日清製粉ウェルナへ 冷食強化や海外展開進める ―― 日清フーズ
新ブランドロゴを掲げる小池社長
日清フーズは9日、東京・大手町の経団連会館で「日清製粉ウェルナ」新コーポレートブランド戦略発表会を開催、小池祐司社長が出席し、2022年1月1日付で予定されている新社名「日清製粉ウェルナ」への変更に伴う3つの戦略(事業構造の転換・価値の創造・海外展開の深耕)について説明した。3つの戦略では国内においては冷食・業務用を伸長分野と位置づけ、将来的な冷食の売上規模倍増を目指していく他、健康価値を追求、海外では日清製粉ウェルナブランドの輸出品、現地完結型ビジネスの2つの展開を進めていくことを明らかにした。
新社名「株式会社日清製粉ウェルナ(英名:Nisshin Seifun Welna Inc.)」は日清フーズの起源であり、信用・信頼を蓄積してきた「日清製粉」と2014年から展開してきたグループの海外向けブランド「Welna」を結合したもの。今後はこのコーポレートブランドを軸に、「日清」「マ・マー」「青の洞窟」等の各ブランドがつながり、シナジー効果を高める体系を構築していく。
今回のブランド戦略に当たり、新たに掲げたビジョンは「Prime Meal Ibvestigater.(食の求道者)に進化する」。『強力な販売力を持つ真のメーカー』として、「事業構造の転換」「価値の創造」「海外展開の深耕」の三つの戦略を進める。
小池社長 冷食は倍を目指す
「事業構造の転換」では、常温家庭用事業のさらなる磨き上げとともに、家庭用冷食ではフォー、担々麺など新ジャンルの展開を強化していく。また、業務用はWith・Afterコロナニーズを踏まえたNB品の積極展開を図る。
「伸ばすところは冷食と業務用。冷食は倍(の売上規模)を目指していきたい」(小池社長)。
「価値の創造」においては差別化された健康訴求型製品の上市によりSDGsの取組みを加速。小麦ブランに含まれる「発酵性食物繊維」に焦点を当て、小麦の新たな可能性を実現した新ブランドも計画する。
「海外展開の深耕」では海外の現地優位性を活かした「製造中心」のビジネスから、日本のこなもんメニューなどの浸透を図り現地完結型ビジネスにも注力していく。(詳細を本紙に掲載)
冷食はベンダー委託を強化、22年以降に専用工場順次稼働 ―― セブン下期商品戦略
レストラン品質
セブン&アイ・ホールディングスは10月28日、オンライン上で下期商品戦略説明会を開いた。
冷凍食品関連の取組のうち、商品開発と製造については今年度から進めている日本デリカフーズ協同組合(セブン―イレブンの中食製造するメーカーの組合)などへの委託を更に強化する。11月初旬よりレストラン品質の冷凍パスタソース「ボロネーゼパスタソース」「蟹トマトクリーム同」「ペスカトーレ同」を一部エリアで先行発売し、22年の2月から順次販売エリアを広げる。本場の味わいを楽しめる冷凍洋惣菜〈レンジで旅する〉シリーズ3品は、12月13日までに全国販売に切り替える。
なお現在、中食メーカーへ委託している冷凍食品やレトルト食品は、既存工場にラインを新設して製造している。同社では今後も委託品を強化するためには設備の増強が不可欠だと見てメーカー側に専用工場の新設を働きかけており、既に22年度以降に3工場の稼働が決定しているという。
店舗については、冷凍食品売場などを強化した「新レイアウト2020」の切り替えを急ぐ。年度内に「住宅型・郊外型」フォーマットの導入を既存の6900から1万2000店に、「都市型」フォーマットの導入を1200店から1500店に増やす。商品の品揃えは「住宅型」「郊外型」「都市型」の3パターンを設定し、各店舗の商圏に合わせて最適な品揃えを導入する。
昨年下期に強化した冷凍野菜については「取扱商品も増え、販売状況に手応えも感じている。特に冷凍フルーツが好調なので、野菜とともに品揃えを強化したい」(青山誠一商品本部長)としている。
商品戦略全体では、「差別化商品の開発」「利便性の向上」「長鮮度の推進」などを進める。カップデリカに洋風おつまみやデパ地下惣菜をベンチマークとした付加価値型商品を加え、地域対応食品や健康軸商品の強化も図っていく。(詳細を本紙に掲載)
利益が大幅伸長、冷食は家・業とも堅調 ―― マルハニチロ
マルハニチロは8日、2022年3月期第2四半期決算を発表した。
連結業績は売上高4122億2000万円(前期比5.2%増)、営業利益124億6000万円(同21.6%増)、経常利益138億5600万円(同17.0%増)、四半期純利益94億4700万円(同165.8%増)と水産資源、加工セグメントとも好調に推移し増収増益となった。
「水産資源、加工セグメントは昨年度の反動もあり大幅に伸長した。コロナ対策を講じ、影響を最小限にとどめたことが結果につながった。コロナ収束は未だ予断を許さないが、“巡航速度”に戻りつつある」(坂本透常務執行役員)としている。
セグメント別では、水産資源は売上高2505億9300万円(同6.0%増)、営業利益61億600万円(同54.1%増)。水産商事、養殖、荷受、海外の各ユニットが増収、利益も漁業、養殖は赤字もそれ以外は増益となった。物流事業は売上高74億100万円(同5.0%減)、営業利益5億7500万円(同41.8%減)。
加工事業は売上高1474億8400万円(同4.8%増)、営業利益48億円(同11.9%増)。家庭用冷凍食品ユニットは売上高267億円(同4.0%増)、営業利益11億円(同22.2%増)。巣ごもりや内食需要の継続により、米飯、食卓惣菜、グラタン類が伸長、主力の弁当品も学校再開により前年対比で増収となった。業務用食品ユニットは売上高564億円(同6.6%増)、営業利益は3倍増の9億円。コロナ影響が一部残り外食向けは引き続き苦戦も、量販惣菜、CVS、生協等の宅配向けが堅調で増収増益に。
なお、マルハニチロ単体の冷凍食品売上高は、家庭用冷食266億円(同4.0%増)、営業利益10億円(同25%増)、業務用冷食290億円(同6.0%増)、営業利益3億円(前期1億円)。
●ヤヨイサンフーズ、黒字化
連結子会社のヤヨイサンフーズの上期実績(調整前)は、売上高172億円(同7.5%増)、営業利益はゼロ(前期は2億の赤字)と黒字化している。
反動増と体質強化奏功、食品も海外回復で増収 ―― 日本水産
日本水産は5日、2022年3月期第2四半期決算を発表した。
連結売上高は3396億円(対前年同期比13.1%増)、営業利益138億円(同100.6%増)、経常利益161億円(同81.5%増)、四半期純利益114億円(同128.7%増)となった。前期の反動もあり海外水産、食品及び国内水産が好調で大幅な増収、利益は行動制限が緩和され業務用の販売が戻り始める中、家庭用はややペースダウンも堅調、国内養殖やチルドの体質強化も進み、営業利益は倍増した。
なお、上期の業績を受け1株当り中間配当金4円を2円増配の6円とする。
食品事業は1661億円(同10.5%増)、セグメント利益は94億円(同45.1%増)。海外は行動制限の緩和に伴い業務用が米国の大手チェーン向け等が好転も家庭用はリバウンド消費に落ち着きが見られ始めた。チルドは生産体制の適正化により回復。利益面では欧米は家庭用・業務用ともコロナ以前より伸長。国内は販売好調もすりみなどの原料価格上昇や為替影響などで減益に。
単体の食品事業の売上高は686億円(同7.7%増)。家庭用調理冷食184億円(同2.0%増)、業務用調理冷食201億円(同20.4%増)、農産冷食54億円(同2.5%増)と増収となった。好調な商品群は、業務用冷食で水産フライ類、春巻、シュウマイなどが好調、家庭用は中華惣菜、から揚げ、麺類などが堅調だった。なお、業務用調理冷食の売上高には吸収合併したデルマール分も含まれている。
通期業績は、第2四半期の状況をみて売上高を310億円増の6730億円、営業利益は45億円増の245億円、経常利益は50億円増の280億円、当期純利益は20億円増の170億円とそれぞれ上方修正する。
●食品値上げは検討中
コストアップの対応では、人件費、原料高騰の対応から、海外は値上げによりコストアップの影響を軽減、国内についても値上げを検討中とした。「冷食、練り製品、家庭用、業務用含めコストアップが生じる分の値上げを検討している」(山本晋也取締役常務執行役員CFO)。