「フルーツのアヲハタ」へ、冷凍を核に新たな挑戦 ―― アヲハタ
山本社長
凍ったままでも柔らかいくちどけフローズン
アヲハタフルーツパーラーの外装
アヲハタの山本範雄社長は16日、東京・渋谷の同社本社で同社事業戦略について説明、今後は主力のジャムに加え、昨年より家庭用での本格的な展開をスタートしている冷凍食品「くちどけフローズン」を核に新たなカテゴリー展開を進めることでフルーツの世界をさらに広げていく方針を示した。3月7日からは表参道にフローズンフルーツ、ジャム等の同社商品を使用したメニューを提供するポップアップカフェを期間限定でオープンし、若年層に向けた発信を強化していく。
山本社長は「当社のビジョンは『フルーツで世界の人々を幸せにする』を掲げ、その目指す姿として『フルーツのアヲハタ』を実現することだ。ジャム・スプレッド事業は今後も当社の基幹事業としての位置付けではあるが、国内市場においてはジャムだけでは持続的成長がなかなか難しい。新しいカテゴリーへの挑戦をしていく。ジャム事業で培ってきた技術力と品質力をベースに今までにない、新たなフルーツ加工品へ挑戦する。事業の第2の柱となるよう取組んでいく」とした。
なおフローズンフルーツについては家庭用だけでなく、「業務用の世界でも既に活用されている」とした上で、今後、フードサービス分野での可能性も探っていくことを明らかにした。
冷凍食品「くちどけフローズン」は、独自の製法により凍ったままで柔らかい食感を実現した商品。2年程のCVSでの実験販売を経て、昨年からは〈アヲハタ〉ブランドとして家庭用市場に参入している。
現在までの販売状況については「様々なイベントで紹介し、非常に高い評価をいただいている。CVSでの販売は冷凍フルーツとしては平均以上の売上個数を勝ち取っており、かなりよいスコアが出ている」と振り返り、「今後はフルーツの摂取量が不足している若年層への認知拡大に努めていきたい」とした。
表参道でフルーツパーラー
アヲハタは3月7日~13日までの1週間、喫茶店運営の旅する喫茶とのタイアップによる限定ポップアップカフェ「アヲハタフルーツパーラー」を表参道にオープンする。フルーツとの新たな出会いをテーマに、旬の美味しさを閉じ込めたアヲハタのフルーツスプレッド、フローズンフルーツを使い、オリジナルクリームソーダとパフェを提供する。「若者が集う表参道でフルーツとの新たな出会いの場を提供していく」(山本社長)。
くちどけフローズン「いちごスムージー用」
アヲハタは独自技術により“凍ったままでやわらかい”果汁づけの冷凍フルーツ〈アヲハタ くちどけフローズン〉シリーズから、「いちご スムージー用」(160g)を新たに発売する。発売日は3月13日。
新商品の「いちご スムージー用」は、冷凍庫から出してすぐ牛乳と合わせてミキサーにかけて簡単にスムージーが作れるスムージー用の冷凍フルーツ。
欧米食品事業の生産力増強 ―― ニッスイ
米・ゴートンズ社本社工場
仏・シテマリン社ケラナ工場
ニッスイは14日、海外の食品事業の生産能力を増強すると発表した。北米で水産調理冷凍食品を製造販売するゴートンズ社(米マサチューセッツ州グロースター)およびフランスをベースにチルドの水産フライを製造販売するシテ・マリン社(仏ケルビニヤック)において、生産能力の増強を図る。投資額は総額約170億円を想定している。生産能力の増強により海外食品事業を強化し、グローバル展開を加速する。
ニッスイは2000年代に入り、海外のグループ企業やパートナー企業を「グローバルリンクス」とし、ゴートンズ社を2001年に、シテ・マリン社を2007年に加え、北米のスケソウダラなどを使用した白身魚製品を中心に事業を拡張してきた。
一昨年に発表した2030年の長期ビジョン「Good Foods 2030」でも、グローバル展開の加速を課題として掲げており、海外の食品事業では水産(白身魚およびエビ)フライで圧倒的な世界ナンバーワンとなることを目指している。しかし、その実現には両エリアとも生産設備能力が不足していたことから、増強が検討されてきた。
ゴートンズ社は、米国の家庭用水産調理冷凍食品のカテゴリーにおいてトップのシェアを持ち、主力分野のスケソウダラを使用した白身魚フライ商品の他、エビを使用した商品の拡大にも取り組んでいる。しかしながら現在の生産能力は限界となっており、今後の成長のためには生産能力の増強が重要な経営課題と位置づけM&Aを含めた様々な検討を進めていた。今回、インディアナ州に適地が見つかったことから新たな生産拠点を設置することを決定した。
新生産拠点は、25年後半の稼働開始を目指し、生産能力の増強、および原料調達・製品販売の物流効率化、付加価値商品の生産増や生産品目の最適化を図る。
シテ・マリン社は、水産素材を使用したチルド・冷凍食品を製造しており、フランス国内のチルド白身魚フライで高いシェアを持つ。また、農産品を使用した代替たんぱく製品の生産・販売も拡大している。
同社はニッスイグループに参画以来、11年に第3工場(ケルビニヤック)を新設、15年に生産子会社のキャップ・オーシャン社(ヴァーソン)を設立、17年には白身魚製品製造のアリオティス社(ロリアン)およびエビ製品製造のミティ社(ナント)を買収・資本参加しており、さらに第5工場(ケルビニヤック)を新設など生産能力を増強してきた。
22年7月には、ケラナ・プロダクションズ社(プルメリン)を買収し、冷凍およびチルド白身魚フライ・代替たんばく製品の生産を開始。今後の成長に向けて、25年をメドにケラナ工場の生産能力を増強するための工場拡張計画を決定した。同時に配送の効率化、既存工場との生産品目最適化、包装設備の自動化なども行う。
ニッスイでは、両社の生産能力増強により海外食品事業をさらに拡大していく。
冷凍カレーを拡充 ―― 明治・新商品
銀座ハヤシドリア2個入
明治は2024年春の冷凍食品として新商品2品、リニューアル品2品の計4品を発売する。発売は2月下旬。今春は発売30周年を迎える〈銀座カリー〉で冷凍カレー市場を確立する。
新商品では「銀座ハヤシドリア2個入」(360g)を発売。レトルトカレーの〈銀座カリー〉シリーズの中でも、「銀座カリー 中辛」に次いで人気の「銀座ハヤシ」を冷食で投入した。“特製二段仕込みブイヨン”をベースに、デミグラスソースを煮詰めた赤ワインとカカオマスを配合し、芳醇なコクと深い味わいに仕立てたハヤシソースを使用したドリア。
「銀座カリーライス1個入」(260g)は〈銀座カリー〉ブランド初の機能性表示食品。“特製二段仕込みブイヨン”とソテーオニオンによるコクとうま味はそのままに、“食後の血糖値の上昇をゆるやかにする”ことを表示した。
リニューアルでは、「ラザニア3個入」(540g)に同社冷食では初となる“氷点濃縮仕立て製法”を導入。ホワイトソースの濃縮感と風味を向上した。