冷凍容器に新技術、強度維持しプラ25%以上削減 ―― エフピコ
新技術を説明する佐藤会長
比較展示も
エフピコは4月10日~12日、東京・有明の東京ビッグサイトで同社が製造・販売する食品容器を一堂に展示した「エフピコフェア」を開催、ユーザー・関係者約1万000人が来場した。今回、注目は拡大する冷凍市場への対応を図った「耐寒PPiP―タルク」を使用した容器。従来の素材の強度はそのままに、プラスチック使用量を25%以上削減した。耐熱温度が130℃まであり、冷凍からレンジまで幅広く使用可能。トレー入り商品が主力となりつつある冷凍食品業界における環境対応へ大きく貢献する。
会場では佐藤守正代表取締役会長が本紙取材に対し、同製品の特長について次の通り語った。
今回、この展示会で「耐寒PPiP―タルク」という技術を初めて発表する。今まで冷凍食品の容器は耐寒性を持ったポリプロピレン(耐寒PP)の容器が一般的であった。
常温ではPPタルクという製品があり、タルクを加えることでプラスチックの使用量削減、製品の薄肉化を実現していたが、耐寒PPにタルクを入れると耐寒衝撃性が弱くなるという問題があった。そこで当社では非常に薄い鱗状の無機物と丸い無機物の2種類を混ぜ合わせることでこの問題を解決。広島県福山市に新設した工場だからこそ実現できる技術として「耐寒PPiP―タルク」の技術開発に成功した。
ポイントは耐寒衝撃性も天地圧縮強度も従来の耐寒PPと変わることなく、同様の重量でプラスチック使用量を25%以上削減していること。
また蓋についても、耐熱性・耐寒性に優れた当社素材OPETを組み合わせることで、耐寒衝撃性が高く、かつプラスチック使用量を削減する容器を実現することができた。
今後は冷凍食品売場だけではなく、鮮魚、精肉、惣菜コーナーにも冷凍の陳列ケースにバックヤード、プロセスセンターで作った冷凍食品が並ぶようになってくる。
当社でも伸長を続けていく分野だと考えており、この非常に画期的な技術が多くのお客様に活用いただけると確信している。
〈@FROZEN〉今年度20店の出店検討、大阪、名古屋なども視野に ―― イオンリテール
青木デイリーフーズ商品部長
イオンリテールの青木郁雄デイリーフーズ商品部長は12日、神奈川県横須賀市に同日オープンした「@FROZEN横須賀店」で本紙の取材に応え、〈@FROZEN〉業態について、今年度中に20店舗程度の新設を検討していることを明らかにした。昨年度は5店舗の出店だった。冷凍食品専門業態の店舗網が広がることになる。
新店は、路面店ではなく、イオンスタイル、イオンモールなどグループの施設内に出店する予定。関東圏だけではなく、大阪、名古屋などへの新設も検討している。
青木部長は同業態の既存店の進捗について「売上が計画を上回っており、通常店の冷凍食品売場の販売も増える相乗効果が生まれている」と説明。既存店では与野店が最も売上が良く、次いで品川店とレイクタウン店の販売が好調だが、「昨年出店した店舗には現在も客足が途絶えておらず、上位3店以外も総じて好調」(青木部長)だという。
冷食は直輸入品充実 ―― CGC
冷凍食品ブースでは一押し商品を全面に
CGCジャパンは11日、東京・有明の東京ビッグサイト西3・4ホールで、「CGC合同商談会」を開催した。加盟企業など8414人が参加した。テーマは「地域と未来を笑顔に」。
冷凍食品ブースではビッグ対策として8月に発売するインド産「細切りポテトシューストリング」(800g)や、調理が簡便で味わいも良い「炭火焼鳥盛り合わせ」(6本)、大袋でユニット単価に優れた「ブルーベリー」(500g)などの一押し商品を前面に押し出した。
実際の売場を模してリーチイン什器を並べたコーナーでは、ポルトガル直輸入の冷凍パイ、ベルギー産のチョコを100%使ったフォンダン・オ・ショコラ、フランス産のマカロンなど、直輸入商品を数多く展開。冷凍野菜とフルーツも扉3枚分を使った面展開で訴求していた。また、留め型商品も扉3枚分で品揃えた。縦型で高さを揃えたパッケージを並べ、リーチイン什器に縦型で高さを統一した商品を展開することで、売場効率を143%させる手法も説明していた。
浦橋冷食チームリーダー
絶対評価の価格も重要
会場で当社取材に応えた浦橋健次郎冷食チームチームリーダーは冷食の価格戦略について、ファミリー向けと単身者向けの2軸で異なる値ごろ感の訴求に取り組む考えを明らかにした。
ファミリー層向けなどについては、ユニット単価に優れた大袋などの開発を強化して、大手量販店や他業態に対抗していく。一方で、ブロッコリーや具付き麺など単身者の利用が多い品目については「価格の上限を区切って絶対評価で値ごろ感を感じられる商品を開発することも重要」だと説明。
原料調達の多角化や製造工程の最適化などを進めて価格競争力の高い商品開発に努めるとしている。この取組の一環として、6月にはトライアルサイズのブロッコリーを現地パックに切り替える。具付きで売価が200円を切る冷凍ラーメンも投入する。
また、会員企業が展開する小型店などでは「PBだけで品揃えが事足りるようになれば、ビッグの競合と価格で対応できるようになる」として、幅広いカテゴリーでオリジナル商品の開発を進める考えも示した。
新社長に猫宮ラルズ社長 ―― アークス
猫宮氏(左)
アークスは15日、同日開催した取締役会において、猫宮一久ラルズ社長が代表取締役社長COOに就任する役員人事を内定した。横山清社長は代表取締役会長CEOに就任する。子会社ラルズは猫宮社長が会長に就き、後任の新社長に松尾直人専務取締役が就く。5月28付。
同日開催した会見で横山次期会長は「会長に就任しても経営から退くわけではない。小売の仕事には一生関わる」としている。