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今週のヘッドライン|2021年3月第5週号

大型店への提案本格化 ―― CJジャパン

CJジャパン
林社長
林社長

 CJグループ(韓国)のCJ FOODS JAPANはこのほど本紙取材に応え、直近の冷凍食品の販売状況などについて説明した。同社が取り扱う〈bibigo〉ブランドの冷凍食品は、2017の発売以来、前年比2桁増の伸長率を維持している。味わいと品質の高さが消費者に受け入れられ、春雨・豆腐やキムチを中具に入れた餃子など、これまでの国内市場にない本格的な韓国メニューを味わえる付加価値型商品として引き合いが強まっている。

 〈bibigo〉の冷凍食品は、既存の大袋商品に加えて昨年9月に300~400gの少量目商品を展開したところ、相鉄ローゼン、イオン系のスーパーなど、これまで主力だったコストコ以外の量販店にも導入が広がった。売上の約6割を占める餃子類も好調に推移しており、韓国国内で培った技術をベトナムの工場に水平展開して製造している個包装の冷凍キムチもネット通販を中心に好評を博している。
 販促策の強化も売上の伸長に寄与している。昨年、ブランドの認知度向上のために東京・渋谷の商業施設「渋谷109」の「イマダキッチン」内に期間限定でオープンしたアンテナショップ「bibigoモッパンステーション」は、売上が好調に推移したことから出店期間を4月中旬まで延長する。同社では、SNSアカウントの本格稼働や有名Youtuberとのコラボレーション動画の配信などネットを活用した販促も積極的に展開しているが、最近では自社発の取組のほかに、有名Youtuberが韓国メニューなどを紹介するいわゆる「モッパン動画」内で同社の商品が紹介されることも増えた。デジタルメディアの露出増によって、消費者が同社の商品に興味を持ち、トライアル購入してリピーターに育つという好循環も生まれているという。
 林逸(イム・キョンイル)社長は同社の冷凍食品の販売概況について、「近年の日本市場では、ヤンニョムチキンやハットグなど、伝統的な韓国料理というよりは少しアレンジしたメニューが若者などから高く評価されている。また、コロナ禍で外出を自粛する消費者が増えたことで韓国の本場の味わいを国内で味わいたいという需要が高まり、量販店などでも韓国フェアが好調だ。このような環境下で、当社の冷凍食品も、家庭で手軽に本格的な韓国メニューが楽しめる商品として引き合いが強まっている」と説明。今後の方針について「日本で冷凍食品を展開してから3年が経過した。着実に売上が伸び、問い合わせも増えている。現在の売上構成比は全体の10%台だが、今年度から大型店などへの提案を本格化させて売上の拡大を図っていく」としている。
 なお、同社では現在10品強の冷凍食品を展開しており、3月には新商品「3種類のきのこ&野菜のチャプチェ」(275g)を投入してラインアップを拡充している。今後は引き続きデジタルメディアを活用した販促などを展開してブランドの認知度向上を図りながら、郊外の大型店舗等への提案も強化していく方針だ。

新社長に浜田専務 ―― 日本水産

日本水産

 日本水産は23日、同日開催の取締役会で新社長に浜田晋吾代表取締役専務執行役員最高執行責任者(COO)の昇格を決議した。的埜明世社長は常勤相談役となる。6月25日開催予定の定時総会・取締役会で正式決定する。
 交代の理由は、2022年度からスタートする次期中計を迅速に推進するために、経営体制の一層の強化を図り、主要事業間およびグループとの連携を強化し、さらなる成長と企業価値向上を目指すため。
 浜田晋吾(はまだ・しんご)氏は1959年1月7日生まれの62歳、東京都出身。1983年3月東京大学大学院農学系研究科水産学専門課程修士課程修了、同年4月日本水産㈱入社、2014年6月執行役員、17年6月取締役執行役員、18年6月取締役常務執行役員、19年6月代表取締役専務執行役員、20年3月より代表取締役専務執行役員最高執行責任者(COO)。
【代表取締役の異動】▽代表取締役社長執行役員最高経営責任者CEO(代表取締役専務執行役員最高執行責任者COO事業開発部・情報システム部担当)浜田晋吾▽代表取締役専務執行役員水産事業執行(取締役常務執行役員水産事業執行)高橋誠治▽常勤相談役(代表取締役社長執行役員最高経営責任者CEO)的埜明世

消費者キャンペーン軸に ―― 首都圏市販冷食連絡協議会

(左から)菅野副会長、齊藤会長、岡村顧問
(左から)菅野副会長、齊藤会長、岡村顧問

 首都圏市販冷食連絡協議会(市冷協)は24日、東京大田区の東京流通センター会議室で、2021年度新年総会を開催した。同会は例年1月に開催されていたが、緊急事態宣言中となったため延期し宣言が明けるのを待って開催されたもの。
 2021年度の普及事業については、消費者キャンペーン「毎日おいしい!冷凍食品キャンペーン」を既存ユーザー購入点数の拡大を目的に継続実施する。時期・期間は6月~7月31日と例年の時期、期間で行う。景品についてもコロナ禍による暮らし方の変化を踏まえ、需要が高いグルメカタログやホットプレートなど調理家電、生活雑貨を充実したほか、冷凍食品詰め合わせも継続する。また今回、新たな試みとして、キャンペーン期間限定で特設サイトを開設する。サイトでは賛助会員メーカーの商品情報やアレンジレシピ、動画サイトなど市販冷食を盛り上げる多種多様なコンテンツを掲載する予定。
 普及活動のもう一つの柱として「全公立展」への参加を予定。さらに神奈川県の全中学3年生に配布する高校受験の冊子への広告出稿も計画している。
 総会で挨拶した齊藤顕範会長は、「首都圏市販用冷食のSCIデータを見ると、1月が前年比121%、2月113%と引き続き好調だ。2月下旬からコロナの裏年に入るが、ニューノーマルも定着している。協議会の普及活動も時流に合った形で展開していきたい」とした。

新センターが来春稼働予定 ―― 谷口社長

谷口社長
谷口社長

 カナカンの谷口英樹社長は18日、石川県金沢市で開催した「カナカン令和3年春季総合企画商談会」の会場で本紙取材に応え、同社の直近の販売状況、今後の取組などについて概要次の通り説明した。
 直近の当社の販売実績は、2020年度第3Q(4月~12月)までの累計で、売上高前年比約98%、経常利益同70%で推移した。
 業務用は新型コロナ禍の影響で外食店向けの販売や、酒類の販売などが苦戦した。一方、家庭用は好調に推移した。利益については物流費の部分で苦労があったが、昨年取組を進めた配送頻度やルートの見直し、発注のデジタル化などのコスト削減の取組が徐々に成果を上げ始めている。
 今年の取組としては、新潟地区の販売好調を受けて新潟県長岡市への新設を計画している新センターについて、来年の竣工を目指して取組を進めていく。現在は、設計が完了し、建設業者の選定作業に入っている。同施設は県下2拠点目となるフルラインを備えたセンターで、自動倉庫など最新鋭の省人化設備を導入する。新センターで省人化のノウハウを培い、全社に波及していきたい。
 また、当社ではこれまで、メーカーにもご協力を頂きながら、社員向けの勉強会、研修会を積極的に行ってきた。一見地味だが、当社の強みである提案やマンパワーの底上げに必要不可欠な取組だと考えている。今後も、社員の実力を底上げする研修会などについて、積極的に実施したい。
 今後の市場環境については、コロナ禍の終息が見通せない中で、小売店のコスト競争が激化することを危惧している。冷凍食品のような優れた価値を持つカテゴリーについても過度な価格競争が進むということは、業界として健全とは言い難い。首都圏で起きつつ値下げ傾向がほかの地域に波及するかどうか、市場の動きを注視したい。

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