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今週のヘッドライン|2024年5月第2週号

売上、利益ともに過去最高 ―― ニチレイ3月期

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大櫛社長

 ニチレイは7日、24年3月期決算を発表した。連結売上高6800億9100円(前年同期比2.7%増)、営業利益369億1100万円(同12.1%増)、経常利益382億5500万円(同14.4%増)、当期純利益は244億9500万円(13.6%増)で増収増益となった。売上高、営業、経常、純利益とも過去最高。売上高は主力事業である加工食品事業と低温物流事業が堅調に推移し増収。営業利益は、主力事業の収益改善に加え、価格改定や収益改善を進め過去最高益となった。

 セグメント別では加工食品の売上高が2908億6600万円(同5.5%増)、営業利益が174億1600万円(同24.7%増)、低温物流の売上高が2573億5500万円(同5.4%増)、営業利益が158億3300万円(4.5%増)となった。
 加工食品のカテゴリー別売上高は家庭用調理品874億4100万円(同7.5%増)、業務用調理食品1026億7700万円(同2.6%増)、農産加工品237億2300万円(同15.8%増)、海外619億200万円(同5.1%増)。
 加工食品の売上高は価格改定の浸透に加え、主力商品や新たな付加価値商品を拡販したこと、海外での売上も寄与し増収。営業利益は原材料、仕入れ価格のコストアップが続く中、価格改定効果等により増益となった。  その内、家庭用調理品は鳥インフルエンザの流行により停滞していた卵原料の回復により炒飯の販売数量が回復。「香ばし麺の五目あんかけ焼きそば」や「三ツ星プレート」シリーズなどパーソナルユース向けの23年秋の新商品の販売が好調に推移した。
 業務用は収益性の改善を進めたチキン加工品の販売が回復、大手ユーザー向けの米飯類やコロッケ類の販売が好調だった。
 農産加工品は円安による調達コスト上昇に対して価格改定を実施、品質面や利便性など顧客ニーズに対応したことにより無加熱摂取商品「そのまま使える」シリーズや秋の新商品「ささみブロッコリー」などの販売が好調だった。
 米国イノバジアンクイジーン社はインフレによる消費減退の影響で現地通貨ベースで減収も為替換算により増収。GFPTニチレイは中国向け販売が好調で増収となった。
 25年3月期通期連結予想は売上高6900億円(同1.5%増)、営業利益390億円(5.7%増)、経常利益397億円(同3.8%増)当期純利益248億円(同1.2%増)を見込む。
 加工食品事業では、戦略カテゴリーである米飯類、チキン加工品を拡充、さらにパーソナルユース食品の拡大、健康価値を付加した商品の開発、投入により増収増益を図っていく。
 25年3月期の加工食品の通期連結業績見込みは売上高3100億円(同7%増)、営業利益190億円(同9%増)、その内家庭用調理品924億円(同6%増)、業務用調理品1120億円(同9%増)、農産加工品239億円(同1%増)、海外670億円(同8%増)、営業利益190億円(同9%増)を見込む。
 発表後質問に対応した大櫛顕也社長は円安の進行による今後の価格改定に関して「1ドル150円から155円の間だと吸収可能だ。これが156円からもっと円安になると更なる価格改定もあり得る」とした。

2期連続で売上1兆円 ―― マルハニチロ

 マルハニチロは7日、2024年3月期決算を発表した。連結業績は売上高1兆306億7400万円(前期比1.0%増)、営業利益265億3400万円(同10.3%減)、経常利益311億600万円(同7.1%減)、当期純利益208億5300万円(同12.1%増)。売上高は食材流通セグメントでの好調な販売と価格改訂効果もあり前期に続き1兆円を突破した。営業利益は加工食品セグメント、食材流通セグメントが好調に推移するも、水産資源セグメントの減益分をカバーできず減益となった。
 加工食品セグメントは売上高1050億円(同1.6%減)、営業利益52億円(同68.5%増)。加工食品ユニットは売上高971億円(同1.8%減)、営業利益41億円(同136.6%増)。価格改定が浸透し、主力製品の販売価格アップや数量伸長の好影響もあったが、前期に発生した広島工場の火災の逸失をカバーできず減収。一方で利益は生産性の向上、価格改定効果が寄与し増益に。なお加工食品Uの中で、家庭用冷凍食品は売上で約5割、利益で約5割の構成比であり、売上は前年並み、利益は前期を上回った。
 食材流通セグメントは、売上高3153億円(同6.0%増)、営業利益73億円(同135.7%増)。増収効果に加え、業務効率及び生産性向上により136%の増益。その中で食材流通ユニットは売上高2228億円(同5.5%増)、営業利益59億円(同163.8%増)。グループ内連携を強化し、市場変化に合わせた業態ニーズを把握して販路拡大に努めたほか、価格改定効果により増収となった。
 利益は増収効果に合わせ業務効率及び生産性向上により増益。
 なお、食材流通Uの中で、業務用冷凍食品は売上で約3割、利益で約4割の構成比で、惣菜・外食向けが伸長、特に袋ごと調理できる焼そば製品など人手不足対応品などが好調だ。

食品事業大幅に増収増益 ―― ニッスイ

 ニッスイは14日、2024年3月期決算を発表した。連結業績は、売上高8313億7500万円(前期比8.2%増)、営業利益296億6300万円(同21.2%増)、経常利益319億6300万円(同15.1%増)、当期純利益238億5000万円(同12.3%増)と増収増益となった。売上、営業利益とも過去最高、当期利益も3期連続で最高益を更新した。
 売上については、水産は市況下落もあるも円安で増収。食品は国内外で業務用が回復したことに加え、円安や値上げ効果もあり大幅増収。ファインケミカルは日水製薬売却の影響で減収。利益は食品は国内外とも価格転嫁が実現し大幅な増益で他事業をカバー。水産は国内漁獲堅調、国内養殖事業拡大が寄与も市況の調整局面で減益となった。
 食品事業は売上高4432億円(同16.0%増)、営業利益272億円(同138.8%増)。国内外とも販売数量の減少は見られるが、大幅に増収増益。人流回復により外食など業務用が好調なうえ、値上げ効果も継続。原料価格低下効果も出始め増益。チルドは増益となった。
 なお単体の食品事業売上高は2144億4200万円(同5.7%増)。そのうち冷凍食品関係は、家庭用調理冷食406億円(同4.3%増)、業務用調理冷食546億円(同8.8%増)、農産冷食117億円(同9.1%増)だった。家庭用調理冷食ではおにぎり、ピラフなど米飯は健闘も数量は前年を下回った。業務用調理冷食は中華惣菜やグラタンドリアなどが堅調だった。

■〈まんぞくプレート〉好調

 家庭用冷食のワントレー品〈まんぞくプレート〉シリーズは3月のCM投入効果もあり需要が拡大している。生産アイテムを絞り需要増に対応している。

中野勘治氏(三菱食品元会長)が死去

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 中野勘治氏(なかのかんじ=菱食・現三菱食品元代表取締役会長、元ニチレイ専務取締役)5月8日心不全のため死去、84歳。葬儀は10日に近親者のみで行った。喪主は妻の嘉子(よしこ)さん。後日、「お別れの会」(三菱食品主催)を執り行う予定。
 中野氏は1939年7月7日、愛知県生まれ、62年3月慶応大学商学部卒、同年4月日本冷蔵(現ニチレイ)入社。ニチレイ専務、ユキワ社長、2003年菱食の低温子会社のアールワイフードサービス社長を経て、08年に菱食(現三菱食品)社長に就いた。11年7月に三菱食品会長、15年の退社後に「オフイスK」を設立し、企業のアドバイザーなどで活躍した。
 菱食社長時代は従来の店頭起点型から生活者起点型のライフスタイルマーケテイングを提唱し、商品開発・販促・サービス部門に新たな手法を導入。また小規模飲食店を対象にした「リクエ事業」など次世代モデル事業の実践にも着手した。
 国分の國分勘兵衛会長とは大学時代の同級生。

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