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今週のヘッドライン|2021年3月第3週号

定番の品質向上進む ―― 春の業務用冷凍食品 新商品

 2021年春季業務用冷凍食品が出揃った。コロナ禍で業務用市場が大きな落ち込みを見せる中、例年に比べ、やや投入数が控えめとなった今回の新商品。強みを持つ定番アイテムにいかに大きく変化する市場ニーズに沿った商品が提案できるかが大きなテーマとなった。今春の新商品の大きな特徴として挙げられるのは簡便調理をベースに①定番品質の向上②コロナ禍におけるニーズの変化への対応③得意分野の追求④健康訴求―の4点。コロナ対応では個包装化や量販売場向けフロチル対応といった提案が進んだ。

 定番商品がより一層強みを発揮する状況にあって、ニチレイフーズが『定番品質の価値向上』を掲げ今春提案したのは「ロワ・グリエハンバーグ」。新たに〈ジューシー包み成型〉技術を採用するなどさらに品質に磨きをかけた。また、日東ベストも主力のハンバーグで肉感のある「ベストデリハンバーグ」を投入。味の素冷食は主力のケーキ類のラインアップを強化した「フリーカットケーキ」にハーフサイズ3品を投入した。
 コロナ禍で高まる内食需要に対応し、量販水産売場向けにフローズン・チルドの〈FCフライパンで簡単〉シリーズを新たに提案したのは日本水産。ヤヨイサンフーズは量販店惣菜売場をメインターゲットに昨年11月より稼働する気仙沼工場生産の〈レンジでサカナ〉シリーズを投入、フロチルでのロス低減、店頭陳列後の日持ち対応、容器ごとの簡単レンジ調理で提案する。
 惣菜売場のパック売り拡大の影響で手揚げが主流の天ぷらが不振となる中、マルハニチロはプリフライかき揚げを強化した。生産性の向上を軸に店内揚げ調理からの移行を提案する。
 テーブルマークは高まる衛生配慮の意識に対応。ベーカリー4品を個包装食べきりサイズで前期秋より順次提案している。
 得意分野の追求ではキユーピーの半熟技術がさらに進化、勝美ジャパンがメディカル給食向けにコロッケを投入する他、ケイエス冷食はUDFの揚げ出し豆腐などを発売している。

2021年春の主要メーカー業務用新商品
2021年春の主要メーカー業務用新商品

FOODEX2021開催 1313社1371ブースが出展

アワードブースは人だかり
アワードブースは人だかり

 (一社)日本能率協会など4団体主催の「FOODEX JAPAN2021」が9日~12日まで千葉市の幕張メッセで2年ぶりに開催された。開催規模は例年より縮小したが、アフターコロナを見据え世界40カ国・地域から1313社・1371小間となった。
 冷凍食品に特化したコーナー「美食女子フローズンフーズ」コーナーでは参加冷食メーカー22社(アイス含む)がブース提案、久しぶりにリアルで熱のこもった新商品の提案が見られた。11日にアワードグランプリ表彰式やパネルディスカッションも満員の盛況ぶりだった。

「共創圏」確立を目指す―― 国分グループ本社

國分晃社長
國分晃社長

 国分グループ本社は3日、第11次長期経営ビジョン(2021年度~2025年度)を発表した。
 第11次長計ビジョンはビジョンタイトルを『食のマーケティングカンパニー」の進化~共創圏の確立~』とし、「“食のマーケティングカンパニー”として食に関わるあらゆる事業者および生活者の真のニーズを主体的に捉えて社内外の人々と融合した共創圏を構築・発展し食の価値創造№1企業となる」としている。
 共創圏とは、川上から川下までのバリューチェーン全域で、国分が仕入先・販売先のみでなく、生産者、物流会社などの事業者、行政、生活者と従来の取引・取組みの枠を越えて連携することで、新たな食の価値・事業創造を目指すネットワークと定義する。
 共創圏では、第1階層(国分グループ本社、エリアカンパニー、カテゴリーカンパニー)、第2階層(+国分グループ各社)をはじめ4つの階層で構成する。
 目指すべき価値創造では、顧客満足度№1、コト売比率(経常利益30~50%)、共創圏規模(第3階層売上+1兆円、第4階層までの企業数+100件)、従業員の「仕事における幸福度」向上の4点。
 共創圏の確立のために、卸売本業の進化、コト売利による収益基盤の再構築、デジタル化の推進(DX)など12の戦略の柱と、ルート、カテゴリー、事業の3つの推進機能で14の戦略領域で構成する。
 カテゴリーでは、低温(チルド、冷凍、冷菓)、フレッシュデリカ、ヘルスケア・サステナブル商品について市場ニーズに合わせ、新たなカテゴリー発掘・開発を進めていく。

 常温と低温の組織を融合

 また常温と低温の融合も進める。1月に国分フードクリエイトのマーケティング機能を国分グループ本社マーケティング・商品統括部に統合、7月に国分フードクリエイト東北、関信越、中部、西日本を各エリアカンパニーに統合する。
 同日同社本社で行われた説明会で國分晃社長は、「10次長計までに我々が備えたフルライン、フルファンクション、地域密着全国卸の機能は、共創圏を持つことでより大きく可能性を拡げることができる。既存事業の進化、新規事業の継続的創造を行うことで、モノ+コト売り事業の二輪化の実現を目指す」とした。

麺やおつまみ冷食訴求 ―― ミニストップ

藤本社長
藤本社長

 ミニストップは9日、2021年商品政策発表会をオンライン上で開催した。
 会見に登壇した藤本明裕社長は、「20年度はコロナ対応に有効な手立てが無いまま1年が経過した。特に客数が80%台で推移したのは大きな課題で、取組が急務だ。21年度は、生活行動の変化を捉え、コロナ前の売上回復を目指す。“毎日行きたくなる食事のデスティネーションストア”を掲げ、店舗への来店目的を増やし、来店客数を回復したい」とした。
 21年の商品政策については、「消費・購買頻度が高いファーストフード、弁当、サラダ・惣菜、店内調理惣菜・米飯を強化し、〈やみつキッチン〉ブランドを部門横断的に投入する」(仲澤光晴商品本部長)としている。
 21年度は、①米飯/惣菜のデスティネーション化②FFスイーツの購入頻度改善③年間を通じたコミュニケーションの確立④新常態(家飲み、家庭内消費)需要の獲得――を進める。 
 そのうち、①米飯・惣菜のデスティネーション化では、弁当改革として原材料にこだわり、原価構造を見直した弁当を値ごろ感のある価格で提供する。売場づくりでは朝~17時まではおにぎりを目線の位置に、17時以降は惣菜を目線の位置に配置するなどタイムマーチャンダイジングを意識した陳列に取り組む。商品戦略では、看板商品の惣菜を開発し、人気惣菜を使用した弁当も投入する。
 ③コミュニケーションの確立ではテレビCMを第1四半期に集中投入する。
 ④新常態需要の獲得については、酒類の売場スペースを拡充し、家飲み需要の対応を進める。家庭内消費への対応として、デイリー売場ではパウチ惣菜を、冷凍食品売場ではパスタ等の麺類やおつまみ・おかずを来店客の目線の位置に展開して訴求する。

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