新たなステージを目指す 食品加工の強化を推進、海外事業を収益の柱に ―― ニチレイ・大櫛社長
ニチレイの大櫛顕也社長は6日、東京・築地の同本社で年末会見を行った。大櫛社長は、今年度からスタートした中期経経営計画「Compass Rose 2024」の進捗状況を、同社が制定した2030年までに達成すべき「食と健康における新たな価値の創造」「食品加工の強化と低温物流サービスの高度化」など五つの重要項目ごとに説明、「豊かな食生活、健康を支える企業としてサステナビィの経営と資本効率の向上を追求し、新たなステージを目指す」と2023年に向けた抱負を語った。
発言要旨は以下の通り。
「食と健康における新たな価値の創造」は、事業会社が進めていくことと持ち株会社主導で進めていくことの2本立てで考えている。
後者は既存領域を超えた調整として位置づけており、イノベーションマネジメントシステムを活用した事業プランの検討と実施に取り組んでいる。加えて本年度は昆虫食のスタートアップ企業であるTAKEO社に出資した。昆虫食の取り組みを進めていく。
「食品加工の強化と低温物流サービスの高度化」については、国内事業はもとより海外事業が新たな収益の柱になることを目指す。
海外売上高の構成比率は2024年中計最終年度で20%以上。30年度は30%を目標としておりグローバル化をさらに進展させる。
国内事業は、慢性化している労働力不足に対し、デジタル化技術を推進し省人化を進めると共に、顧客の人材不足を解決できる商品、サービスを提供する。
「持続可能な食の調達と循環型社会の実現」は、今年4月にサプライヤーの行動規範、それとサプライヤーのガイドラインを制定した。今年度はESAに関するアンケートを実施したが、今後さらなるサプライヤーとのコミュニケーションを深め、SDGsのベースとなっている「人権、社会価値」と「経済的価値を作り出していくのに不可欠な環境」に配慮したサプライチェーンの構築を進める。
「気候変動の取り組み」に関しては50年のカーボンニュートラルの実現を目指し、CO2の排出量削減をグループKPIとしている。15年度比で24年度は30%、30年度は50%削減を目標としている。
その実現に向けて今中計では300億円近い環境投資を計画した。食品工場、物流センターでの太陽光発電設備の設置、SRIを活用した再生可能エネルギーの調達、自然冷媒への切り替えによる脱フロン化を計画通り進めている。
また水リスクに加え、要調達原料であるチキンや米、リスクシナリオ分析を行いTCFDの提言に基づいた情報開示を積極的に行っている。これら環境と調達に関しては特に優先度を上げて取組を進めている。
「育成」に関しては、多様な人材の確保と育成のため、グループ人材方針を今年7月に制定した。サステナビリティと基本方針を実現するための最重要資産は人材だと考えている。中計では、新しい時代に必要なデジタルリテラシーやスキル習得のため、特に人材の育成を重点的に行っている。最終年度となる2024年度にはDXをけん引するデジタルリーダーを国内主要会社の各部署に1名ずつ任命することを目指している。基礎的なリテラシー教育は、私も含めて全社員が受講する予定だ。
最後に「コンパスローズ2024」は長期経営目標2030年の姿の実現に向けた変革の期間と位置づけている。様々な事業変化をリスクとして捉えるのではなく、新たな機会、チャンスとして捉えニチレイグループは、豊かな食生活、健康を支える企業としてサステナビィの向上を追求し、新たなステージを目指す。
新しい“食”を創造、社名変更で決意示す ―― ニッスイ・浜田社長
ニッスイは1日、東京・西新橋の同社本社で年末会見を開いた。浜田晋吾社長は全体概況等について要旨以下の通り述べた。
当社は本日、日本水産㈱から「㈱ニッスイ」に社名変更した。変更は110余年の間、海に関わる事業で育んできた他社にないバリューチェーンの強みを存分に活かし、「水産」だけにこだわることなく、新しい“食”を創造していくという我々の決意だ。
2022年度の事業トピックスでは、新規事業・事業境界領域の開拓として、集約型流通事業㈱アクアプラットフォームを設立した。ピッキング・軽加工・配送を最適化し、水産物を中心とする食品の円滑な供給を実現していく。新規事業ではQD(キューディッシュ)事業をスタートした。冷凍技術の強みと、チルド事業で培った食材加工技術を掛け合わせて実現した。温めるだけの簡便調理、フロチル供給でフードロスの削減などに取組む。
経営資源配分の最適化では、ホウスイ、日水製薬の売却で230億円ほどの資金を捻出し、中長期的により成長が見込まれる分野、国内食品事業・新規設備導入や欧州食品事業、国内水産流通事業、欧州水産事業などに投資した。今後も海外M&Aを含めた成長分野への投資を積極的に行う。
当社2022年3月期の通期業績予想では売上高、当期利益計画を上方修正し売上高7500億円、営業利益225億円、経常利益225億円、当期純利益200億円とした。売上はほぼ計画通りとなるだろう。利益も、価格改定等を行うことで期初計画は達成できると見ている。
今後は現中計(GoodFoodsRecipe1(22~24年度)の基本戦略である①サステナビリティ経営の推進②グローバル展開加速③新規事業・事業境界領域の開拓④生産性の革新⑤財務戦略⑥ガバナンス強化を進めていく。
健康領域商品の拡大では、機能性表示食品、特定保健用食品、医薬品、速筋タンパク、減塩商品などの売上を2030年までに3倍にする。現在約270億円を800億円とする。
新規事業では、新規事業戦略の策定、新規事業の開発を事業開発部で推進する。また事業境界領域の開拓を行うため「InterBusinessPrpject(IB-pj)」を発足させ。事業横断での新規事業を促進させていく。
リブランディングでは、当社は4月より新ブランドをスタート。ミッションブランド(ブランドプロミス)を制定した。社名変更もリブランディングの一環だ。今後も変化への対応力を上げ、グループ全体で中計達成、長期ビジョンの実現を目指していく。
アイスコ 冷食専門店FROZEN JOE'Sをオープン 冷食専門卸の強み活かす
厳選した320品
相原社長
冷凍食品卸売とスーパーを運営するアイスコ(神奈川県横浜市、相原貴久社長)は9日より、神奈川県川崎市に冷凍食品専門店「FROZEN JOE'S」をオープンした。
同店舗は有名レストランのメニューや日本全国こだわりの特産品からNB、業務用商材まで約320品目を取り揃えた。平ケースで「専門店の味」「ファミレスの味」「エアラインの味」「全国ご当地餃子」「ミールキット」「イタリアン」「焼肉・ハンバーグ」「カレー・炒飯」「揚げ物」「プレミアムスィーツ」「ホテルスィーツ」「ご当地グルメ」「野菜(国産)」「野菜(業務用)をカテゴリー展開する他、1~2カ月単位で商品を入れ替える「特別推奨品」や「季節限定品」を展開した。
メインターゲットは30代~50代女性。売場面積は82.6㎡(約25坪)。店舗には自然冷媒型の冷凍ショーケースを17台導入、従来型と比較して二酸化炭素排出量を約1/700にまで削減し、排熱量を約80%、消費電力も約70%削減した。
相原社長は「当社は70年以上にわたり冷凍食品専門の卸として培ってきた、物流を含めた機能、ネットワークという強みを活用し、このたび新規事業として冷凍食品専門店の出店を決めた。近年拡大している冷凍食品市場に向けてこの強みを活用しお客様に喜んでいただく店づくりを目指す」とした。
新社長に田村取締役、鈴木社長は相談役に就任 ―― イズックス
田村社長
イズックスは11月25日、田村貴(たむら・たかし)取締役営業本部長が代表取締役社長に就任した。鈴木博幸社長は相談役に就任した。
田村新社長は、1960年4月1日生まれ。83年3月東京農業大学農学部畜産学科卒業、83年6月仁丹食品入社、89年4月蝶理フーズ入社、99年4月蝶理フーズプロモート株入社、09年11月イズックス理事営業本部長、16年11月取締役営業本部長。