東松島工場が竣工、地場産凍菜ラインも ―― マルヒ食品
東松島工場外観
阿部社長(右)と、渥美市長
マルヒ食品(宮城・大崎市、阿部幸也社長)は2月26日、宮城・東松島市のグリーンタウンやもと工業団地内に新設したHACCP対応型第二工場「東松島工場」(阿部圭輔工場長、東松島市大場字緑ヶ丘4-4-8)の竣工披露式を開き、関係者約70人が出席した。冷凍、レトルト食品等を製造する新工場では、調理機器の進歩を製造ラインに取り入れ最新の機器を導入。彩りの保持など製品のクオリティアップに生かす。また、枝豆、パプリカをはじめ宮城県産野菜を原料とする凍菜の製造を本格化する。
東松島工場は、オリジナルブランド〈みんなの介護食〉のチルドパック常食や冷凍弁当、〈クックチル真空パック惣菜〉〈幼稚園向けチルド弁当〉などを製造する三温度帯対応の製造工場。
投資額は約11億7000万円で、国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用した。
製造商品については、同社は地産地消推進と食品自給率向上を目指してこれまでも宮城のおいしい空気と綺麗な水で育ったミネラル豊富な野菜を商品に使用してきたが、新工場では原材料からのもう一段の品質向上を目指す。
野菜は1次処理から自社で行い、調理、凍結、レトルト加工、真空包装を設備。最新の機器を導入し製品のクオリティアップに生かす。
また、「枝豆」「パプリカ」をはじめ宮城県産野菜を原料とする凍菜の製造も本格化する。
さらに、冷凍弁当、冷凍離乳食・幼児食の〈ファーストスプーン〉については新工場の保管・物流機能を生かして、3PLに預けない自社B2C通販をスタートする。
式典で挨拶した阿部社長は、「学校給食や介護施設などのインフラを担う企業として、生産拠点の複数化を急務と考えていた。日産2万個の冷凍弁当ラインに加えて、宮城県産原料を使用した冷凍野菜のラインを持ち、製造していく。工場には最新の設備を導入した。お客様の要望にお応えし、よりクオリティの高い商品を提供していく。これまで以上にご期待いただきたい」とした。
来賓祝辞を述べた渥美巌市長は、東日本大震災の仮設住宅跡地に10年ぶりの誘致企業となったことを受けて、「地震・津波の災害リスクが少ない場所として選んでもらい、マルヒ食品の進出は喜びに堪えない。地産地消での製造とのことで宮城県、東松島市にとっても効果のあることだろう。雇用創出にも期待する。将来的には輸出も見据えるとのことであり、マルヒ食品の事業が円滑に進むよう協力していく」と歓迎した。
新工場は2月よりテスト稼働しいる。
【東松島工場概要】
▽敷地面積9300㎡、鉄骨平屋一部2階建、延べ床面積2600㎡▽生産能力=日産2万個(冷凍弁当)、その他凍菜製造▽竣工日=1月22日
関東第3にハイブリット設備 ―― イートアンドフーズ
水餃子ライン稼働再開
山本専務
イートアンドフーズは3月より関東第1工場(群馬県板倉町)の水餃子ラインを稼働再開した。関東第1工場は昨年12月に発生した火災により製造ラインの一部が損傷し、店舗向けの餃子、生麺、焼売、小籠包、爆弾餃子、水餃子の一部、焼き目つき餃子など一時生産休止を余儀なくされていた。復旧や生産移管等を進め、2月7日より店舗向け餃子の供給再開、3月には水餃子ラインの生産再開、休止中の水餃子、爆弾餃子を再開する。今回の水餃子ライン稼働再開により、従来の生産体制に戻る。なお、関東第1工場は焼き目餃子ラインなど4ラインは現在も休止中で、焼売は関西工場に生産移管して対応している。
また、関東第3工場(群馬県板倉町)で餃子と焼売が生産できる新ラインの稼働を開始する。焼売の供給を再開する。新ラインは、「大阪王将 羽根つき餃子」「同たれつき肉焼売」にハイブリット式ラインで、2つの製品を切り替えながら生産することで、人気の「羽根つき餃子」の生産能力を伸ばしつつ、発売以降品薄が続いている「たれつき肉焼売」を大幅に生産増強する計画としており、「羽根つき餃子」は、全体で月間約118%、「たれつき肉焼売」は月間最大生産量が200%に増強可能となり、伸長している冷凍餃子市場に対する供給体制を強化、加速する。「2月27日にテスト生産がスタート。予定より早く稼働している」(山本浩取締役専務執行役員商品本部長)。
■55周年企画多彩に
同社では〈大阪王将〉家庭用新商品として新商品11品、リニューアル9品の20品を投入する【既報】するが、今年は大阪王将創業55周年、羽根つき餃子も10周年を迎えるに当たり「ニクいね!大阪王将 めっちゃええやん、大阪王将」を全社統一テーマに展開、家庭用冷凍食品では、期待以上の価値を目指し、中華フルラインアップを強化する。
創業55周年企画では、4月には全国テレビCM投入、TVer、ユーチューブでのCMを投入。4月から消費者キャンペーン。店頭の大陳コンテストの実施。SNSではX、インスタグラムを開設する。
3期連続の増収増益 ―― 国分グループ12月期
國分晃社長
国分グループ本社は2月29日、2023年12月期決算を発表した。
連結業績は、売上高2兆684億1700万円(前期比7.0%増)、営業利益202億1700万円(同33.1%増)、経常利益242億300万円(同33.6%増)、当期純利益158億7400万円(同49.7%増)と増収増益。初の売上高2兆円を突破、経常利益も200億円を超え、売上高経常利益率も1.17%となった。同日、同社本社で行われた決算会見で國分勘兵衛会長は、「3期連続の増収増益となった。経常利益率は1%を突破した。しかし営業利益率は0.98%だ。営業利益率も1%超えるようにしたい」とした。
部門別売上高の冷凍・チルドは売上高4319億6700万円(同9.0%増)。内訳は冷凍食品2211億円(同9.3%増)、冷菓547億円(同11%増)、チルド1560億円(同7.9%増)となっている。
國分晃社長は前期決算について、「増収は、コロナ5類移行により外食、レジャー、フードサービス、業務用酒販業態が回復したこと、また価格改定による押し上げ効果もあった。利益については、業務用分野の売上増による利益増、単品収益徹底の精度向上、AIによる受注などローコスト体制などの効果、また製造子会社の不採算取引の見直し等も効果があった。当社グループでは2016年から『卸基盤の再構築』に取組んでおり利益を生みやすい体質が出来上がりつつある。外部環境は好調な場合は大きくプラスとなる。3期連続増収増益もこの効果だ」とした。
低温事業については、「当社は2012年の三郷物流センターから始まり2019年の関西総合センターまで全国に3温度帯センターの先行投資を行ってきた。投資の回収機に入った」との認識を示した。