅社長は、企業がマーケティングを“本気”で導入すれば、成熟市場やコモディティ市場でさえ動かし成長することが可能とし、〈オーマイプレミアム〉は、まずブランド№1の冷凍パスタで強みである“おいしさ”を強化し、次に乾燥パスタでも一貫した“おいしさを実感できる”新商品を展開、パスタ市場において一つのブランドに統一した価値を集中させることで、効率的に成長できる有効性を伝えた。
なおマーケティング戦略と組織改革を“本気”で実行した結果、2023年10月の施策開始以来、前年同期比でオーマイプレミアムの冷凍パスタが120%伸長。乾燥パスタは、今年3月に発売の新商品「もちっとおいしいスパゲッティ」の導入で同116%と大きく伸長し、2カ月で1000万食を超える販売数量に到達したことが報告された。
コラボで冷食の新たな価値訴求 ―― マルハニチロ×シャープ
Yuuさんが実演
マルハニチロ・金谷社長
マルハニチロは家庭用冷凍食品で、家電大手シャープとのコラボを始動する。
6月25日に都内で、マルハニチロの「極旨!ももから揚げ」とシャープのウォーターオーブン「ヘルシオ」のコラボ体験イベントを開催、食や料理の情報を発信しているブロガー20名を招待し、人気の料理研究家Yuuさんのアレンジレシピの試食も行い、「極旨!ももから揚げ」の美味しさ、「ヘルシオ」の機能を体験した。マルハニチロは家電メーカーとコラボは今回が初となる。冷凍食品メーカーと家電メーカーの異業種のコラボで、冷凍食品の新たな価値の創造を目指していく。
試食会では、まず通常の電子レンジで調理したものと、ヘルシオで調理した「極旨!ももから揚げ」を比較試食。「ヘルシオ」調理の方が、「衣がサクサクで(通常の電子レンジより)食感が違う」、「均一に加熱されている」などの感想を述べた。その後、インスタグラムで100万フォロワーを持つ料理研究家Yuuさんによる、ヘルシオを使った「ゴロゴロ野菜の甘酢あん」を手際よく、ヘルシオを活用したメニューを提案した。
マルハニチロの金谷信一郎加工食品ユニット市販用冷凍食品事業部長は、「当社は冷凍食品メーカーとして、家電メーカーと組んで面白いことができないか考えていた。ちょうどその時、シャープさんと知り合う機会があり、何か一緒にできないかと声をかけた。快く受け入れていただき、ヘルシオで作った『極旨!ももから揚げ』をご提案され、美味しさに感動し、今回のコラボを行うことにした。当社とシャープの両社で、冷凍食品の新しい価値、可能性を創出していきたい」とした。
新社長に谷口本部長 ―― 京果食品
京果食品は5月27日開催の定時株主総会及び取締役会で、谷口泰正取締役営業統括本部長が新たに代表取締役社長に就任する役員人事を決議し、同日付で就任した。太田垣公一社長は取締役相談役に就いた。同日付。
谷口泰正(たにぐち・やすまさ)氏は、1967年生まれ。87年同社入社、2012年本社営業部部長、16年執行役員営業本部長、18年取締役営業統括本部長。