冷凍食品新聞社 発行日(週刊・毎週月曜日)購読料1年33,600円(+税)昭和44年6月19日第三種郵便物認可

今週のヘッドライン|2023年2月第4週号

ベジテック、デリカFと資本業務提携、国内最大規模のアグリ連合体に ―― エア・ウォーター

▼キャプション▼
(左から)矢﨑デリカフーズ社長、豊田AW会長、遠矢ベジテック社長

 エア・ウォーター(以下、AW)、ベジテック(神奈川県、遠矢康太郎社長)、デリカフーズホールディングス(東京都、大﨑善保社長)は20日、資本業務提携を締結し、3社協業の青果物流通プラットフォームを構築すると発表した。AWが28日の払込期限でベジテックの株式の5%を取得し、3月8日の払込期限でデリカフーズの株式を追加取得して持ち株比率を1.49%から10.57%に上げる。ベジテックとデリカフーズも業務提携を締結する。AWアグリ&フーズ(以下、A&F社)、ベジテック、デリカフーズの売上高の合計は約2400億円。青果物卸マーケットの約8%の売上を有する、国内最大規模のアグリ連合体が誕生する。

 AWと、青果物の加工や卸売りを営むベジテック、業務用野菜の仕入れ販売とカット野菜の製造販売を行うデリカフーズが、それぞれの①原料調達②加工③物流④販売─機能を活用し、原料調達から販売までを3社で完結するバリューチェーンを構築する。
 ①調達については、3社で役割を分担して機能を集約し、効率化させる。手始めに、AWが北海道のグループ各社を統合して4月に立ち上げる新会社に、北海道エリアの原料調達を集約させる。この原料は、A&F社が今後の商品戦略の軸に据える冷凍野菜、フロチル惣菜にも活用する。
 ②加工については、AWの14拠点、ベジテックの17拠点、デリカフーズの13拠点を相互に活用し、新たな工場の新設も進める。
 ③物流については、3社合計120拠点の物流・貯蔵施設を共同利用して物流を効率化する。産地物流と幹線物流をAWが、販売物流をデリカフーズが主導する分業体制も構築する。また、3社共同で物流拠点も新設する。  ④販売については、コンシューマー向けに強みを持つベジテック、外食向けが約9割を占めるデリカフーズなどが販路を補完しながら、3社の商品を総合的に提案できる体制を構築する。営業拠点を相互利用してよりきめ細かな営業を行い、新たな販路も開拓する。
 20日に東京・八重洲のベルサール八重洲で開いた会見の席上で豊田喜久夫エア・ウォーター会長は、「3社が、それぞれの強みとリソースを相互に活用して、国産農業の発展に寄与することを目指して資本業務提携を締結した。業界に一石を投じる取組だと考えている。今後我々に合流したいと考える企業も出てくるのではないか」とした上で、協業によって各社の成長力を高め、3社の年間の売上合計を5000億円規模に引き上げる方針を示した。

 会見で発表した協業の概要は次の通り。
 ▽国内外における3社の契約農家及び調達ルートを活用した原料調達▽3社のカット野菜・加熱野菜・冷凍野菜の相互販売▽小売、EC、外食、中食産業を中心とした取引先の開拓と拡大▽3社の物流ネットワークおよび拠点・施設を活用した青果物流通・インフラ事業▽鮮度保持・食品加工技術などの共同開発及び加工センターの共同運営と新加工センターの設立▽成分分析データを活用した青果物の付加価値向上およびブランド化

SMTS、初の〈冷凍×食〉

▼キャプション▼
冷食×食エリア
▼キャプション▼
横山会長

 (一社)全国スーパーマーケット協会は15日から17日の3日間、千葉県千葉市の「幕張メッセ」全館で「スーパーマーケットトレードショー2023」(SMTS)を開催した。2046社・団体が3271小間を出展した。併せて「こだわり商品フェア2023」「デリカテッセントレードショー2023」も開催した。
 57回目の開催となる今回は、主催者企画として初めて「冷凍×食」エリアを設置した。同エリアには、①ライブステージ②情報発信コーナー③冷凍×新商品ピックアップ展示④PB試食─のコーナーを展開した。 
 そのうち、①では三浦佳子(一社)日本冷凍食品協会広報部長による「プロだからこそ知っておきたい、冷凍商品の基礎知識」を皮切りに、有識者による計9講演を日替わりで実施した。ステージの様子は冷凍食品王子の西川剛史氏がTwitterで随時配信した。
 ②では、(一社)冷凍食品協会、(一社)フローズンエコノミー協会、富士電機などが冷凍食品関連の情報を提供し、パネルで説明した。「ど冷えもん」などの冷凍自販機も設置して、スタッフが自動販売機を使った新たな冷凍食品の販売方法についても説明した。
 ③には蓋つきの平台什器を展開し、「冷凍めん類・冷凍スナック・冷凍米飯・冷凍パン」「冷凍素材(青果・畜産・水産・ミックス)」などのポップを付けて、各社のお勧め冷凍食品も展開した。
 ④では、成城石井、紀伊国屋などの量販店で販売している冷凍のPB商品計9品を、時間を分けて試食として提供した。多くの来場者が詰めかけ、長蛇の列ができる人気コーナーとなっていた。
 SMTSの開会式で挨拶した横山清実行委員長(アークス社長)は、「今回のトレードショーでは、冷凍食品を取り上げた〈冷凍×食〉コーナーなど、多彩な主催者企画を展開する。コロナ禍によって生活者の行動が変わり、価値変容が起きた。新たなニーズに即したサービス、商品を提案し、生活者に更に豊かな生活を提供したい」とした。

ベトナムに新合弁会社 ―― ニチレイロジ

▼キャプション▼
新センター外観イメージ

 ニチレイロジグループ本社は17日、ベトナムの大手低温運送会社「TanBaoAn Logistics Joint Stock Company」(TBA、ホーチミン市)と合弁で、低温物流事業を行う新会社「Nichirei TBA Logistics Vietnam LLC」を設立すると発表した。新会社は2月中に設立、2023年度中に出資を完了し、2024年度中での新センター設立と同時に事業開始を予定している。
 新会社の資本金は4800億ベトナムドン(約27億円)。出資比率はニチレイロジグループ本社85%、TBA15%。
 ニチレイロジグループでは、1988年のオランダを皮切りに欧州へ進出、2004年から中国、13年からタイ、18年マレーシアとアジア圏でも事業を展開しており、現在の海外事業連結売上高は総売上高の2割(459億円=22年3月期)を占めるまで成長し続けている。
 今回進出を決めたベトナムは、農林水産品を中心とする輸出商材の巨大市場であり、また中間所得層の増加に伴う生活水準の向上で、輸入商材や小売関連商材をはじめとする国内消費需要が伸長しており、きめ細やかな温度管理が求められる低温物流市場の拡大が見込まれている。合弁相手のTBA社は自社所有の冷蔵・冷凍トラックを活用し主に小売店向けの輸配送事業を手掛けるベトナム大手の低温物流会社。冷蔵倉庫運営を含めた包括的な低温物流事業のノウハウを有するニチレイロジグループと、低温運送事業を展開するTBA社が協働することでお互いの強みを生かした高度な低温物流サービスの提供を見込んでいる。
 新会社では、2024年度中を目標に、ホーチミン市中心部から約20km南に位置し、近年輸出貨物取扱拡大が期待されているヒエップクック港にもアクセスの良いロンアン省ロンハウ工業団地に冷蔵倉庫(想定収容パレット約2万枚)を新設する予定。

今年度は研修会など再開 ―― 日本野菜協会

▼キャプション▼
中野会長

 (一社)日本野菜協会は14日、東京・銀座のコートヤードマリオット東武銀座ホテルで通常総会・講演会を開催し、会員約200社の内176社が参加した。
 総会では、任期満了に伴う役員改選を諮った。新たに堀内寛農業総合研究所社長、インフォマート地方創成推進部大島誓二郎氏が理事に就任した。藤田直人理事(NECキャピタルソリューション執行役員)、山村英司理事(合同会社の羽田ファーム代表)、米田俊一理事(安藤青果代表取締役社長)は退任した。また、若手会員による分科会「ヤンベジの会」の会長に、久信田清人幹事(茨城中央園芸農業協同組合代表理事)が就任した。新役員を代表して挨拶した中野亘会長は「当会が大切にしている“仕事に繋がる会”という理念の下で役員一同、会員にとって有益な会の運営に努めていく。本年度も、引き続き協力を賜れば幸いだ」とした。
 令和5年度事業については若手分科会「ヤンベジ」研修会を等を再開する。

会社所在地

〒160-0008
東京都新宿区三栄町24番地
黒田ビル2階