海外堅調で売上10%増 ―― ニチレイ・3月期
大櫛社長
ニチレイは9日、23年3月期決算を発表した。連結売上高は6622億400万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は329億3500万円(同4.9%増)、経常利益は334億4800万円(同5.6%増)、当期純利益は215億6800万円(7.8%減)となった。売上高は主力事業において海外を中心に引き続き堅調に推移し増収、営業利益は、主力事業の収益改善に加え、バイオサイエンス事業が好調に推移したことなどにより増益となった。セグメント別では加工食品の売上高が2756億9700万円(同12.9%増)、営業利益が139億6200万円(同2.0%減)、低温物流の売上高が2442億700万円(同8.8%増)、営業利益が151億4700万円(3.6%増)となった。
加工食品のカテゴリー別売上高は家庭用調理品814億円(同6%増)、業務用調理食品1001億円(同8%増)、農産加工品204億円(同2%増)、海外589億円(同44%増)。
国内では家庭用でチキン加工品の販売数量伸長やハンバーグなど食肉加工品の取り扱いが拡大する他、業務用で外食・中食向けチキン加工品の拡販に注力し、ハンバーグ、カツ類を含む食肉加工品など主力カテゴリーの販売が好調に推移した。海外ではイノバジアン・クイーン社(米国)での家庭用商品の好調、GFPTニチレイ社(タイ)の欧州向け輸出が拡大し44%の増収となった。
営業利益は価格改定の実施やGFPTニチレイ社の業績改善が進んだが、円安の進行や原材料価格・動力燃料の高騰などコストアップが響いた。
なお、冷凍食品の売上高は2560億円(同7.3%増)。業務用調理冷凍食品1000億円(同8%増)、家庭用調理冷凍食品814億円(同6%増)、その他745億円(同7.8%増)、その他のうち農産加工品は204億円(同2.3%増)となっている。
価格改定の影響について、大櫛顕也社長は「お客様に受け入れていただき、売上増に寄与している。数量は商品によってでこぼこはあり、値上げ時は下がるが、その後回復しておりトータルでは落ちることがなかった。今後についてはマーケットの動向を見ながら考えていきたい」としている。
低温物流は物流ネットワーク事業や地域保管事業の売上が好調に推移したことに加え、海外事業も好調に推移し増収となった。営業利益はエネルギーコストの上昇があったものの、増収効果や業務改善および運送効率化などの施策を推進したことなどにより増収となった。
2024年3月期に向けて加工食品事業では、4月からの米飯新工場(福岡県宗像市)の稼働等により強みである米飯・チキンなど戦略カテゴリーの拡大を図るとともに、パーソナルユースの個食麺類の商品ラインアップを拡充、あらゆる業態向けに商品の開発・展開を図る。海外では米国で米飯やチキンの販売強化を図る他、家庭用アペタイザーの拡大に注力する。通期の連結業績見込みは売上高6750億円(同1.9%増)、営業利益345億円(同4.8%増)、経常利益348億円(同4%増)、当期純利益224億円(同3.9%増)。
■年間配当金22円引き上げ
ニチレイは2024年3月期より連結自己資本配当率(DOE)を現在の3%程度から4%程度に引き上げる。これにより年間配当金は74円(23年3月期52円)に引き上げられる。
中国にパン粉新工場 ―― ライオンフーヅ
従業員宿泊施設も完備
パン粉製造大手のライオンフーヅ(さいたま市・宮﨑裕一社長)は、中国に100%出資のパン粉製造の新工場「浙江獅子食品有限公司」(浙江省嘉興市海寧市海昌街道長山路31)を2月1日より稼働した。
新工場は、既存の獅子食品(嘉興)有限公司から車で約40分の嘉興市郊外・海寧市に位置している。設備は、焙焼1ライン・電極1ライン、ミックス粉1ラインの3ラインを設置し、1時間当たり100袋(1袋=25kg)の生産能力を持つ大型工場。建物面積は約2万㎡で2階建て。資本金は500万USドル。今回初の取組として、敷地内に従業員用の宿泊施設を完備した。従業員数は60人。
同社の宮﨑滋夫専務取締役は新工場について、「当社の中国工場は、現地外食、加工メーカー等への内販と欧米・オセアニア向けの輸出が2本柱だ。新工場では特に中国国内向け販売に注力していきたい」としている。
同社の中国進出は1996年の青島獅子食品有限公司が始まりで、中国では30年近い実績を持つ。
統合以来、初の1兆円 ―― マルハニチロ
マルハニチロは8日、2023年3月期決算を発表した。連結業績は売上高1兆204億5600万円(前期比17.7%増)、営業利益295億7500万円(同24.2%増)、経常利益335億円(同21.4%増)、当期純利益185億9600万円(同10.0%増)と増収増益。売上高は、魚価上昇や加工食品の価格改定を受け売上は計画を大幅に上回り、経営統合以来、初めて1兆円を超えた。営業利益、経常利益、当期利益とも統合以来の最高値を更新した。
水産資源セグメントは売上高5985億円(同23.8%増)、営業利益214億円(同60.2%増)。漁業、養殖、水産商事など各ユニットで増収増益。特に海外ユニットのタイ・ペットフード事業、北米のスケソウダラ事業がけん引した。
加工食品セグメントの加工食品ユニットは売上高989億円(同1.6%増)、営業利益17億円(同56.0%減)。食品全体の値上げによる消費者心理の冷え込みや節約志向が見られ、数量面では苦戦も、価格改定効果や販売拡大の施策が奏功し増収。利益は原材料、エネルギーコスト高騰、為替変動の影響を受けた、価格改定を実施するもコストアップと値上げの時期ズレで減益となった。食材流通セグメントの食品流通ユニットは売上高2113億円(同10.7%増)、営業利益23億円(同30.1%減)。外食向け販売が回復し、給食・介護食向けも堅調で増収も、コストアップ分をカバーできず減益となった。
■単体冷食、利益は苦戦
単体の市販冷凍食品売上高は524億円(前期比3億円減)、営業利益は21億円(同6億円減)、業務用冷凍食品売上高は529億円(同3億円増)、営業利益は18億円(同1億円減)だった。
なお、今期は、魚価高による消費減退、欧米での景気後退、コロナ需要の一巡などもあり、連結売上高9800億円(同4.0%減)、営業利益270億円(同8.7%減)、経常利益270億円(同19.4%減)、当期純利益185億円(同0.5%減)の減収減益を計画している。
普及9700万食超に、東海は6%増を達成 ―― 学流協の推奨品
(公社)学校給食物資開発流通研究協会(古川裕史会長)はこのほど、2022年1~12月の「学流協の推奨品普及実績」を発表した。昨年の普及実績は9万7385食(前年比2%減)で着地した。
月別では、1月(前年比103%)、2月(同100%)、7月(100%)、8月(122%)が前年を上回ったが12月は前年比90%にとどまった。
ブロック別では、北海道749万7000食(前年比1%減)、東北1017万4000食(同6%減)、関東2627万7000食(同1%減)、東海北陸1321万4000食(同6%増)、近畿1353万8000食(同2%減)、中・四国1561万8000食(同5%減)、九州沖縄1106万7000食(同3%減)。東海北陸で伸長を維持したほか、完全給食実施人員でみた構成比では中・四国、北海道、東北も市場規模に比較して多い普及を達成した。