家庭用新商品 冷凍ラーメンに注力
マルハニチロ、ニッスイ、テーブルマークなど大手メーカーが秋冬向け家庭用冷凍食品新商品を発表した。3社ともにメインに打ち出すのは冷凍ラーメン。市場の伸長、また消費者にチルドだけでなく冷凍ラーメンの認知度が拡大する中で、“具材感”など冷食ならではの強みを打ち出す商品を投入している。また、近年、顕著に見られるのは名店監修メニュー。マルハニチロは「麺魚」、テーブルマークは「らぁ麺やまぐち」「麺屋武蔵」といった都内の有名店とのコラボレーションを加速している。
マルハニチロ、魚介系ラーメン第2弾
魚介系ラーメン有名店コラボ第2弾
マルハニチロは13日、2023年秋季新商品を発表した。家庭用冷食品は新商品9品、リニューアル3品の計12品を投入する。発売日は一部を除き9月1日。
家庭用冷凍食品では、主食(麺・米飯)と食卓惣菜の強化を図った。
麺では伸長するラーメン市場に向け、「えびそば一幻」に続く魚介系ラーメン有名店コラボ第2弾〈あじわいのれん〉シリーズ「麺魚 鯛だしラーメン」を投入する。東京・錦糸町の有名店「麺魚」とコラボし、同店人気ナンバーワンメニュー「真鯛ラーメン」を再現した。店舗と同様に鯛の旨みを凝縮し、香ばしさがクセになる味わいの特製スープ、全粒粉入り自家製麺、具材はチャーシューと小松菜、炙った白身魚をトッピングした。想定売価は400円台。なお有名店コラボ品は、既存品「えびそば一幻 あじわいえびみそ」とともに今回より〈あじわいのれん〉とシリーズ化する。
食卓惣菜では、「新中華街あら挽き肉しゅうまい」を復活、新商品として投入する。同商品は昨年の広島工場火災の影響で販売を休止していたが、今回、新商品として販売するもの。あら挽き肉の食感となめらかな皮にこだわった。1個当たり2g増量し、食べ応えにもこだわった。
主菜と副菜がセットになった〈おかずプレート〉シリーズでは、「ロールキャベツ」「みぞれ煮風チキンカツ」の2品をラインアップ。個食米飯のWILDishシリーズには「牛カルビ焼肉ごはん」「ドライカレー」を追加した。
弁当商材では「スタミナメンチ!」をラインアップ。グラ・ドリでは「揚げなす入りボロネーゼグラタン」、「グリル野菜のカレードリア」を投入する。
ニッスイ、濃厚味噌ラーメン
独自技術「香りUP製法」を採用
ニッスイは19日、23年秋冬新商品を発表した。家庭用冷凍食品は新商品7品、リニューアル12品の計19品。発売日は一部商品除き9月1日。
具付麺では〈わが家の麺自慢〉シリーズから「国産野菜の濃厚味噌ラーメン」を投入。白みそ、麦みそ、焙煎みその3種の味噌を使用し、コクと味に厚みのある濃厚スープに仕上げた。焙煎みそは同社独自技術「香りUP製法」で香ばしい香りに、スープは特許技術「コク味アップ製法」でコクのある味わいに仕上げた。具材は豚肉ときくらげ、直火で炒めたキャベツなど5種の国産野菜入り。麺は北海道産小麦粉「ゆめちから」をブレンドしたのど越し良い自家製麺を使用した。たっぷり具材とこだわりの麺、独自技術による味わい深いスープが特長だ。
ワントレーの〈まんぞくプレート〉シリーズに新たに中華メニュー「ふっくらごはんと四川風麻婆豆腐」をラインアップした。ふっくらおいしい白米と、甜面醤、豆鼓醤、豆板醤の3種の醤を使用し、辛さと花椒の香りお引き立てた麻婆豆腐、副菜にはゆでたチンゲン菜。同商品から白米とおかずが混ざらないようトレーに仕切りを入れた。今後は順次既存品も仕切り入りトレーに変更する。
おにぎりでは、1個50gの食べやすい大きさで女性をターゲットに「食物繊維入りえだまめこんぶおにぎり」を投入。1個当たり食物繊維2g入り。
食卓向け惣菜では、〈今日のおかず〉「ベーコンポテト巻き」をラインアップ。おかずやおつまみに最適だ。
弁当商材の〈ほしいぶんだけ〉シリーズでは、若鶏のもも肉を使用し、独自のふっくら漬け込み技術で柔らかく冷めてもジューシーな「うまからチキン」を投入する。
1歳6カ月~3歳頃までの幼児食期の子ども向けの〈ニコパク〉シリーズには「宝をさがそう!親子丼」「同マーボー丼」の2品を新たにラインアップした。
テーブルマーク、具付きラーメン新シリーズ
5種の具材をトッピング
テーブルマークは14日、2023年秋季新商品を発表した。家庭用冷凍食品は新商品6品、リニューアル6品の計12品を9月1日より発売する。麺では、具材、麺、スープそれぞれにこだわりを込めた有名店監修の冷凍具付ラーメンの新シリーズ〈まるぐ〉2品のほか、国産の米粉と国産野菜を使用した山芋焼などを投入する。ベーカリー〈ここCafe〉シリーズの新商品や「詰めやすサイズ」の弁当商材も拡充する。
具付ラーメンの〈まるぐ〉シリーズでは、こだわりの5種類の具材をトッピングし、鶏ガラの香り引き立つ味わい深い醤油ベースの「らぁ麺やまぐち監修 まるぐ 鶏コクラーメン」、麺屋武蔵監修のこだわり具材とえび油と鶏ガラの香り引き立つ味わいの「麺屋武蔵監修 まるぐ えび香る魚介ラーメン」の2品投入する。
スナックでは、国産米粉と3分の1日分の国産野菜で作った生地の「山芋焼」をラインアップ。健康志向ニーズに応える。
ベーカリー〈うちCafe〉シリーズでは、丁寧に折り込んだこだわりの生地にダイス状のチョコを合わせ、外はさっくり、中はしっとり食感の「チョコスコーン」を拡充する。
弁当では、〈お弁当!詰めやすサイズ〉に「牛肉入りコロッケ」、「えび寄せフライ」を投入する。
増収、大幅増益で着地 ―― ナックス・12月期
石橋社長
ナックスは14日、2022年度(2023年12月期)の業績を発表した。
売上高は1816億9000万円(前期比6.7%増)、経常利益11億5000万円(同7.7%増)と2ケタの増収、大幅増益となった。2021年にスタートしたイオングループとの取引(東海エリア)が通年寄与したことと、また価格改定もあり売上は伸長。経常利益は、在庫管理精度の向上による廃棄商品の削減、物流改善等を実施したこともあり増益だった。
カテゴリー別の市販用冷凍食品は812億7000万円(同3.2%増)、アイス・冷菓247億4000万円(同6.8%増)、惣菜622億円(同14.1%増)、ベーカリー73億7000万円(同4.3%増)、その他61億2000万円(同11.3%減)だった。
なお、同社の売上高1816億円は、国分グループ低温フレッシュデリカ事業(売上高3961億円)の39.3%となり約4割のシェアとなる。
23年上期(1-6)は、売上高931億7000万円と前期比で9.6%増、予算も上回っている。
同社主要仕入先の会のNN会総会で石橋逸平社長は、長計ビジョン「Challenge to X~冷凍食品卸のプロフェッショナル集団への進化~」(21年度~25年度)に沿い、①主要得意先との取組推進②物流起点での冷凍卸機能強化③デジタル戦略の推進などを取組むとした。また定量目標では2025年度売上高2000億円を計画しているが、「2024年度に前倒しの達成の見込み」であるとした。
売上過去最高、大幅増益 ―― 大光・5月期
金森社長
大光は12日、2023年5月期決算を発表した。売上高は648億2500万円(前期比16.4%増)、営業利益7億6200万円(同452.3%増)、経常利益8億2000万円(同252.0%増)、当期純利益4億2400万円(同2353.7%増)となった。行動制限解除等に伴う外食需要の回復に加え、収益性の向上に取り組み、売上高は過去最高を更新、利益は大幅な増益となった。
セグメント別では、外商事業は売上高401億500万円(同21.4%増)、営業利益1億6500万円(前期は4億4200万円の営業損失)。外部環境の回復に加え、多様な業態への新規開拓に注力し売上は21.4%増と大きく回復。利益は粗利率の向上や物流コスト抑制などで6億円プラスとなり黒字化に転じた。
アミカ事業は売上高216億1700万円(同8.2%増)、営業利益16億5100万円(同20.0%増)。既存店売上は同74%増。外食事業者向けの売上回復に加え、一般向けも順調に推移。利益は光熱費の増加が響いたが粗利率の向上から20%増の増益となった。
水産品事業は売上高32億6500万円(同17.6%増)、営業利益1億500万円(同31.5%減)。
今期(24年5月期)は売上高703億円(同8.4%増)、営業利益8億2000万円(同76%増)、経常利益8億8000万円(同7.3%増)、当期純利益5億5000万円(同29.6%増)を計画する。コロナ5類以降による人流の一層の増加など外食産業を取り巻く環境の改善を想定。売上は700億円超を見込む。利益は24年3月に予定する新本社兼物流センター取得に伴う初期コスト等の経費増を想定するが、2期連続増益を見込む。