冷凍で外販、中食へ 新視点販促も効果挙げる ―― 串カツ田中
シズル感ある家庭用パッケージ
矢澤部長代理
コロナ禍を乗り切るための外食メニューの冷凍商品化において、串カツ田中(貫啓二社長)が踏み込んだ取組をしている。同社の冷凍商品化施策は2020年4月、Oisixでの冷凍「串カツセット」の通販に始まり、現在までに量販複数社への外販や自社EC開設へと歩を進めてきた。アイテムは、協力工場で製造する外食向け串カツメニューを家庭用冷食としてリパックしている。アルコールジャンルとの「家呑みコラボ」や「フライヤーセット販売」といった、『串カツ田中だからこそ効く』販促も注目を集めている。冷食売場、冷食ECの成功例としても学ぶべきものが多い。
同社の家庭用冷食主要アイテムは、〈串カツ田中〉ブランドの「豚串5本パックソース入り冷凍」(160g、5本入り/袋、ソース〔30g〕付)、「同チーズ串」(155g)となっている。
外販でこれまでに導入実績がある量販店は、オオゼキ、まいばすけっと、ヨーク、アルプス、ライフ、ヤオコー、京王ストア、コープこうべ、原信ナルス、ダイエー、イオンリテール。中でもオオゼキでは、サントリーを加えた3社合同キャンペーンが好評を得て家呑み需要を獲得。第2弾、第3弾と、売場導入が続いている。
今年に入ってからは、外販に加え中食事業を強化でECサイトを立ち上げた。家族が夕食を囲むテーブルで串カツを揚げる、驚異の「卓上フライヤーセット」(25本セット1万980円)は通販第1弾が完売。第2弾以降は象印とのコラボで対応数を増やしている。
矢澤智好マーケティング部部長代理は、家庭用冷食参入の意図について、「業界の違う量販店様から外食応援フェアーの実施をいただいたことがきっかけとなった。初めての冷食製造でもあり、基本的に店舗の串と同じ想定で販売していただいたため、冷凍食品としては高い価格帯になったと思う」としている。
『ビールと冷食』という形での販促は、サントリーのノウハウを生かしたとのこと。「まいばすけっと様との初回販売が、苦戦した。家庭用冷食で透明の無地袋はなかなか難しかった。数量的にかなり買い取っていただいたため何としても販売したく、残量について3社でコラボキャンペーンを組み、それが好評価を得た。当社の商品券が当たるという形での販売として好評いただいた」と振り返る。
現在は、シズル感を出したパッケージに切り替えている。「やはり串カツを食べる時はアルコールがメイン。アルコールコラボキャンペーンは効果が上がる。そこを打ち出すと効果を発揮することができる」としている。
今後については、コロナ禍が長引いていることもあり当面は外販・ECでの取組を継続する意向だ。(詳細を本紙に掲載)
業務用で提携 共通プラットフォーム構築も ―― トーホー・国分グループ本社
トーホーと国分グループ本社は8月30日、業務用市場における新たな価値創造を目的に、業務提携基本契約を締結したと発表した。
業務用食品卸売業界は新型コロナウイルス感染症の拡大により経営環境の悪化が継続しており、トーホーおよび国分グループも大きな影響を受けている。
このような状況の中、ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた戦略の推進に向け、両社が保有する経営資源、ネットワークなどを相互活用の上、取引先各社に対して新たな価値提供、利便性向上を共創すべく、両社による提携・協業の検討を目的とするもの。
今回の提携基本契約により、両社で中長期的な「共創」関係を構築・強化し、国内外の業務用のサプライチェーンにおける新たな価値創造を目指していく方針だ。
今回の基本契約で両社が合意している内容は次の2点。①共同でプロジェクトを立ち上げ、相互の経営背景を尊重しながら、商品情報の共通プラットフォームの構築など、多様な分野における提携の実現を目指し、協業の検討を行う②協業の検討を推進するため、トーホーは国分グループから非常勤顧問を受け入れる。(詳細を本紙に掲載)
さば塩こうじ漬焼 ハンバーグも投入 ―― 大冷・新商品
骨なしさば(生)塩こうじ漬焼
大冷は業務用冷凍食品の新商品として7品、リニューアル2品の計9品を9月1日より発売する。
一押し商品は主力の骨なし魚シリーズから、「楽らく調味骨なしさば(生)塩こうじ漬焼」。脂のりの良い大西洋鯖を液体塩こうじで一昼夜じっくり漬け込み、魚の旨味を引き立てた。コク深く上品な味わいが特長。
その他、赤魚をかつおと昆布のだしが効いた白醤油タレにじっくり一晩漬け込み、淡いコクと甘さが特長で、赤魚の色目も良い「楽らく調味骨なし赤魚(生)白醤油漬焼」もラインアップした。
2品とも医療食・シニア施設向けに提案する。
産業給食・外食向けには「銚子産さばの一夜干し」を投入。脂質の高い時期だけにこだわった銚子産の寒サバを使用し、旨味溢れる一夜干しにした。
畜肉製品では、「鉄板焼ハンバーグ」を新たに投入する。高温の鉄板で表面を焼くことで肉の旨味を閉じ込めた「しっとり柔らか食感」のハンバーグ。「チーズトマトソース」、「デミグラスソース」、「和風おろしソース」3品ををラインアップ。産業給食・シニア施設向けに提案する。
また、弁当・惣菜向けには、ピリッと効いた黒胡椒、コリコリ食感の「おとなの鶏ねぎ黒胡椒メンチ」を投入する。
新常態に即し活動を ―― 輸入冷凍野菜品質安全協議会・竹内事務局長
6月に輸入冷凍野菜品質安全協議会(凍菜協)の事務局長に就任した竹内陶二郎(一財)日本食品検査事業本部事業開発部門部長はこのほど本紙取材に応え、凍菜協の今後の取組、新事務局長就任の抱負などについて次の通り述べた。
昨年来深刻化している新型コロナウイルス感染症によって、凍菜協の活動も大きな影響を受けている。今年度も引き続き対面での活動が難しい状況が続いているが、そのような中でもウィズコロナの社会情勢に即した形式を模索しながら、関係団体及び会員間の交流や情報交換を積極的に実施していきたい。
具体的には、中国とはウェブなどを活用した会議を早期に実施し、日中の交流や情報交換を進めていく。台湾については、22年3月の「FOODEXJAPAN」の会期に合わせて、台湾区冷凍蔬果工業公会と冷凍農産品貿易懇談会・懇親会の開催を予定している。開催や渡航の可否など先が見通せない部分はあるが、感染状況を注視しながら日台の交流をしっかりと支援していきたい。
また、10月以降を目処に、凍菜協の運営委員会の開催も計画している。現在は対面形式での開催を検討しているが、今後の社会情勢によってはオンライン形式での開催も視野に入れたい。会員同士の交流や情報交換についても、ソーシャルディスタンスを確保した上でリアルとウェブを併用するなど新たな社会に即した手法を模索しながら、積極的に取組を進めていく。
岡本繁臣前事務局長の方針と取組を継承し、川﨑順司会長、会員企業と密接に連携しながら、輸入冷凍野菜業界の発展に向けて尽力していきたい。(詳細を本紙に掲載)