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今週のヘッドライン|2024年3月第1週号

新業態〈SIP〉ストアをオープン、新フォーマットの開発にも繋げる ―― セブン&アイ・ホールディングス

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冷凍食品は最も強化した部門

 セブン&アイ・ホールディングスは2月29日、千葉県松戸市常盤平に新コンセプト店舗〈SIPストア〉業態の1号店「松戸常盤平駅前店」をオープンした。セブン―イレブンとイトーヨーカドーの品揃えを融合した新業態で、生鮮3品のほか、冷凍食品もNBの売れ筋を投入して強化している。売場面積は85坪、商品数は5300SKUでセブン─イレブンのおよそ2倍。新たなニーズを探るための実験店で、店舗の運営を通して掘り起こした売れ筋を既存のCVSに水平展開するほか、コンビニと食品スーパーの特長を兼ね備えた店舗フォーマットの開発に繋げる狙いもある。

 同店で取り組む実験は①部分最適に繋がる検証と、②全体最適に繋がる検証に分けられる。
 そのうち①部分最適に繋がる検証─は、これまでにコンビニで取扱いがなかった商品の販売を通して新たな売れ筋や売り方を模索し、既存のFC店に水平展開していくというもの。売れ筋の掘り起こしについては「早ければ数カ月で既存店に取り入れられる商品が出てくる」(同社)と見ている。②全体最適に繋がる検証─はSMとコンビニを融合した新たなFCビジネスのフォーマットを開発するというもの。24年度後以降に出店予定の2号店など複数店舗での検証が必要になるため、開発には「しっかりと時間をかける」(同社)考えだ。
 1号店の店内には、カウンター商材や即食などコンビニならではの商品に加えて、生鮮3品や軽衣料などSMの知見を生かした商品も豊富に取り揃えている。
 中でも最も強化したのが冷凍食品で、商品数は263品(コンビニ既存店の平均は85品程度)に上る。PBの構成比が9割以上を占める既存店の冷凍食品売場とは異なり、食品スーパーの売れ筋や冷凍畜肉・凍魚などNB品も数多く展開している。
 同店で強化した冷凍食品は①NBの売れ筋②ハレの日対応の高価格商品③スイーツ・ペストリー④簡便型商品・ワンプレート─の4点。イトーヨーカ堂主導で開発したPB〈EASEUP〉もフルラインで取り揃えた。スイーツを除く商品は壁面埋め込み型のリーチイン什器に扉11面分で展開し、弁当や即食の売場の距離を離すことで店内のカニバリを防いでいる。この店舗で培った冷食の売れ筋は、今後のPBの商品開発にも取り入れるという。

全体最適へ連携強化 ―― ケイエス冷凍食品・古賀社長

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 ケイエス冷凍食品は2月22日、東京・築地の同社本社で会見を開き、1月1日付で就任した古賀正美社長が、同社の直近の業績などについて概要次の通り述べた。
 まずは当社の前年度の実績と取組について説明する。今年度の業績は、2期連続の増収増益となった。数量ベースもコロナ前の19年並みの水準に回復している。家・業の構成比は50対50で、業務用が2%伸長した。
 家庭用は、主力品の好調や、新商品効果が売上を押し上げた。〈鶏つくね串〉はレギュラー品、しょうがフレーバーが伸長し、PBを含めた売上が前年から約11%伸長した。特にレギュラー品は過去最高の出荷を記録してお弁当市場で2位の商品に育った。弁当品は、「おべんとうごまだんご」「たけのこ入り塩メンチ」が好調だった。一方、惣菜品は、未だ市場への定着に至っていない。
 業務用は、アフターコロナで市況が急速に回復したことを追い風に売上が大幅に伸長した。学給向けは大型センターへの営業強化が奏功して拡販が進み、デリカ向けは人手不足対応品のタレ付き肉だんごが好調だ。
 生産面では、泉佐野工場で製造の効率化、各工程の標準化を進めてロス率や歩留まりを改善した。組織面では、昨年新たに商品本部を設立してマーケティング部と開発部の連携を強化した。
 次に今年度の取組について説明する。家庭用は主力品の強化に加えて食卓品の拡大を図る。おつまみに特化した鶏つくね串をフックに売場定着の足掛かりを築く。業務用は、外食を注力チャネルに加える。デリカ及び学給向けは、随時ターゲットを見直したい。生産面では自社工場の効率化や省人化の投資を継続する。特定技能実習生を活用し、海外の委託先も開拓したい。
 最後に新社長としての抱負を述べる。
 私は年頭のメッセージとして、社内に「常に全社最適で行動してほしい」と伝えた。社員が全社最適で行動するためには、コミュニケーション力を高める必要がある。相手を尊重する文化、相手の立場に立って物事を考えるという文化、聞く耳を持つ文化を醸成したい。

冷凍弁当市場に参入、高齢者施設等向けに ―― 勝美ジャパン

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 勝美ジャパン(東京都中央区、山崎裕康社長)は、冷凍弁当「勝美ご膳」シリーズを開発、4月1日より発売する。
 同品はおかずセットの冷凍弁当。介護施設・病院向け、なかでもサービス付き高齢者住宅など小規模介護施設をターゲットにする。同社では、「小規模な介護施設では人手不足で管理栄養士や調理要員が配置できないことがある。冷凍弁当であればレンジやスチーマー等で加熱してごはんと汁物を添えるだけで食事のオペレーションが組めるので、人手の足りない施設でも簡単に食事の提供が可能になる」としている。
 「勝美ご膳」は、高齢者施設の管理栄養士がメニュー開発に携わり、実際で施設で提供されているものに近い料理・味付けを取り入れた。塩分相当量は1食当たり2g以下に抑えている。
 商品ラインアップは肉・魚・豆の主菜を中心に和洋中様々なメニューの全30種。今後は60種まで増やす予定。製造は国内協力工場。


会社所在地

〒160-0008
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黒田ビル2階