23年秋冬家庭用新商品 大幅減、絞り込み進む ―― ラーメン、プレート充実、健康配慮・2極化対応も
2023年秋の家庭用冷凍食品新商品は本紙調べで25社から107品、リニューアル品83品が投入された。新商品数は昨年の151品から44品の大幅減、リニューアル品も昨年の98品からやや減少した。コロナ下の需要・価格改定との兼ね合いもあり大幅に増えた昨年と比べ各社提案の絞り込みが図られた。トレンドは伸長するラーメンやプレートメニュー。また健康、環境への意識の高まりに対応した商品提案が進んでいる。価値の浸透と値上げによる節約意識の高まりにより品質と値頃感を訴求する2極化対応も進んだ。
昨年に比べ、大きく絞り込みが進んだ23年秋冬新商品。22年との比較でも30品の減となっている。昨年12品だったマルハニチロや15品だったテーブルマークがそれぞれ9品、6品と1桁台に。23品から6品と大幅な絞り込みを進めた日清製粉ウェルナもコロナ禍・コストインフレに伴う価格改定の中でアイテム数を増やしてきたが「ひと段落した」とし、今後の商品数の絞り込みの方針を示した。
カテゴリーごとの状況を見てみると今秋の新商品で目を引いたのが「冷凍ラーメン」と「プレート」。ニッスイが〈わが家の麺自慢〉シリーズに「国産野菜の濃厚味噌ラーメン」を投入する他、有名店監修商品としてマルハニチロが「麺魚 鶏だしらーめん」、テーブルマークが〈まるぐ〉シリーズを投入するなど、大手メーカー各社が揃って伸長する冷凍ラーメン市場への提案を図った。
ニップンがけん引してきたワンプレートにも各社が参戦。ニチレイフーズは新たに〈三ツ星プレート〉と立ち上げ、生パスタとこだわりのおかずのセット商品3品目を発売した。ニッスイも〈まんぞくプレート〉に「ふっくらごはんと四川風麻婆豆腐」を加えた。
栄養・環境をテーマにした商品も各社充実しつつある。味の素冷凍食品が今回、米飯で取り組んだのが、同社従来比で塩分を40%カットした「白チャーハン」、またニチレイフーズも健康面に配慮した「ささみブロッコリー」を提案している。日清食品冷凍はグループにおけるドライ商品で支持を得る、栄養と美味しさを両立した〈完全メシ〉で初の家庭用冷凍食品を投入した。
2極化が進む中で、ワンランク上の提案を進めたのが主力の〈オーマイプレミアム〉に「至極」シリーズを提案したニップン、そして〈青の洞窟〉新アイテムとしてラザニアを加えた日清製粉ウェルナ。一方で日清食品冷凍は具なしタイプの〈冷凍日清本麺MATCH〉により買い求めやすいアイテムの展開も進めた。
その他、ケイエス冷凍食品は「もっちりまんまるたい焼(さつまいも餡)」で初のスイーツメニューに挑戦。また、メディカル向け冷凍蒸し野菜を展開する勝美ジャパンが市販用に参入し6品を発売した。
消費者キャンペーン抽選会開催 ―― 首都圏市販冷食連絡協議会
左から、西川氏、齋藤会長、三浦冷食協部長、菅野副会長
首都圏市販冷食連絡協議会(市冷協)は8月24日、東京大田区の事務局会議室で「2023年度市冷協消費者キャンペーン抽選会」を開催した。正会員、賛助会員、冷食協、報道関係者立会いの下、厳正な抽選を行った。
今年度の消費者キャンペーンは「2023毎日おいしい!冷凍食品キャンペーン」と題して、6月1日~7月31日に実施した。
有効応募総数の速報値は4万4654通で、前年の4万8703通と比べ4049通減(前年比92%)となった。
DM経由の応募は5389通(同99%)、一般の応募総数は3万9296通(同91%)だった。
今回の結果について菅野進副会長(三菱食品商品統括低温商品オフィス担当部長)は、「今年度の消費者キャンペーンについて、応募者数はやや前年のカウンターがあったものの、好評を博している。キャンペーンの景品はどれも総じて人気が高く、今回初めて実施するトークショーの参加資格にも多くの応募を頂いた。昨年度から継続して選定しているセカンド冷凍庫については、メインの冷蔵庫の買い替えの時期が迫っている生活者が多く、今後の需要を注意深く見ていきたいと考えている。また、キャンペーンの応募方法についてハガキ以外の手法を求めるヘビーユーザーも増えている。新しい手法について検討していきたい」とした。
齋藤顕範会長は、直近の市販用冷凍食品の販売状況について「新型コロナウイルス感染症が5類に移行して生活者の外食利用も増えたが、市販用の冷凍食品の需要は前年比引き続き好調に推移している。お弁当の伸びが顕著で、冷凍麺や農産品も良く動いており、フルラインで売上が拡大している。」と振り返った。
その上で、「このような市場の状況も踏まえながら、今年も冷凍食品のキャンペーンを展開し、多くの生活者に応募して頂いた。今年度も初の試みとなるトークショーを始めとした様々な取組を進めていくことで市場の活性化に努めていく」とした。
三菱食品、キユーソー流通システムが合弁会社 ―― 食品物流の一部を統合
三菱食品とキユーソー流通システムは8月29日、両社の主に食品を対象とした物流事業の一部を統合して、合弁会社「エル・プラットフォーム㈱」を設立、業務提携を行うと発表した。合弁会社の始動は24年4月1日付を予定する。
合弁会社の設立は、三菱食品が100%子会社として設立する準備会社に両社の主に首都圏における低温物流事業を両社が移管する。事業内容は主に首都圏における低温物流事業。資本金は1000万円。出資比率は三菱食品75%、KRS25%(予定)。設立は23年10月2日。所在地、代表者等は未定。
今後も成長が期待される主に食品を対象とした首都圏エリアの低温物流の分野で提携、協力して物流事業を推進する。
今回の合弁会社設立・業務提携は、「物流2024年問題」やサステナビリティの実現が求められる中、卸事業会社と物流事業会社と異なる立場の両社が、従来の受委託の関係性を飛び越え、パートナーとして食品の物流に関する知見・経験を掛け合わせることで様々な新しい価値を生み出すことを目的としている。