第100回記念大会を開催 ―― 惣菜サミット
サミットの歴史を振り返った
惣菜サミットが3日、東京・西新宿の京王プラザホテルで「第100回惣菜サミット記念大会」を開催し、関係者187人が参加した。大会では、1997年3月に17人でスタートし、現在は参加社が約120社に規模が拡大した惣菜サミットのこれまでの歴史を振り返ると共に、惣菜業界が今後目指すべき方向性などについて小平昭雄会長らが解説。参加企業各社が連携を強め、市場の発展に向けて様々な取組を進めることを誓った。
記念大会では、冒頭惣菜サミットのこれまでの歴史や惣菜市場の推移などについて説明したスライドを上映。開会に先立って小平会長が挨拶した。小平会長は、「惣菜サミット発足当時は小売チェーンで惣菜部門の位置付けが未だ低い黎明期だった。人的交流を活発化させ、ノウハウなどの情報を共有し、市場全体の売上と地位を向上させることを目指してこれまでに様々な勉強会を開催してきた」と惣菜サミットのこれまでの活動について説明。特に印象的だった勉強会について、地域の3大チェーン社長が登壇して惣菜に対する熱意を語った沖縄研修や、名物おはぎのノウハウを学び、惣菜業界でおはぎが定番商品化する契機となった「主婦の店さいち」(宮城県)での研修を挙げた。また、小売店の店頭で「惣菜が脇役から主役の座につき、各チェーンが自社を差別化するための最も重要な部門となっている」とした上で、引き続き業界が発展していくために、参加企業の協力と連携を要請した。
引き続き、来賓を代表して竹永雅彦ニチレイフーズ社長、佐々木淳一日本アクセス社長らが祝辞を述べた。竹永社長は「当初17人で始まった惣菜サミットが、四半世紀にわたって業界の発展に寄与してきたことは大変な偉業だ。人と人とのつながりを大切にして情報ネットワークを作るという理念の下で業界の発展に尽くしてこられた惣菜サミットの、製品に対する情熱と美味しさへの探究心に敬意を表する」と語った。
佐々木社長は「惣菜サミット設立後、様々な社会的変化を経て惣菜の市場が10兆円を超える規模に育った。コロナ禍の逆風にも打ち勝って市場を急速に回復させており、今やSM各社の特長を担う重要なカテゴリーと見なされている。市場の発展に惣菜サミットが果たした役割は大きい」と語った(小平会長、竹永社長、佐々木社長の談話詳細を4面に掲載)。
引き続き開催した懇親会では参加企者が活発に情報交換し、交流する姿が目立った。
中締めは星良雄副会長が行った。星副会長は今後の市場を取り巻く社会環境について「生活者の所得が目減りし、人手不足も深刻化する。惣菜業界が発展して行くためには、ロボット化等によって省人化と生産性の向上を実現しなければならない。また、2040年には内食の喫食機械が現在の50%から30%程度にまで減少することが見込まれる。今後はこの減少分の20%を、外食、内食、新たに生まれる食シーンが取りに行く時代になる」とした上で、これからの流通を担う新たなサプライチェーン構築を進めて欲しいと語った。
全社では増収増益 冷食増収も3億円の損失 ―― 味の素・第2Q
味の素は7日、2023年第2四半期業績を発表した。連結売上高6598億5300万円(前年同期比19.9%増)、事業利益743億1600万円(同7.2%増)、税引前四半期利益681億6900万円(14.5%減)、四半期利益498億5500万円(同13.6%減)、親会社の所有者に帰属する四半期利益470億2500万円(同13.2%減)となった。
売上高は換算為替の影響に加え、調味料・食品セグメント、冷凍食品セグメント及びヘルスケア等セグメントいずれも増収。事業利益は原材料等のコスト増の影響を受けたものの、換算為替の影響やヘルスケア等セグメントの増収効果等により増益。親会社の所有者に帰属する四半期利益は、前年同期に、その他の営業収益に於いて固定資産の売却益を計上したこと等により減益となった。
セグメント別では、調味料・食品売上高3727億円(前期比18%増)、事業利益430億円(同4.5%減)、冷凍食品1285億円(同20.9%増)、同▽3億円(-)、ヘルスケア等1516億円(同24.3%増)、同308億円(同35.1%増)、その他68億円(同15.6%増)、同7億円(同128%増)。
冷凍食品セグメントの売上高は換算為替の影響や海外の単価上昇により増収。事業利益は原材料のコスト増の影響等により3億円の損失となった。国内売上高は構造改革の影響があるものの、業務用製品の復調で前年並み。海外は為替の影響、単価上昇で大幅増収となった。事業利益に関しては、国内は原材料等のコスト増の影響により減益。海外も原材料等のコスト増の影響で大幅減益となった。
水産、海外好調で増収増益 冷食は増収もコスト増影響 ―― マルハニチロ・第2Q
マルハニチロは7日、2023年3月期第2四半期決算を発表した。
連結売上高4852億4100万円(前期比17.7%増)、営業利益159億3300万円(同27.9%増)、経常利益212億900万円(同53.1%増)、四半期純利益131億2900万円(同39.0%増)と大幅な増収増益。第2四半期段階では経営統合以来、過去最高益となった。水産商事、海外が好調で、全体を押し上げた。
水産商事ユニットは184億円増収の売上高1444億円、営業利益が18億円増の40億円。外食・業務筋向けの回復に加え、魚価高や円安進行による水産物全般の相場先高感からニーズが高まり増収増益。海外ユニットは売上高1061億円(同299億円増)、営業利益65億円(同19億円増)。
加工食品ユニットは、売上高510億(同18億円増)、営業利益16億円(同11億円減)。市販冷食など簡便食ニーズは堅調に推移も増収。値上げも一部商品で値上げを実施したが、原材料・資材、燃料コスト高騰と円安進行で減益となった。食材流通ユニットは売上高1043億円(同142億円増)、営業利益12億円(同5億円減)。外食向け販売が回復し、給食、CVS、介護食向けも堅調で増収も原材料高騰や円安で減益となった。
なお、単体の市販冷食は売上高273億円(同7億円増)、利益12億円(同5億円減)、業務用冷食は売上高258億円(同3億円)、営業利益6億円(同4億円減)。
今回の決算を受け、2023年3月期通期の予想について、売上高は9700億円(前回公表9000億円)、営業利益270億円(同240億円)、経常利益320億円(同250億円)、当期純利益190億円(同160億円)とそれぞれ上方修正する。
■広島工場火災、特損22億円を計上
9月24日発生した広島工場火災(生産棟がほぼ全焼)について今回、特別損失22億円を計上する。現在の状況について坂本透常務執行役員は、「従業員の生活基盤の対応を最優先に取組んでいる。社内で家庭用冷凍食品の生産体制を戦略的に見直すプロジェクトを発足した。現中計内での具体化を目指している」と説明した。売上への影響について、「具体的な金額は公表できないが、下期にかけて相当の売上への影響があると見ている」とした。
増収も食品等、コスト増響く 食品は収益性の改善急ぐ ―― 日本水産・第2Q
日本水産は2日、2023年3月期第2四半期決算を発表した。
連結業績は売上高3772億700万円(前期比11.1%増)、営業利益133億3200万円(同3.8%減)、経常利益147億1600万円(同8.9%減)、四半期純利益117億4700万円(同3.0%増)。魚価上昇や食品の値上げ、円安で増収も営業利益は微減。計画比では順調に推移した。純利益は子会社の日水製薬株式売却もあり増益となった。
水産は前期から引き続き消費が堅調な上、魚価にも恵まれ増収増益。食品は増収もコストアップ影響が大きく減益。ファインケミカルも医薬原料輸出、健康食品通販などが堅調だった。オミクロン株拡大によるPCR検査薬販売も増加した。
水産事業は売上高1574億円(同16.1%増)、営業利益82億円(同61.4%増)。加工商事は販売好調に加え、北米での経費削減などもあり大幅増益。養殖はぶりや銀鮭の好調で、南米鮭鱒やまぐろでの原魚コスト増をカバーした。
食品事業は売上高1873億円(同12.8%増)、営業利益69億円(26.5%減)。値上げによる販売価格上昇や円安の影響もあり増収。利益は原料価格上昇や急激な為替変動に対し値上げが追い付かず減益となった。
なお、単体の食品事業の売上高は736億円(同7.3%増)。全てのカテゴリーで伸長した。そのうち家庭用調理冷食は190億円(同3.3%増)、業務用調理冷食288億円(同13.3%増)、農産冷食57億円(同6.5%増)となっている。
全社の通期業績見込みについては売上高7500億円、営業利益225億円、経常利益255億円、当期純利益200億円を計画している。売上と当期利益は当初計画を上方修正する。売上高は水産品の販売各上昇や食品値上げ、円安で上振れ、当期利益は日水製薬株式売却益もあり初めて200億円に到達する見込み。
食品事業の通期業績見込みは売上高1926億円(同18.5%増)、営業利益37億円(同36.8%減)を計画している。値上げに加え、個食・簡便、健康ニーズに合った商品の開発・販売力強化とアイテム削減、受注・生産オペレーションコスト削減の効率化を急ぐことで計画達成を目指す。
清水名誉会長が死去 ―― ライフコーポレーション
ライフコーポレーションの清水信次名誉会長が10月25日、老衰のため死去した。96歳。葬儀・告別式は近親者のみで執り行った。喪主は妻の清水久子さん。お別れの会を来年執り行う予定で、日時、場所などの詳細については現状を鑑みて後日決定する。
清水氏は、大正15年に、三重県津市で生まれた。昭和19年1月に陸軍戦技特別研究要員(白兵戦、剣道助教)となり、同20年3月に幹部候補生として本土防衛の特別攻撃隊に入隊。日本の敗戦後、同年8月に清水商店を設立して代表者となった。31年にライフコーポレーションを設立し、初代社長に就任。日本チェーンストア協会など多くの小売団体の会長を歴任した。政府に対して業界の意見を積極的に陳述し、政治関連の著書を多数執筆した論客としても知られる。同45年には第1回世界剣道選手権大会に日本代表として出場。昭和61年に藍綬褒章を、平成21年に韓国最高勲章(修交勲章光化章)を受章した。