通期売上・利益過去最高へ ―― ニチレイ・大櫛社長
ニチレイ大櫛顕也社長は、11日、東京・築地の同本社で年末会見を行った。大櫛社長は、現況を「一服感はあるものの日米金利差による円安傾向は続いており、結果として調達面での影響は小さくない。引き続き注視していきたい」とし、上期の増収増益を踏まえ、「通期では売上高6680億円、営業利益350億円を見込む。達成すれは売上高、営業利益共に過去最高を更新する。各事業において変化に対応することで計画達成を目指したい」と抱負を述べた。
発言要旨は以下の通り。
収益性の向上を継続する。コストアップに対しては、生産性の向上などの自助努力で吸収しながら、それを超えるものに関しては価格改定を選択していく。販売数量の増加に向けてニチレイフーズでは米飯、チキンなど戦略カテゴリーや、個食麺などのパーソナルユース商品の拡販、ニチレイフレッシュでは新たな健康価値、ブランド豚肉「ごまんてん」など拘り惣菜やASC、MSCといった認証水産品の拡販を進める。
ニチレイロジGはトラックドライバー「2024年問題」が目前に迫っており次世代輸配送システム「SULS(サルス)」の展開やゲートウェイ機能の拡充をさらに進めていく。
海外事業に関しては、ニチレイフーズでは北米事業のさらなる伸長、ニチレイロジGは欧州を中心に東南アジアへの進出を加速する。
CO2ゼロ着実に
今中計「Compass Rose 2024」ではサステナビリティ経営の加速を掲げている。素材調達から、生産、販売、流通加工、物流までサプライチェーン全体の機能を担うニチレイGにとって、調達や環境は優先度を上げて対応する課題だ。
調達面では本年4月に当社グループにとって重要な食資源である水産物とパーム油に関する調達ガイドラインを制定した。環境面ではニチレイGの主要事業所が集積する千葉県船橋エリアをはじめ各所で太陽光発電設備の導入やオフサイトPPAの活用などの取り組みを進めている。2050年までにカーボンニュートアラルを達成することを宣言しているが、このような取り組みによって電力由来のCO2排出ゼロに向けて着実に進んでいる。
ピンチをチャンスに
当社が今後持続的に成長し続けるためには人材が最も重要だ。今年度は新たにエンゲージメントサーベイを導入した。
会社と従業員との相互信頼関係であるエンゲージメントを測定しその向上を図っていく。社会的課題についての安定を高めその課題解決に結びつけられるようにサステナビィリティ教育を階層別で進めている。
今年度はグループの全役職者を対象としてSDGs検証を実施している。
将来的にデジタル技術を当たり前のように使えていけるように昨年度から実施しているDF研修は、国内主要会社の全従業員約3300名が基礎編を受講完了する予定だ。
今年度は中計2年目の折り返しだ。長期経営目標「2030年」の姿に向けた重要な年だ。環境は厳しさを増すばかりだがピンチをチャンスに代えていけるようスピード感を持った対応を進めていく。
23年国内生産、マイナス予想 ―― (一社)日本冷凍食品協会
(一社)日本冷凍食品協会は13日、東京・築地のニチレイ本社で冷凍食品記者クラブの年末会見を行い、大櫛顕也会長は2023年1月~12月の国内生産の見通しについて、「23年1月~10月の自主検査数量は対前年比91.6%で推移している。このまま推移すれば2023年の生産数量は22年を下回る見込みだ。数量では22年の159万9000tに対して、154万t~156万tの見込みだ。実質所得のマイナスより家庭用が大きく数字を下げていること。業務用は回復基調で前年並みだ。金額ベースでは価格改定もあり22年の7639億円に対し、8000億円超となる見込み」とした。
23年の冷凍食品の販売面については、「家庭用冷凍食品は価格改定の効果もあり金額ベースでは増加をしているが、数量ベースでは減少傾向となっている。またコロナ禍で低迷していた弁当商材は、テレワークの減少や節約志向の強まり、メーカー側の入数・規格の見直しもあり数字は伸びている。今後、実質賃金の上昇が伴ってくれば冷凍食品の新しい価格体系が定着し、量的にも回復するとみている。業務用は回復基調にあり、量的にもコロナ禍以前の水準に近づきつつある。業態により大きな差があるが、コロナ禍以前の水準に戻っており、外食需要を中心に回復している」とした。
富岡市で『SDGs献立』 ―― 日栄物産など
SDGs献立
「ロス削減に役立ててうれしい」と完食
群馬・富岡市の富岡市学校給食センターが10月に実施した『SDGs献立』に、日栄物産(群馬・高崎市、平井昌一社長)が協力し、食品流通の場で発生する「まだ食べられるのに捨てられる食品」である「流通在庫」を給食献立として生かす取組が実施された。食品ロスの削減をはじめ、環境に負荷をかけていることは変えていかなければならない時代。『SDGs献立』の取組は全国的にも活用できるものであり、広がりが期待される。【詳細は学流協機関誌「学校給食研究3学期号」に掲載】
群馬・富岡市の富岡市学校給食センターが10月25日に実施した『SDGs献立』は、富岡市立西小学校の6年生41人とのコラボ企画『「MOTTAINAI」未来を考えよう!SDGs献立』の一環として提供されたもの。学校給食を通して食品ロスの調べ学習をし、児童が考えた課題解決への提案を給食センターが献立に落とし込み、それを実際に食べる、という内容となっている。
献立内容は「・ごはん・牛乳・ひなまつり用の豆腐花形ハンバーグ・皮を剥かないにんじんしりしり・みそ汁・急なキャンセルによる在庫品、お米のタルト」。注目点は、食品流通の場に実際にある、まだ食べられるのに捨てられる食品である「流通在庫」が活用されていることだ。
『SDGs献立』の提供当日には、給食の喫食時間の前に10分の時間を設けて内容説明と関連動画を放映。納入業者の日栄物産も登壇し、「君達のおかげで食品ロス削減が一歩進んだよ」と子供達に伝えた。給食を食べた子供達からは「自分たちの提案が反映された献立を食べられて、食品ロス削減に役立ててうれしい」との声が聞かれた。『SDGs献立』は、食品ロスが発生してしまう社会の実情を子供達が調べ、自分にできる課題解決を考え、給食として食べることまでつながり、まさに食育の生きた教材となった。
『SDGs献立』に取り組んだ福永桂子栄養教諭は、「給食で食べ残しをしないようにするという帰結だけでなく、もっと広い視野で子供達が社会を考えるようにしたい、という指導教諭の要望を受けて、食育としてどのように落とし込むかを組み立て、流通在庫を『手を付けていない物を別のものにアレンジして食べる』という児童の提案に応えるメニューとして取り入れた。」としている。
地域の食ロス削減として継続
富岡市学校給食センターでは9月より、食品ロス削減向けとして賞味期限が近い食品などで廃棄見込みの在庫商品の献立への活用の呼びかけを、全ての納入業者に対して行っている。
同センターの予定食数約3700食に対して、
・1規格でも、2規格でも構わないこと
・同じ原材料であれば、形状が違ってもよいこと(例:ハンバーグ星形+こいのぼり型)
・商品の数が食数に満たない場合には、通常の発注と合わせることも可能(価格が違っても構わない)
というものであり、納入業者のハードルも高くはない。日栄物産も、「給食で使用する数量に見合った在庫品がある際には協力する」としている。
GPは「ギョーザ」(味の素冷食)が4年連続で受賞 ―― 日本アクセス、フローズン・アワード
(左から)佐々木会長と味の素冷食・山口部長、服部社長
日本アクセスは12日、東京・西品川の同社本社で、「第11回フローズン・アワード」表彰式が行われ、冷凍食品部門のグランプリには「ギョーザ」(味の素冷凍食品)が選ばれた。
表彰式で山口元洋味の素冷凍食品マーケティング本部国内統括営業部首都圏リテール営業部長は、「受賞は4年連続だが、今回については相当感慨深い。春に価格改定を実施、上期は売上は苦戦している。それでも価格訴求ではない価値をしっかり伝え、コミュニケーション強化を一丸となり取り組んでいる。その中で、この賞を頂いたのは大変うれしい。今後も冷凍食品の魅力訴求をけん引していきたい」とした。