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今週のヘッドライン|2023年3月第2週号

23年春夏家庭用新商品 前年減もリニューアル大幅増

 2023年春夏の家庭用冷凍食品新商品は本紙調査で24社から146品の発表数となり、昨年の154品からやや減少、リニューアル品は113品で昨年の96品を大きく上回る結果となった。リニューアルの増加は昨年から続く価格改定の影響も大きく、既存主力アイテムの強化が積極的に図られた。売場拡大とともに価格帯の幅が広がる中、品質・素材にこだわった高単価品も相次いで投入。その一方で家計負担に配慮し値頃感を追求した商品の提案も見られた。その他、プレートメニューやトレー入りといった個食化対応商品や野菜を充実した健康配慮型商品の投入、SDGsを意識した環境配慮型への改良も進んだ。

 ニチレイフーズは「やみつきねぎ塩炒飯」「チキンナゲット」の投入により得意の米飯・チキンのバラエティー化を図った。また、『新規需要の創造への挑戦』を掲げ、レンチン対応の「超メンチカツ」を投入。製法・具材にこだわり、“既存の冷凍メンチカツの概念を超えた逸品”を追求している。
 味の素冷凍食品がギョーザに続く“手間抜き”商品として提案するのが「私が仕上げるハンバーグデミグラスソース」。フライパンでの焼き工程とソース作りの“最後の仕上げ”のみでふっくらジューシーなハンバーグ調理を可能とした。
 プレートメニュー〈おかずプレート〉を新たに投入することでプレートメニュー市場への新規参入を図ったのはマルハニチロ。テーブルマークはお好み焼を前面刷新することで、よりふわふわ感を出し、No.1商材としての位置づけを不動のものとしていく。
 外食チェーンの参入も進み、冷凍食品売場において高単価品の品揃えが充実する中、プレミアム品質の商品提案も進んだ。ニッスイは外食品位にこだわったワンランク上の味を追求した「至福の味わいチキンライス」を投入。日清製粉ウェルナは主力個食パスタでソースや具材にさらにこだわった〈マ・マーTHE PASTA Specialite〉を立ち上げた。またイートアンドもプチ贅沢ニーズを意識した高品位の〈極み〉餃子2品を投入。シマダヤもプレミアム品質の冷凍麺のリニューアルを図っている。
 ロングセラーの区切りの年に新たな展開を図るのがニップンとケイエス冷凍食品。ニップンは発売20周年の〈オーマイプレミアム〉に期間限定品を投入。記念ロゴ入りのパッケージで販売する。ケイエス冷凍食品も発売30周年の「鶏つくね串」の品位を上げて店頭回転率を向上させる。
 グループ資源の積極的な活用も進む。日本ハム冷凍食品はシャウエッセン使用商品第2弾としてピザトーストを投入。明治はグループ横断ブランド〈まるごと野菜〉で新たに乳酸菌の力を活かした新シリーズを投入する。
 ラーメン類では日清食品冷凍が「ニンニクまぜそば」を投入、ニッスイも「ニンニクマシマシ豚まぜそば」を投入する等汁なし市場が拡大している。

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FOODEX・フローズンフューチャー賞 ―― グランプリ6品を選出

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授賞式では各部門におけるグランプリ受賞メーカー6社が登壇した

 「第48回国際食品・飲料展(FOODEXJAPAN2023」のフローズン企画「フローズンオブフューチャーアワード」の受賞式が7日に東京ビッグサイトで行われ6部門でそれぞれグランプリ商品が選出された。
【各部門グランプリ】
 ▽〈新商品大賞スナック部門〉=「冷凍 日清本麺ワンタン麺」(日清食品冷凍)▽〈同惣菜部門〉=「大阪王将極みの大粒肉餃子」(イートアンドフーズ)▽〈同素材部門〉=「夏のつるんうどん」(テーブルマーク)▽〈ヘルス&ウェルネス部門〉=「野菜を食べるピラフ」(ニチレイフーズ)▽〈ベンチャー&イノベーション部門〉=「四陸FROZEN海老のチリソース」(フーズパレット)。

売上、利益とも過去最高 ―― 国分グループ・12月期決算

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國分晃社長

 国分グループ本社は2日、2022年12月期決算を発表した。連結業績は売上高1兆9330億7300万円(前期比2.7%増)、営業利益151億8600万円(同32.5%増)、経常利益181億1900万円(同30.3%増)、当期純利益106億600万円(同61.6%増)。売上高、経常利益とも過去最高となった。
 売上については、行動制限解除による人流の回復でのフードサービス業態の回復、特に全体の3割を占める酒類(特に業務用)の回復に加え、低温分野の拡大などや価格改定の効果などにより増収。利益面では、エネルギーコスト、物流費などのコストアップ要因もあったが、単品収益管理や配送コストのローコスト化など体質強化策が奏功し、「2016年より進めてきた卸基盤再構築の効果が出てきている」(國分晃社長)としている。
 食品部門の売上高は1兆2524億8300万円(同2.5%増)。加工食品は8074億1700万円(同7.9%増)、冷凍・チルドは3961億9300万円(同7.7%減)、菓子488億7200万円(同9.9%増)。当期より収益認識基準を導入しており、冷凍・チルド類は収益認識基準を適用しない場合は、4286億3700万円(同6.5%増)と前年比プラスで推移。
 なお、冷凍食品は2959億円(同9.9%増)、チルド1735億円(同3.5%増)、冷菓493億円(同3.6%増)となっており、「低温フレッシュ事業全体の機能強化で、中食、低温を中心に業績を向上させている」(同社)と説明している。

■23年は「食の価値創造の実践と循環」がテーマ
 2023年度について國分晃社長はグループ方針を「食の価値創造の実践と循環」とするとし、具体的には①共創圏パートナーとの価値創造活動の加速②顧客満足度No.1にこだわる③新シンプル業務KPIを基準としたバランスのとれた経営改善④Withコロナの働き方の確立⑤地域ビジネスモデルの確立⑥メーカー価格改定への対応の6点を重点方針に掲げた。
 今期の環境については、「フードサービス事業の回復、酒類の回復に加え、ドライ、冷食、生鮮などの取り扱いの増加が期待できる。構造改革効果も出ると思う」としている。久世、トーホーとの取組みについては、「物流、商品面でのシナジーを発揮していきたい」とした。

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