営業利益が2年で倍増、中計目標を2年前倒しで達成 ―― 西友
大久保社長
西友の大久保恒夫社長は12日、東京都中央区のベルサール東京日本橋で会見を開き、同社の直近の業績、現中計の進捗などについて説明した。同社は現中計で2025年度の目標に掲げた営業利益300億円、営業利益率5%の定量目標を、2年前倒しで達成している。「導入時にトラブルがあれば2~3カ月は店舗を閉める覚悟だった」(大久保社長)という新基幹システムの切り替えにも成功し、デジタルマーケティング業化と質販店化に向けた商品強化も進んでいる。今年度は、①本州への集中②規模のメリットの拡大③基本方針の継続─を重点課題に掲げ、営業利益を維持しながら売上も積み増していく。
同社の直近の営業利益を見ると21年度の約162億円から、22年度は約242億円、23年度は315億円となり、2年間でほぼ倍増している。大久保社長は「小売にとって重要なのは売上ではなく、営業利益だ。利益を確保し、それを前向きな投資に注ぐことが成長の鍵になる」とし、現体制で取り組んだ改革によって「営業利益率は商品スーパーの中でトップレベルに、パートナーと役職者の比率は最も低い水準になった」と語った。
大久保社長が最も重要視する営業利益の向上には「①商品力②販売力の強化が2本の柱になる」(大久保社長)と説明した。この2本の柱を強化し、確保した利益を「人材」「情報」「店舗」などの分野に投資に回すことで、成長の好循環を生む方針を示している。
そのうち、①商品力については、「味と品質への徹底したこだわり」「差別化商品の開発」「売場・売り方の進化」「製造小売業のさらなる進化」をテーマに強化する。商品の価格は、改革以前の「低価格化を重要視する」値付けから「品質が良くて値ごろ感がある」設定に切り替えて、質販店化を進める。惣菜はPCの活用を進める。将来的には、PC製造の市販用冷凍キット品の開発も検討する。
②販売力の強化については、「店頭での売り込み」「個店別の単品在庫の適正化」「人件費のコントロール」「スタンダードの徹底」の精度を高める。メーカーとタイアップしたプロモーションなども積極的に展開して集客力を上げる。商品の特長を伝えるPOPや賑わいを生む販促物の掲示を増やして活気のある売場を構築する。
同社が強化しているネットスーパーは、早期に成果が実りやすい店舗配送型で展開する。実店舗の商圏内の来店者に併行して利用してもらうことでOMOの利便性を伝え、一人当たりの利用額を引き上げる。
24年度は「中計達成にむけたギアチェンジ」「価格創造に向けた更なる変革」に取り組む。ポイントカードなどのデータを検証してデジタルマーケティング化を進め、「価値の創造」「デジタルマーケティング」「営業利益」「ネットスーパ―」「地域集中と規模拡大」でNo.1のリテーラーを目指す。
前期、売上過去最高を達成 ―― 中村角
中村社長
中村角は6日、広島市のホテルグランヴィア広島で「角親会」を開催、仕入先等88社167名が参加した。冒頭挨拶に立った中村一朗社長は2024年3月期同社グループ業績を報告した。
中村角は売上高321億5100万円(前年対103.3%)と過去最高を達成。経常利益は3億円(同110.4%)で着地した。グループ会社の協食は売上高24億2.400円(同102.0%)、経常利益6900万円(同123.7%)、桑宗は売上高56億1300万円(同118.2%)、経常利益1億1500万円(同172.3%)、カクサン食品は売上高14億9700万(同92.9%)、経常利益は6400万円(同99.8%)。
中村社長はグループ業績に関して、「前年度はコロナ禍が開けて業務用が回復した。幅広い値上げで単価が上昇したため、数量的には少し苦戦をしたが、業務用の回復効果が大きかった。昨年4月にJFSA会長に就任し1年、共販目標を全体で達成することができほっとしている。引き続き当社、グループにとってもJFSAの実績を積み重ねていくことが良い効果を出していくと思っている。実績アップに取組む」とした。グループ会社については、「協食、桑宗も同様の傾向だ。牡蛎関連品を生産しているカクサン食品は、原料高が続いており、輸入原料も為替円安により原価、燃料費等々経費の増加も大きく、大幅値上げを実施せざるを得ない状況だった。その影響もあり、売上、数量共に減少した。カクサン食品は社長交代し中村哲朗社長が会長に就任、中村通孝専務が新社長に就任した。社長交代は31年振りとなる」とした。また、「今期は物価上昇の影響が続き消費者、ユーザーの生活防衛意識が高まる中、経営環境は厳しさを増してくる。こうした環境の中で、ユーザーからは原価低減、見積もり合わせ等の要請が増えている。当社としても難しい判断、厳しい判断を迫られる局面も増えている。そうした中売上拡大対策にこれまで以上注力していかなければならない。一言で言えば地域密着の提案型の卸として地域のお客様に役立つよう頑張っていく。特に業務用は小口の取り扱いを増やしていきたい。家庭用も地域卸としての品揃等に注力しながら、得意先から必要とされる卸と言われるように頑張っていく。グループ全体としても、デジタル化や物流の効率化、品質向上、働き方改革、生産性向上といった課題が山積している、引き続き取り組んでいく」と述べた。
来年3月で冷食から撤退 ―― 宝幸
宝幸は2025年3月までの、今期限りで冷凍食品事業から撤退することを明らかにした。焼売などの冷凍食品を生産していた筑西工場は閉鎖。今回の事業撤退により約20億円の売上減を見込んでいる。同社は事業撤退の理由について「原料価格および物流費の高騰、競合との価格競争など事業環境が厳しさを増す中で、収益性、将来性を勘案し、判断した」としている。
推奨6%増、選定15%増 新たに3つの会議体 ―― (一社)日本給食品連合会
(一社)日本給食品連合会(中込武文会長)は6日、神奈川県横浜市の横浜ロイヤルパークホテルで第65回定時総会、報告会を開き、187人が出席した。
2023年度事業実績は、推奨メーカー9社による推奨品事業は106%(19年比108%)。なお前年度はキユーピーが鳥インフルエンザの影響を受けて商品供給が厳しい状況となったため前年を割っているが1月より前年をクリアするまでに回復している。
メーカー18社による選定品事業は、売上高28億2100万円(同115.1%)となった。
斡旋商品事業は、シルバー斡旋商品が売上高前年比106%。一般斡旋商品がリベート収益額で189%となった。
この他、農水省ポストコロナを見据えたサプライチェーンの緊急対策強化事業への対応では、28会員が補助金を申請し、冷凍配送車両65台、冷凍倉庫3カ所、システム開発2カ所、コンサルタント費用1カ所、その他機器類1カ所を導入。物流を中心とした業務効率の改善に努めた。
24年度事業では、事業部門では必達体制の確立、会員収入増大のための制度改革等に取り組む。今年度の事業委員会では、昨年実施した女性開発会議を「商品開発委員会」として設置する。また、選定品で大きなウエイトを占めてきた産給部会を中食・外食部会に改組する。
非営利部門では、研修・教育を推進しYouTubeによる研修ビデオの会員向け配信、次世代経営者のための会として「日給連ネクストジェネレーション」の設立を予定する。
挨拶した中込会長は、「日給連の23年度実績は推奨品6%増となり、コロナ前比でもやっと以前の水準に戻った。今年度は新しい委員会、部会、次世代経営者の会も発足する。私は日給連に入った若い頃に多くのことを学んだ。若い人には日給連を活用し、参加してほしい」と述べた。
報告会の開会挨拶は福島毅春副会長、懇親会挨拶は窪田洋一郎理事、乾杯発声は髙宮満キユーピー社長、中締めは松田要輔テーブルマーク社長。
■推奨パーフェクトは17社
2023年度事業の推奨品事業表彰パーフェクト賞は、17社、選定品パーフェクト賞は3社となった。特別表彰(選定品100万食)は4社。推奨品、選定品ともにパーフェクトを達成したのは本多、本多岡山支店の2社となった。
【推奨パーフェクト賞】▽カンダ▽甲信食糧▽濵村屋▽アコス▽カナカン▽三給▽柴田食品▽松並▽本多▽本多岡山支店▽徳本商店 ▽アキヤマ▽奥村食品工業▽マルヒ食品▽ふくしま北関東支店▽クリームファット▽UCCコーヒープロフェッショナル島根
【選定品パーフェクト】▽名給大阪支社▽本多▽本多岡山支店
【特別表彰】▽名給▽UCCコーヒープロフェッショナル▽大京食品▽野口食品
【特別会員感謝状】▽カゴメ▽ニチレイフーズ▽ニッスイ▽ヤヨイサンフーズ▽理研ビタミン
小川会長の続投を決議、岸田首相が懇親会で祝辞 ―― 国民生活産業・消費者団体連合会
小川会長
岸田首相
国民生活産業・消費者団体連合会(生団連)は6日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニ東京で総会を開催した。役員改選では、小川賢太郎会長の再任を決議した。
登壇した小川会長は、来賓の国会議員などに向けて「裏金問題などが政治不信につながっている。私は取引先にもお金の使い方はお天道さまが見ていると伝えている。公明正大に説明できるような使い方をしてほしい」と呼びかけた。
パーティーには岸田文雄首相も駆けつけて、「賃上げや過去最大の投資で景気が回復しつつある。この好況を確実にすることが政府の務めだ。しっかりと取り組んでいく」と述べた。
同会には各党の党首級の国会議員が参加した。来賓代表挨拶は、岸田首相と共に、茂木俊充幹事長、山口那津男公明党党首、泉健太立憲民主党党首、玉木雄一郎国民民主党党首、藤田文武維新の会幹事長。