冷食は成長市場 惣菜、フルーツ、野菜を強化 ―― イオンリテール・青木商品部長
イオンリテールの青木郁雄デイリーフーズ商品部長はこのほど本紙取材に応え、直近の冷凍食品の販売状況、今後の取組などについて説明した。同社の冷凍食品の売上は、20年度に約3割伸長し、今年度も高い伸長率を維持している。惣菜系、野菜、フルーツなどが好調に推移しており、今後もこれらの品群が伸長すると見て、引き続き展開を強化する。今後の市場については、内食需要の高止まり、新規利用者の定着、一点単価の向上などを追い風に、引き続き拡大基調が続くと見ている。この好調を維持し、業界が持続的に発展していくためにも、調理時間の短縮、味わいの向上、簡便性の進化に業界全体で取り組んで欲しいと呼びかけた。
同社の2020年度の冷凍食品売上は、2桁増で推移した。直近の21年度第1Qも売上が前年をクリアしており、コロナ禍が深刻化した前年の裏年に当たる中で、売上を伸ばした。
カテゴリー別では、惣菜系が20年度に約3割伸長し、第1Qも同水準の伸び率を維持している。コロナ禍の発生以来、1年半で売上が1.5倍に拡大していることになる。冷凍野菜も20年度に約3割売上を伸ばし、21年度第1Qも売上が2桁増と高止まりしている。中でもフルーツの動きが良く、ブロッコリー、ポテトなども良く動いている。
今後の取組としては、おかず、おつまみ、洋食メニューなどの夕食利用を見越した惣菜系や、伸長分野の冷凍野菜・フルーツなどの強化を継続する。
コロナ禍で伸長した有名店の味わいを楽しめる商品についてはレストラン品質の味を訴求できるミドルレンジの価格帯の品揃えを拡充し、各店舗の地域に根差した商品も拡充していく方針だ。
青木商品部長は、「冷凍食品は巣ごもり需要で利用者のすそ野が広がり、リピーターも育っている。消費者の内食需要は当面高止まりするみられることからも、冷凍食品はまだまだ市場を拡大できる」と語ったうえで、商品の単価については、「冷凍食品はかつて100円台の値付けが多く、300円を超えると売れないという風潮があった。そのような中で、弁当品の縮小と惣菜の強化を進めてきた当社の戦略も奏功して、現在では500円以下の一点単価であれば売れる、という市場に変わってきた。近い将来、夕食のメニューをすべて冷凍食品でそろえて700円の買い物をする、という消費行動が許容されるようになるだろう」としている。
冷凍食品市場が持続的に成長していくために、「全ての商品の調理時間が3分以下になれば、冷凍食品の利用者はさらに増える。味わい、時短、簡便さという三点については、業界全体で追求し続けて欲しい」と要望した。(詳細を本紙に掲載)
冷凍食品100周年、9月3日 北海道で記念式典
(一社)日本冷凍食品協会は9月3日、冷凍食品100周年記念式典を北海道・森町との共催で開催する。
当日は午前10時から記念碑除幕式を北海道森町のオニウシ公園(道の駅YOU・遊・もり)で行う。除幕式では、協会側からは大櫛顕也日本冷凍食品会長、木村均専務理事、尾辻昭秀常務理事、ニチレイフーズ森工場長、森町側からは、岡嶋康輔町長、森町教育長、森町議会長などが出席する。
記念式典は午後1時から函館大沼プリンスホテルで開催する。式典では北海道出身で冷凍食品アンバサダーの三國清三氏の記念講演も行われる。
1920年(大正9年)に北海道森町に日産10tの水産物を凍結する能力を持つ、日本で初めての本格的な冷蔵庫が建設され、それから100周年の2020年を協会では「冷凍食品100周年」と位置付けている。
昨年、除幕式、記念式典を予定していたが、新型コロナウイルスの影響で延期されていた。
21年秋冬新商品 惣菜向けにエビチリ ―― 極洋
大ぶりのエビチリセット
極洋は7月28日、2021年秋の新商品として市販用商品9品、業務用商品11品の計20品を発売する。発売日は8月1日より順次。
今回はテーマに「ニューノーマルな時代への変化への挑戦」を掲げ、①家庭の食卓応援②高まる健康意識③価値ある魚商品の3つのコンセプトの商品を提案する。
家庭の食卓応援は、業務用冷食ではスーパー惣菜売場向けに「ムキエビチリセット800g」を投入する。売場でも存在感がある大きなサイズのプリプリのエビをフリッターにし、人気の甘辛チリ味に仕上げた。「家庭での調理が大変なメニューはスーパーなどの惣菜に頼りたい」というニーズに対応する。市販用冷食では、「タルタルソースもおいしいえびカツ」をリニューアル投入。プリプリのエビと濃厚なタルタルソースが相性抜群で、ご飯がすすむ味付け。
高まる健康意識では、主な商品では、だしの旨みを生かしたシンプルな「さば水煮 減塩」と2種類の味噌を使用したコクと旨味のある「さばみそ煮 減塩」の減塩缶を投入する。従来品比較で塩分を30%低減し、無理なくおいしい減塩生活をサポートする。
価値ある魚商品では社会課題に対応する付加価値のある魚商品を提案する。主な商品は、業務用冷凍・チルド品の「黒潮の極 ぶり(はまち)・しまあじロイン」。グループ会社クロシオ水産で養殖したブリ(ハマチ)・シマアジを産地で活〆し、ロイン加工して丁寧に骨取りしたこだわりの逸品。それぞれチルドと冷凍流通で展開する。業務用超低温流通保管品では「マグロタタキFLT」「同鉄火芯FLT」。食品ロス削減に向けた取組の一環として従来品より解凍後の消費期限を延ばした。(詳細を本紙に掲載)
本格炒めナポリタン投入 ―― ニップン・新商品
鉄板で香ばしく炒めた
ニップンは7月29日、2021年秋冬家庭用冷凍食品として新商品18品、リニューアル品1品の計19品を発表した。発売は9月1日。
主力の個食パスタ〈オーマイプレミアム〉には今回、新たな3つのテイストを投入した。「本格炒めナポリタン」はトマトや玉ねぎの甘みとコクが特長のソースとパスタを鉄板で香ばしく炒めた本格ナポリタン。「海の幸の醤油バター」は牡蠣とホタテのエキスの濃厚な旨味と醤油バターのコク深い味わいの一品。「炭火焼き職人風カルボナーラ」はコク深いチーズが濃厚なカルボナーラソース。燻製の香り際立つベーコンを使用した。
コロナ禍でひと手間調理への意欲が高まる中、投入するのは「オーマイ 生パスタシート」。麺にラザニア、ラビオリなど様々なアレンジが自在なもちもち食感の本格生パスタだ。
プレミアムパスタブランド〈REGALO〉には「濃厚海老トマトクリーム」を追加。ショートパスタに大ぶりの海老をトッピングした。〈オーマイBIG〉には「たらこ」「超にんにくペペロンチーノ」を追加する。
1食完結型プレートメニュー〈よくばり御膳〉には「しそひじきご飯とチキンカツみぞれ煮風」、「五目ご飯と鶏と野菜の黒酢あん」、「鶏めしとチキン南蛮」「あさりご飯とさばの味噌煮」の新商品4品を投入する。(詳細を本紙に掲載)