数量、金額とも前年増、家庭用、業務用を超える ―― 21年国内生産・(一社)日本冷凍食品協会
(一社)日本冷凍食品協会は20日、2021年1―12月の冷凍食品の生産・消費を発表した。国内生産量は過去2番目の159万6214t(対前年比102.9%)、金額(工場出荷額)は過去3番目の7371億円(同105.2%)となり、数量、金額とも前年を上回った。業務用・家庭用別では、業務用が数量79万7547t(同102.3%)、金額3451億円(同105.3%)と4年ぶりに前年実績を上回った。一方、家庭用は数量79万8667t(同103.6%)、金額3919億円(同105.2%)といずれも過去最高を更新、20年の金額に続き、21年は数量も業務用を上回った。
業務用と家庭用の比率は、数量ベースでは50対50(前年50.3%対49.7%)、金額ベースでは46.8%対53.2%(同46.8%対53.2%)の割合となった。
品目別では大分類では、農産品(同90.9%)は減少したものの、水産物(同101.4%)が増加、国内生産の大半を占める調理食品(同103.3%)も増加に転じた。
小分類の品目で前年に対して大きく増加したのは、パン・パン生地(同158.4%)、ギョウザ(同109.9%)、カツ(同110.3%)、ミートボール(同120.4%)など。減少したのは、うどん(同98.2%)、パスタ(同94.8%)、シチュー・スープ・ソース類(同77.5%)などだった。なお今回より「スパゲティ」は「パスタ」に名称変更した。
品目別生産量における上位20品目は、引き続き1位うどん、2位コロッケ、3位炒飯、4位ギョウザと上位4品は前年と同順位。ハンバーグ(6位から5位)、ラーメン類(7位から6位)が順位を上げた。
国内消費量は再び290万台
協会では、「冷凍食品国内生産量」「冷凍野菜輸入量」「調理冷凍食品輸入量」の合計を冷凍食品の「消費量」としているが、21年の冷凍食品消費量は290万4746t(同102.3%)と前年の減少から増加に転じ、総人口で割った国民1人当たりの年間消費量は23.1kg(同102.2%)と再び23kg台となった。
ニッスイに商号変更、23年1月1日付で ―― 日本水産
日本水産は20日、長期ビジョン「Good Foods2030」策定に伴い、同社のミッションを新たに定め、これをブランドプロミスとし、ブランドシンボルとブランドスローガンを新たに導入するともに、2023年1月1日付で商号を「ニッスイ」(英文Nissui Corporation)に変更すると発表した。
同社は創業以来、水産事業のみならず、ちくわ、缶詰、冷凍食品業やEPA医薬原料等のファインケミカルなど幅広い事業を展開している。このため水産という特定の事業を表現した現在の商号では実状を十分に表さなくなったことから、商号を変更するもの。
ブランドシンボル、スローガンは順次運用を開始する。
〈適正糖質〉アイスケーキ投入 ―― 味の素冷凍食品
前列左から、黒崎社長、石原部長
味の素冷凍食品は、「〈適正糖質〉シリーズアイスケーキ」3品種を18日より、公式オンラインストアで発売開始した。
同製品は、糖質を気にしてスイーツを控えている人でも、「カロリーと糖質の両方をコントロールできること」を基本コンセプトに開発した。
今回発売する3品種は、乳由来の素材を上手に使うことでチーズ風味を再現した「アイスケーキチーズ風味」、抹茶の豊かな風味とほろ苦さが際立つ「同抹茶」、チョコレートを使わずに濃厚なチョコレート風味を再現した「同チョコレート風味」。フリーカットタイプで、箱の内側には3種類(7、9、12等分)のサイズガイドを設け、栄養素を簡単に把握できるのも特長。
1カット当たりの栄養成分はエネルギー量約68Kcal、ロカボ糖質は約3.5g(チーズ風味9等分の場合)。1日に摂取する糖質量のうち間食分を10g以内とするロカボの考え方にも合致する。カロリーや糖質量をコントロールするため、味の素㈱の「パルスイートカロリーゼロ」を使用した。販売価格は各種税込1600円。
発売に先立ち18日、WEBにて記者会見を行った。会見には黒崎正吉社長をはじめ石原敏章マーケティング本部 新事業開発部長、同島田尚久マーケティング本部 新事業開発部 開発担当、味の素宇多川賢食品事業本部甘味料部長が出席。EC販売にした理由に関して黒崎社長は「味の素甘味料部との連携の中で管理栄養士との関係強化、そして情報を蓄積することで業務用を含む次のチャネルに速やかに進む手段としてEC販売からの導入を行った」とした。
恵比寿にライフ旗艦店 ―― ライフコーポレーション恵比寿ガーデンプレイス店
エンド什器に〈BIO-RAL〉商品
サッポロ不動産開発は15日、東京・渋谷区の大型複合施設「恵比寿ガーデンプレイス」の商業棟に食品、生活雑貨を取り扱うフロア、「フ―ディーズガーデン」をオープンした。今秋に「センタープラザ」としてリニューアルオープンする商業棟の地下部分を先行して開店したもの。ライフコーポレーションの旗艦店「セントラルスクエア」とオーガニック業態の「BIO-RAL」、明治屋の「明治屋ストアー」などが出店し、冷凍食品も豊富に取り扱っている。
ライフコーポレーションはが出店した「セントラルスクエア恵比寿ガーデンプレイス店」は、売場面積1765㎡の都市型店舗で、首都圏のSM旗艦店に位置付けている。初年度の売上目標は42億円。
冷凍食品売場には、リーチイン什器に冷凍食品約600品を品ぞろえた。新店などで進めている付加価値型商品の強化に取り組み、全体の約3割を有名店監修品、地域のこだわり冷食などの差別化商品に充てている。
実際の売場を見ると、初めて設置した「フローズンミート」コーナーでは、滝沢ハムのローストビーフや、外食店応援企画として昨年スポット導入した銀座ライオンの「ビヤホールソーセージ詰め合わせ5種」(同898円)など畜肉19品を定番商品として展開した。
年次の売上が2桁ずつ伸長している〈冷凍プレート〉商品の展開にも力を入れた。扉一面分に阪急デリカの〈ワンディッシュデリ〉16品を並べ、男性向けPBのスマイルプレート6品、留型のワンプレートデリ6品も展開して、毎食食べても飽きない幅広いメニューを提供していた。
オーガニックスーパー業態〈BIO-RAL〉のオリジナル商品も上部がリーチイン3面分、下部がオープンケースの什器をエンド部分に設置して過去最大売場面積で訴求していた。上段には同店で初めて取り扱う新商品6品を含めた冷凍ミールキットを、下部には冷凍スープなどを品ぞろえており、今後商品の販売動向を検証した上で陳列をブラッシュアップしていくという。
また、地元のこだわり商品として、近郊に本店を構える有名店「京鼎樓(ジンディンロウ)」のプレミアム中華冷凍食品を扉1面分に展開し、スナック売場ではピザレボのプレミアム冷凍ピッツァに扉1面分を割いて差別化を図った。コロナ禍で需要が高まっている冷凍デザートも扉1面分に22品を展開し、税込100円台で買えるワッフル、ドーナツなどのロープライス商品と共に、冷凍餅(ずんだ、あん、くるみ)、税別1200円台のマカロンなども展開した。素材品として豊富な冷凍野菜も販売し、冷凍パンコーナーに冷凍バターやピザ用のトッピングチーズを取り揃えるなど、手作り需要にも対応した売場を構築していた。
弁当商材は扉2面分に約60品をすべて縦置きで展開した。弁当品の縦置きは約3年前に改装した南台店から始めた取組で、通常の2倍の商品を展開できるため、品揃えを維持しながら売場を縮小して伸長分野の商品に充てることができるという。
なお、同店では乳幼児用食品の売場に専用の冷凍什器を設置して、野菜ペースト、洋風雑炊などの冷凍ベビーフードも1面分で展開していた。(詳細を本紙に掲載)
恵比寿ストアー ―― 明治屋
RF1を2面分で
ANAの機内食も
同店では店舗の中央にリーチイン什器を設けて冷凍食品を豊富に展開している。中でも、日本全国のメーカーからセレクトしたという調理済みの冷凍惣菜を強化していた。
実際の売場を見ると、ロック・フィールドの冷凍惣菜をリーチイン2面分に展開した。「4種きのこと牡蠣のリゾット」(税別1100円)、「ゴルゴンゾーラ香るサーモントラウトキッシュ」(同)など、明治屋でしか買えない留め型商品6品も新商品として展開した。
ANAの国際線エコノミークラスで提供される機内食4品も展開。ANAのコーポレートカラーである濃紺をあしらったパッケージが目立った。
また、約2年前から取り扱っている山田屋の具付きうどん4品を税別799円で、NKフーズの冷凍カレー〈美食の扉〉シリーズ3品を同1600円で展開するなど、通常の食品スーパーとは一線を画したプレミアムな商品を豊富に展開していた。
祭事コーナーには平台の冷凍及び常温什器計2台を設けて鼎泰豊の中華総菜を展開。冷凍什器には「あん入りまんじゅう」(同222円)、「豚肉入りまんじゅう」(同)、「豚肉入りちまき」(同583円)をずらりと並べて売り込んでいた。
開店日に店頭で本紙取材に応えた磯野太市郎社長は、「冷凍食品は近年技術革新によって味わいが向上し、優れた簡便性も有するなど消費者が求める需要を体現する優れた食品だ。コロナ禍によってニーズが高まっていることもあり、取り扱いの強化に取り組んだ」と語った。