業界課題へ10の提言 ―― (一社)日本給食品連合会・夏季研修会
中込会長
(一社)日本給食品連合会(中込武文会長)は7月21日、東京・御成門の東京プリンスホテルで管理者夏季研修会「劇的に変化する経営環境にどう対応するか~食品業界の課題への対応」を開き、185人が出席した。主管は九州支部。
挨拶した中込会長は「今回は各社に持ち帰ることができる課題を提供したいと考えた。日給連会員は学校給食から身を起こした企業が多く、取扱いアイテムが多く日々目先の仕事も多いが、これだけ環境変化があると新しい世の中を見据えて布石を打たなくてはならない。成功事例を共有し、挑戦する機会としてほしい」と述べた。
研修会の内容は、パネルディスカッション「サスティナブル経営を目指して 成功事例の共有」、および「業界への問題提起」。
パネルディスカッションは、林元彦三給顧問をモデレーターとして、橘丈太郎松宮社長、富永哲生ハウディ社長、青木基博名給社長、本多昭亘美濃忠社長、岡村弥モリレイ社長がパネラーとして登壇。事例紹介をした。
「業界への問題提起」では、中込会長、林氏、青木社長より①企業内の問題②仕入先に関する問題③販売先に関する問題④社会的な問題の4カテゴリーについて10の提言が示された。従業員の教育から、価格改定時期、トラックドライバー2024年問題まで幅広い観点で示された提言については、後日、会員アンケートを行い優先順位を付けて取り組んでいく。
会場からは、長南収キユーピー相談役より「『価格改定の時期』『子供の貧困対策としての学校給食無償化』についてはその通りだと思った。値上げについては春秋の棚割りに向けて新商品を出すルールと同じように、家庭用・業務用含めて業界全体で動けば出来る可能性はありそうだと思う。他方、ヤングケアラー問題などを目にするとやはり学校給食は無償化にしていかなければいけないし、こういった不安を子供に与えてはいけない。この辺は、ぜひ一緒に動いていきたい」との意見があった。
閉講挨拶は、酒井信吾副会長九州支部長が行った。(詳細を本紙に掲載)
健康、食意識変化に対応 ―― 極洋・新商品
おさしみベジタブルを使った寿司
極洋は26日、22年秋の新商品として、市販用12品、業務用11品の計23品を発表した。開発テーマに「ずっと続ける豊かな食卓。未来へつなげる魚のおいしさを」を掲げ、コロナ禍による長引く自粛生活やリモートワークの中で健康志向の高まり、食生活の意識の変化に対して同社だからこそできる価値を提供した。
業務用冷凍食品は6品を投入。〈だんどり上手〉シリーズにはシロイトダラを軽く粉付けし油調した後、魚介の風味豊かな和風だしを効かせた餡を合わせた「和風だしが旨い!たらのあんかけ(骨なし)」、日本国内で水揚げされた天然ブリを骨取りし、衣を付けて揚げ、醤油ベースの甘辛タレでしっかり味付けした「ぶりの照り揚げ(骨なし)」の2品をラインアップ。自然解凍品。タイKGS社生産。
新規性の提案では、野菜のピューレやペーストなど植物性由来の原料を使用したおさしみ感覚で食べられる「おさしみベジタブル(トマト)」「同(にんじん)」「同(コーン)」の3品を新提案。寿司ネタやサラダの具材など様々な用途に使える彩り鮮やかな商品。主力のオーシャンキングは、「オーシャンキングの匠SP」を投入する。
フロチル商品では、「かるしお銀鮭フィーレあごだし配合」を投入。国立循環器病研究センター「かるしお」認定取得。超低温流通保管品では、グループ会社・指宿食品の「カツオタタキ炭焼指宿山川(減塩タレ塩分25%カット)」などアイテムを拡充したほか、極洋水産生産の温州みかん果汁を使用したタレでネギトロを和えた「みかん香る塩麹タレ和えねぎとろ」などを投入する。
市販冷凍食品は「タルタルソース入りえびカツ5個」など弁当商材4品。
非接触「自販機商品」をロケーション別に紹介 ―― トーカン
トーカンはプレゼンテーション2022で、「自販機商品」を取り上げた。SANDEN社の自販機「ど冷えもん」「MMV」、および自販機向け商品を大量陳列し、高い関心を集めた。
商品統括部の古川智規主査は、自販機での冷凍食品の販売状況等について大要次の通り述べた。
今回、「自販機商品提案コーナー」では、「オフィス・ホテル・学校」「ロードサイド・駐車場・商業施設」「空港・駅・サービスエリア」の3つのロケーション別に自販機での販売で個性を出せる商品群を紹介した。家庭用冷凍食品の自販機向け提案はよく見られるようになってきた。商品面では、トレー入りパスタやワンプレートが、食器が無くてもオフィスですっと食べられることや価格面で需要がある。そのような需要向けでオーダーが来たという話は聞いている。
「空港・駅・サービスエリア」向けには、ご当地グルメ、旅行気分が味わえる韓国グルメ、北海道お取り寄せグルメなどを集めた。ジャンルとしてはやはり餃子の人気が高い。福井県の有名店・御園飯店は、自販機専用容器入りの冷凍餃子を開発しており、力を入れている。
当社は元々、飲食店様との接点が多く、商品面ではCVS営業部での接点もあり、現在の自販機需要をつかんでいる。設置場所としては、飲食店の入口横がやはり多い。
自販機は、従来の家庭用冷食の売れ筋とは全く違うものが入る可能性がある。また、感染症対策、自己防衛の意味でも、コロナ禍で生まれた非接触購入という形態の需要は今後も続くと考えている。
前期19.3%増1719億円、市販冷食は約3割増に ―― ナックス
石橋社長
ナックスの有力取引先で構成する全国NN会(浜田晋吾会長=日本水産社長)は7月15日、東京・竹橋のKKRホテル東京で22年度全国NN会を開催した。リアル開催は3年ぶりとなる。
石橋逸平ナックス社長は前期業績及び今期営業方針などを報告した。
前期・2021年度(2021年12月期)の業績は連結売上高1719億4000万円となり前期比19.3%増。経常利益は前年赤字から6億4000万円で黒字転換した。
石橋社長は、「21年度は3月にイオングループとの取引も東海エリアまで拡大、新システム移行完了、受発注のオペレーションも順調で業績は回復した」と説明した。
カテゴリー別では、市販冷食売上高787億2000万円(同27.7%増)、アイス同231億6000万円(同45.9%増)、惣菜同545億1000万円(同2.5%増)、ベーカリー同70億7000万円(同31.9%増)、その他同84億8000万円(同27.1%増)。