冷食の地位高まった一年 ―― FOODEX JAPAN フローズンセミナー
セミナーは満席と大盛況(11日)
「FOODEX JAPAN2021」企画のパネルディスカッション「フローズンフーズがもたらす小売ビジネスの変革」が期間中の11日に幕張メッセで行われ、七尾宣靖イオンリテール執行役員食品本部長、同副委員長の小野瀬卓三菱食品㈱常務執行役員営業統括代行兼低温事業本部長が登壇した。両氏からは「コロナ禍で冷凍食品はポジショニングを高めた」「冷凍食品は可能性があるカテゴリー」や「冷凍食品の基本的な価値を高めていくこと。冷凍食品売場だけでなくもっと売場を拡げていくべきだ」などの意見が出され、冷凍食品の将来性に対する期待を表明した。
今回のセミナーは「FOODEX JAPAN2021」の美食女子フローズン企画の一環として行われたもの。七尾氏、小野瀬氏に加え“冷凍王子”こと西川剛史氏をファシリテーターにパネルディスカッションを行った。冒頭、七尾氏は、「冷凍食品は利便性が高く市場拡大した商品であるが、コロナ禍で、美味しさが改めて認知され、この1年で冷凍食品が家庭にはなくてはならない食品として浸透したのは間違いない。一方で外食市場は苦戦しているが、業務用でも標準化やフードロスの観点からも外食産業も冷凍食品の重要性はさらに高まる。業務用冷食はプロ仕様の商品として家庭用商品に展開でき市場拡大が期待できる。いずれにしても小売、外食、内食、外食含め全ての分野で冷凍食品がポジショニングを高め、これが明確になった1年だ。冷凍食品はニューノーマルの中での市場拡大に、たくさんヒントを与えてくれる食品である」とした。
今後の冷凍食品の可能性について七尾氏は、「冷凍食品の基本的な優位性を色々な視点で高めていくことで、できなかった夢を現実にすることかできる食品であると思う。我々の会社は(ピカールなど)冷凍食品の販売に力を入れている。社会全体を考えても冷凍食品は大事なカテゴリーの商品であり、開発技術も進化しており、可能性あるカテゴリーだ」と期待を込めた。
小野瀬氏は「冷凍食品の基本的な価値を高めていくこと。また、ギョーザ、シュウマイなど日配品がメインで販売されていたものから冷凍食品化され付加価値を上げる。生鮮売場でも冷凍が増えている。冷凍食品売場だけなく、もっと売場が広がってくる。冷凍食品は最大の特徴は、本物の味の再現性の高さだ」とした。
来場者は2万5千人超
(一社)日本能率協会など4団体主催の「FOODEXJAPAN2021」は9日~12日の4日間、千葉市の幕張メッセで予定通り開催されたが、期間中の来場者数は2万5754人だったと発表した。例年FOODEXは8万人近く来場しているが、今回はコロナにより規模縮小、海外からの来場者が殆どない中であったが、目標の2万5000人は上回った。
美食女子アワード グランプリ6品を選出、業務用も今回より実施
グランプリ受賞メーカー
アワード参加22メーカーから100品超がエントリーされ、意識・関心が高いモデル、フードコーディネーターで組織された美食女子と卸・小売など食品飲料を扱う企業のバイヤーなどが、7項目で各5点満点で評価、最高得点を獲得した商品が各部門のグランプリに選ばれるもの。
各部門のグランプリは、「朝食に食べたい」では「五穀米が入った!赤飯おにぎり」(日本水産)、「子供に食べさせたい」では、「ミニオンズポテト220g」(ライフフーズ)、「夕食のメイン」は、「てり焼きチキンステーキ」(ニチレイフーズ)、「お酒のお供に楽しみたい」は、「日清焼そばU.F.O.濃い濃いお好み焼き」(日清食品冷凍)、「自分へのご褒美に選びたい」は「ミニカップDecorations抹茶チョコレートクッキー」(ハーゲンダッツジャパン)、「業務用部門」は「たまねぎ5㎜ダイスカットオニオンズ」(ノースイ)となった。
グランプリの商品は、イオン幕張新都心店で特設展示される。
【グランプリ以外の各部門の金賞、銀賞は以下の通り】[朝食]金賞「国産小麦100%ホットケーキ」(ニップン)、銀賞「おはようカップスペイン風オムレツ」(ハインツ日本)▽[子供]金賞「マ・マー大盛りスパゲティミートソース」(日清フーズ)、銀賞「ちっちゃなチーズハットグ」(日本ハム冷凍食品)▽[夕食]金賞「大阪王将たれつき焼売」(イートアンドフーズ)銀賞「五目シュウマイ香りと旨み」(マルハニチロ)▽「お酒」金賞「ごっつ旨い大粒たこ焼」(テーブルマーク)銀賞「国産鶏鶏つくね串照焼」(ケイエス冷凍食品)▽[ご褒美]金賞「ピノあまおう苺」(森永乳業)銀賞「&“me time”チーズケーキ」(三菱食品)▽[業務用]金賞「ソイリーボール(プレーン)」(ケイエス冷凍食品)、銀賞「500gBBQプルドポーククラシック」(ハインツ日本)
冷食等製造の新工場 福岡県古賀市に竣工へ ―― ピエトロ
ピエトロは12日、福岡県古賀市内に冷凍食品などを製造する食品工場を新設すると発表した。2025年の竣工を目指す。
食品事業の好調を受けて、同市内の既存第1~第3工場が担う、冷凍食品、ドレッシング、常温品などの製造機能を強化する。新工場は、見学施設やアンテナショップの併設なども視野に施設の概要を検討している。
また、同日付けで古賀市と立地協定を締結した。新工場の建設用地として、同市が運営する公園「古賀グリーンパーク」の西側に位置する用地を取得する。用地の総面積、新工場の施設規模、投資金額は未定。
●4~12月の冷食売上、前年比165%超えに
なお、同社はこのほど本紙取材に応え、2020年4月~12月の冷凍食品部門の売上が、前年同期比165.4%で推移したことを明らかにした。直近の1~2月も同水準の伸び率を維持している。
イースター起点にたまご拡大 健康価値の啓発も強化 ―― キユーピー フレッシュストック事業
長南収社長(右)と藤原上席執行役員
キユーピーは17日、オンライン記者発表会を開催、同社が昨年秋より取組むフレッシュストック事業の21年春戦略および新商品について発表した。
同事業はコロナ下のニューノーマルに対し、青果・精肉・鮮魚、惣菜、日配の各部門でグループの強みを活かした商品展開を進め新市場を創造していくもの。
説明に当たった長南収社長は「コロナ禍の内食の変化に対応した三つの挑戦」として①事業担当制から市場担当制へ新組織体制②イースターを起点として、たまご商品のさらなる拡大③新商品を起点として、食生活提案力の向上―を掲げ“内食ダイバーシティ戦略”を実行していくことを明らかにした。
たまご商品の拡大については1世帯当たりの鶏卵購入量が増加傾向にある中、イースターを起点に、タマゴのリーディングカンパニーとして日本国内ではまだ馴染みの薄い栄養素「卵黄コリン」の啓発を強化していく。
商品面ではカップ容器の殻なしゆでたまご「キユーピーのたまご ゆでたまご」の首都圏での実験販売を6月より開始していく。
また今回、新技術に裏打ちされた新商品として「冷圧フレッシュ製法(R)」を使用したサラダ惣菜3品を4月1日より発売。冷蔵で20日間の日持ちを実現し、「惣菜売場にストックという新しい価値を提案していく」(長南社長)。
昨年秋の立ち上げから現在までの同事業の進捗について説明した藤原かおり上席執行役員新規市場開発担当は、試食ではバイヤー様に非常に良い評価をいただき、売場での動きも良好であり手応えを感じている」とした。