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今週のヘッドライン|2021年3月第2週号

国内全工場の脱フロン達成 ―― 味の素冷凍食品

左から吉野部長、黒崎社長、福元専務
左から吉野部長、黒崎社長、福元専務
関東工場フリーザー用冷凍機(自然冷媒)
関東工場フリーザー用冷凍機(自然冷媒)

 味の素冷凍食品は2日、WEB記者会見を行い、国内7工場の冷凍機のフロン冷媒から自然冷媒への転換が3月末日に完了することを発表した。同社では「オゾン層保護法」(1998年)、「フロン回収・破壊法」(2001年)の制定を受け、脱フロン化に向けた技術検討を 開始。2006年に冷凍食品業界で初めて「フロン冷凍機の全廃と自然冷媒への転換」を宣言し、今回その達成に至った。国内工場の全冷凍機脱フロン化は業界初。01年に47基保有していた冷凍機も20年には27基まで削減、アセットライトも実現した。
 概要の説明に当たった吉野正二生産本部生産戦略部長によると、脱フロンを進めるに当たって「①高額な投資②冷媒漏洩による環境リスク③ 製品の安定供給の維持という3つの課題があった」とし、具体的対応策を以下の通り説明した。
 高額投資に関しては、工場の建て替え、製造ラインの再編、設備能力向上による時間当たりの生産能力の増強、またシフト増により生産時間を延長し、1日当たりの生産能力を増強することで生産拠点の集約を試み、2000年に見込んだ140億円から大幅に圧縮した。
 冷媒漏洩リスクに関しては、検出器、警報器の設置や除害装置の完備、緊急事態訓練の実施や、アンモニアと二酸化炭素を併用した冷凍設備導入よる危害リスクの低減等の対策を実施。供給リスク対策では、工事開始前の在庫調整、同一商品の複数工場での生産を可能にする設計への変更、他ラインとの生産調整、隣接ラインのフリーザー活用、新規設備の設置場所の創出のための空間活用等を行うことで、生産を継続させながら工期短縮を行い、新規設備への切り替えを実行した。
 その結果「最終的には冷凍機を7工場27基まで削減し、総投資額も補助金の活用も含め90億円まで圧縮した」(吉野部長)。
 また、これらの取り組みによる環境成果として、冷凍機のマルチユニット化技術の構築、高効率モーターの採用により省エネ型冷凍機の導入、冷却効率の向上(冷凍機設置位置変更による配管距離の短縮による)、負荷変動抑制による省エネを掲げ、「年間約1億円のコスト削減実現した」(同)としている。
 また、自然冷媒の使用方法もアンモニア単独使用から、アンモニアと二酸化炭素の併用、アンモニアの使用量削減や空気冷媒の併用などアンモニアの保有量を抑える技術開発も行った。
 その結果、特定フロン総保有量約70t削減、CO2排出量換算12万6700t―CO2を実現した。
 今後、代替フロン(HFC冷媒)を30年までに全廃し、自然冷媒へ転換する。
 会見に同席した黒崎正吉社長は「脱フロン化は業界全体の課題。他のメーカーにも協力できることは、協力したい」とした。福元哲郎専務は、同社協力工場等への脱フロン化に関して「強制すべきものではない。技術提供、支援は惜しまない。各社判断を尊重する」とした。

新社長に大西専務、黒本氏は顧問に ―― ヤヨイサンフーズ

ヤヨイサンフーズ

 ヤヨイサンフーズはこのほど開催した取締役会において、4月1日付で代表取締役社長に大西宏昭専務取締役経営管理本部長の昇格を決定した。黒本聡社長は同日付で顧問に就任する。
 大西宏昭(おおにし・ひろあき)氏は1957年12月10日生まれ、63歳。徳島県出身。1980年3月慶應義塾大学商学部卒、1980年4月大洋漁業(現マルハニチロ)入社、2010年マルハニチロ食品(現マルハニチロ)デイリー営業部長、2014年4月マルハニチロ業務用食品部長、2017年4月同社執行役員業務用食品ユニット業務用食品部長、2018年4月同社執行役員業務用食品ユニット長兼業務用食品部長、2020年4月ヤヨイサンフーズ取締役、同年6月専務取締役経営管理本部長で現任。

冷食事業強化図り機構改革 ―― ニップン

 ニップンは1日、冷凍食品事業に係る機構改革を4月1日付で実施、新事業年度より新たな組織体制とすることを発表した。
 製造に係る組織体制の変更では、ニップン冷食から生産設備を譲り受け、直接製造を行う。それに伴い、工場名称を変更、ニップン冷食竜ケ崎工場はニップン竜ケ崎工場に、ニップン冷食伊勢崎工場はニップン伊勢崎工場とする。
 本社組織の機構改革は以下の通り。
 〈食品事業部門〉(4月1日)▽冷凍食品の販売体制強化のため、冷凍食品を所管する「冷凍食品事業本部」を設置し、「食品事業本部」と「冷凍食品事業本部」の2本部体制とする▽現在の「食品事業本部」における7部(「食品業務部」「貿易業務部」「統轄・管理部」「食品第1部」「食品第2部」「食品第3部」「食品第4部」)を再編し、次の体制とする▽「食品事業本部」は、「食品業務部」「食品素材部」「加工食品部」の3部体制とする▽「冷凍食品事業本部」は「冷食業務部」「冷食営業部」の2部体制とする▽上記2本部から独立した「営業企画室」を設置する。
 〈生産技術本部〉(4月1日)▽冷凍食品の生産・技術体制強化のため、新たに「生産・技術第2部」を設置する▽「生産・技術本部」の2部体制(「生産・技術部」「プラント部」)を再編し、3部体制(「生産・技術第1部」「生産・技術第2部」「プラント部」)とする。
 同社は冷凍食品市場の拡大に対応すべく、昨年11月にニップン冷食伊勢崎工場冷凍食品第2工場を竣工・稼働し、製品供給体制強化を図ってきた。今回の機構改革についてより迅速な意思決定と施策を実行し、冷凍食品の品質・コスト競争力をさらに強固なものとすべく、これまで以上に“製・販・管”一体となった事業組織を整えることとした。(関連人事3面)

〈ごはんのおとも〉展開 ―― マルコーフーズ

マルコーフーズ

 マルコーフーズは1日、家庭用冷凍食品〈ごはんのおとも〉シリーズを立ち上げ、新商品3発売した。
 「味付とろろ明太子入り」(60g×20p×4箱)は、国産大和芋を使用し、鰹節、醤油、みりんなどで程よく味付けした商品。国産の香り高い青のりを加えた「味付とろろ国産青のり入り」、がごめ昆布の食感が楽しい「味付とろろがごめ昆布入り」も投入した。一食分60gの小袋タイプで、解凍して温かいごはんにかけるだけで、家庭でとろろ丼を楽しめる。自然解凍、流水解凍対応品。

会社所在地

〒160-0008
東京都新宿区三栄町24番地
黒田ビル2階