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今週のヘッドライン|2023年11月第2週号

食品の収益大幅改善 ―― 大手水産上期業績

 マルハニチロ、ニッスイ、極洋の水産大手3社の2024年第2四半期決算が出揃った。食品事業についてはマルハニチロは加工食品・食材流通セグメントは大幅な増益。前期からの価格改定の浸透と、業務効率化などが奏功した。通期も増益を見込む。ニッスイも食品事業は国内外とも大幅増益。人流回復による業務用の好調、健康領域商品の拡大や価格改定効果などが寄与した。通期も国内外で値上げが浸透した食品が全体をカバーする見込みだ。極洋の食品事業は増収増益。自社工場製品拡販に価格改定で大きく改善した。

マルハニチロ 売上、利益過去最高に

 マルハニチロは6日、2024年3月期第2四半期決算を発表した。
 連結売上高は5073億5600万円(前期比4.6%増)、営業利益は167億5700万円(同5.2%増)、経常利益は209億1400万円(同1.4%減)、四半期純利益は108億9400万円(同17.0%減)。魚価の高騰や前期に実施した加工食品の価格改定を受けて、売上高は前期に続き統合以来過去最高を更新。利益面では、営業利益は食品が増益に寄与した。経常利益は為替差益の前期との差で微減、当期利益は特損32億円の計上等で減益となった。
 加工食品・食材流通セグメントは大幅な増益。前期から実施の価格改定が浸透したほか、商品の見直し、削減などによる業務効率化・生産性向上が奏功した。
 加工食品セグメントは売上高518億円(同5.9%減)、営業利益32億円(同32.1%増)。加工食品ユニットでの価格改定の浸透により32%の増益。同セグメントの加工食品ユニットの売上高は481億円(同5.7%減)、営業利益27億円(同63.2%増)。消費者の節約志向の影響があり減収となった一方、利益面では原材料や円安による影響はあるが価格改定効果で増益となった。 食材流通セグメントは売上高1572億円(同7.6%増)、営業利益40億円(同157.6%増)。価格改定浸透に加え、業務効率化や生産性向上で158%の増益。同セグメントの食材流通ユニットは売上高1084億円(同4.0%増)、営業利益32億円(同174.2%増)。外食・介護食・生協・CVS向けへの販売が堅調に推移した。また価格改定の浸透、商品数の削減など業務効率化等で増収増益となった。

ニッスイ 利益前年大きく上回る

 ニッスイは6日、2024年3月期第2四半期決算を発表した。連結売上高4071億3400万円(前期比7.9%増)、営業利益162億7500万円(同22.1%増)、経常利益170億1800万円(同15.6%増)、四半期純利益116億8500万円(同0.5%減)となった。
 売上高は、為替影響に加え食品の値上げ効果もあり増収。利益は食品が貢献し前年を大きく上回り営業利益は22%増益、計画に対しても順調に推移した。四半期純利益は前年に日水製薬の株式売却等もあり前年並みで推移している。
 食品事業は売上高2191億円(同16.9%増)、営業利益141億円(103.8%増)と国内外とも大幅増収増益。国内外とも人流回復により外食などの業務用が好調に推移したことに加え、健康領域食品の拡大や値上げ効果で大きく伸長。チルドもCVS向けおにぎりなどが順調で増収増益となった。
 ニッスイ単体の食品事業売上高は801億円(同8.8%増)。そのうち家庭用調理冷食は売上高204億円(同7.0%増)、業務用調理食品257億円(同12.6%増)、農産冷食66億円(同14.8%増)。なお、単体冷食と海外冷凍食品の合計は1145億円(同14.8%増)となった。
 通期業績見込みは売上高8200億円、営業利益200億円、経常利益290億円、当期純利益215億円を計画。売上高は円安での上振れを織り込み期初計画で200億円上方修正した。
 売上高は水産、食品とも為替影響もあり増収、営業利益は市況下落を強めにみるが、国内外とも値上げが浸透した食品が市場全体をカバーし増益の見込み。
 通期の食品事業は売上高4395億円(同15.1%増)、営業利益238億円(同108.9%増)を計画。下期以降の主な打ち手は、国内ではおにぎりや麺類、健康領域商品群など販促策を講じ、販売数量を伸長・回復を図る。販売拡大と生産性改善を図る。

極洋 食品増収増益に、冷食好調

 極洋は6日、2024年3月期第2四半期決算を発表した。
 連結業績は、売上高1260億7500万円(前年比5.6%減)、営業利益39億9600万円(前年同期比25.7%減)、経常利益41億4200万円(同28.6%減)、四半期純利益24億5100万円(同41.7%減)となった。水産、生鮮セグメントの売上と利益が前年を下回り、食品及び物流は売上、利益ともに前年を上回った。その他は増収減益で推移している。
 セグメント別の実績のうち、食品事業は売上高326億2800万円(同13.3%増)、営業利益15億円(同192.4%増)となった。今期から寿司種などを取り扱う生食事業を水産セグメントに組み替えており、前年比もセグメント後に組み替えた実績との比較。
 食品事業に含まれる冷凍食品の売上は約249億円(前年同期差39億円増)となった。自社工場製品の拡販に価格改定が加わり、大きく改善した。冷凍食品のうち、家庭用は約73億円(同13億円増)、業務用は約176億円(同25億円増)だった。市販用冷凍食品は、煮魚、焼き魚やフライ製品などの弁当用商材の販売が拡大した。業務用は、生産コスト上昇を反映した値上げにより、販売数量減少の動きが見られたものの、価格改定効果で、切り身や煮魚、焼き魚、水産フライなどが伸長した。
 6日に東京・赤坂の同社本社で開催した決算説明会で井上誠社長は「上期はロシアのウクライナ侵攻や中東の問題など、世界情勢が不安定化した。国内に目を転じるとインバウンドが高まり、当社製品に対する需要も高まっているが、人手不足などによって供給が間に合わないという実情がある」とした上で「当社も、中国向けのホタテや一部マグロの販売が止まるなど世界情勢の影響を受けた。上期は減収減益となったものの、足下で原料価格が下がっている魚種も多く、年末商戦で巻き返して通期の目標を達成できると考えている」としている。

関東第3工場ライン増設 ―― イートアンドフーズ

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24年3月の増設を予定

 イートアンドフーズは6日、関東第3工場(群馬県板倉町)に餃子・焼売の生産ラインを増設すると発表した。増設するラインの稼働は24年3月を予定。増設により生産能力が現在の約1.2倍となり、拡大する冷凍餃子市場に対する供給体制を強化する。
 新ラインは、現在「大阪王将羽根つき餃子」を製造している既存レーン隣に設置する。新ラインでは「羽根つき餃子」及び「たれつき肉焼売」の餃子・焼売のハイブリッドラインとなる。2つの製品を切り替えながら生産することで人気の「羽根つき餃子」の生産能力を伸長させつつ、発売以降品薄状態が続いている「たれつき肉焼売」を大幅に生産増強する。
 「羽根つき餃子」では全gタイで月間約116%、「たれつき肉焼売」では同200%増強が可能となる。ライン増設の投資総額は約7億円。ライン増設後の第3工場の生産能力は月産1000t(羽根つき餃子換算した場合)。
 また、商品のリニューアルに伴う製造工程や包装工程の変化・刷新にも対応加工で、新技術を積極的に導入し高品質と安全性の追求と低コスト運営の両立を図る。
 関東第3工場は23年1月に稼働を開始した日本最大級の餃子製造工場。「羽根つき餃子」1ラインを設置して製造していた。
 同工場は最大で5ラインの導入が可能。新ライン増設後、残りのエリアでは新カテゴリーの生産を検討している。

会社所在地

〒160-0008
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