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今週のヘッドライン|2020年12月第3週号

20年国内生産158-160万tに ―― (一社)日本冷凍食品協会・大櫛会長会見

(一社)日本冷凍食品協会・大櫛会長会見

 (一社)日本冷凍食品協会の大櫛顕也会長は10日、冷凍食品記者クラブに対して年末会見をウェブ形式で行った。20年の国内生産量は、「前年並みか若干下回る。数量では158万t~160万t、伸長率は98.9~100.9%。家庭用は全般的に好調であるが、業務用は最近回復基調にあるが大幅な落ち込みがあったため、前年並みか若干下回る」との認識を示した。また、「冷凍食品はエッセンシャルな食品。コロナにより見直された。この機会をうまく使い発展につなげていきたい」とした。

 20年度冷凍食品業界については、「新型コロナの影響で、家庭用はパスタ、米飯類など簡便性の高いものが伸長、一時は需要に供給が追い付かない状況であった。現在は元の状況に戻っているが、それでも家庭用は2桁の伸長が続いている。一方、業務用は3月の学校休校にはじまり、飲食店の営業自粛、営業時間の短縮、在宅勤務の増加で需要がかなり消失し、深刻な状況である。11月頃には業務用は回復基調にあったが現在の第3波により萎んでいる。いずれにしても生活スタイルが相当変化した。冷凍食品のニーズは今後も高い状態で続いていくと思う」とした。
 2021年の展望については、「コロナが、一定の割合で収束すると仮定すると、家庭用は今年のような伸長は期待できないが、生活者が在宅勤務に慣れており一定の需要は残る。単身、二人世帯の社会構造の変化もある。業務用はコロナの収束如何であるが、ニューノーマルの生活の中で、テイクアウト、宅配は今以上に伸長する。これに対する原料調達、商品開発、生産のサプライチェーンが変わってくる。インフラ含めて変えていかなければならない。いずれにしても冷凍食品はエッセンシャルな食品だ。コロナにより見直された。この機会をうまく使い発展につなげていきたい」とした。
 2020年の国内生産については、「主要メーカーの上期の決算状況を鑑み、2020年の国内生産は前年並みか若干下回る。数量では158万t~160万t、伸長率は98.9~100.9%だ。家庭用は全般的に好調であるが、業務用は最近回復基調にあるものの、大幅な落ち込みがあったため、前年並みか若干下回る」とした。

冷凍食品「100+1」
周年記念式典を計画


 来年度の広報事業については、中止となった冷凍食品100周年記念事業は、冷凍食品「100+1」周年記念として北海道森町と開催の方向で協議している。また「冷凍食品の」日PRイベント、「冷食JAPAN2021」も開催を計画している。

香川社長「中計の執行に道筋」、吉岡次期社長「更なる発展めざす」 ―― テーブルマーク

香川社長(左)、吉岡次期社長
香川社長(左)、吉岡次期社長

 テーブルマークは17日、年末会見をウェブで行った。香川雅司社長が今期の概況、21年1月1日付で社長に就任する吉岡清史常務執行役員製造本部長が来期の取組みなど述べた。
 香川社長は今年度の概況について、「一言で言うとコロナに尽きる。コロナが大きな変化をもたらした。冷凍食品業界で大きく変化したのは消費者動向だ。具体的には消費者のオケージョン(色々なシーン)、嗜好の変化だ。嗜好についても例えば健康志向、節約志向が凄い勢いで進行したと認識している」とした。
 今期事業では、「当社は2020年度より中期経営計画を始動。キーワードは『テーブルマークらしさの構築』。この一環として事業ポートフォリオの再構築を図っている。具体的には、冷凍麺、パックごはん、冷凍お好み焼、焼成冷凍パン・デザートの4つの品群に注力。選択と集中を図った。冷凍めん、パックごはん、〈ごっつ旨いお好み焼〉事業は販売チャネルがBtoCであることから、計画通り、それ以上に伸長している。ベーカリー・デザートについてはBtoBであることも当初計画に対してかなり苦戦した」とした。
 社長交代については、「新しくテーブルマークとして中計を策定したこと、そして具体的な執行に着手したことに加えメーカーとして製造機能を強化したい目的で吉岡次期社長にバトンタッチする」とした。
 吉岡次期社長は、「21年度の事業の方向性は基本方針に変更はない。香川社長が推進してきた方針を引継ぎ、更に発展させていくのが務めた。当社の強みである、冷凍麺、冷凍お好み焼、パックごはんの3品群を中心に、更に今期コロナの影響で打撃を受けた、焼成冷凍パン・デザートの立て直しを図る。テーブルマークならではの商品開発も加速させる。社内的には現在構造改革推進中で、現在実行中の生産体制の整備を引き続き進めるほか、ロジ周りを中心とした社内サプライチェーンの見直し、改革、品質管理機能の強化やサプライチェーンに関わるシステムの投資も積極的に進める」とし、テーブルマークならではの価値をお客様にお届けできるように社員一丸で取組んでいく」とした。

中計で具体的な成果 ―― 極洋・井上社長会見

極洋・井上社長会見

 極洋は15日、東京・赤坂の本社で年末会見を開いた。井上誠社長は今期概況、中計の進捗、新中計の方向性など要旨以下の通り述べた。
 この1年はコロナに始まりコロナに終わる。コロナに翻弄された1年だった。
 今期は第1四半期からコロナ禍の中、消費低迷でスタートした。特に食品事業は、知業務筋ルートに注力していたため、外食、問屋、給食ルートが大きく影響を受け、食品事業は前年対比で厳しい状況となった。
 第2四半期に入ってからは回復基調が鮮明となった回転寿司業態など一部外食ルートや生協宅配、量販冷食は引き続き好調を維持している。また家庭用冷凍食品では、前年比110%以上の実績となっており、エビ事業も10月単月で前年を上回る売上利益に回復している。しかし12月に入りコロナの影響で、その陰りが業務筋ルートで一部見られる。今後大きな失速も懸念しているが、ピークを迎えている年末商戦は、カニ、鮭鱒、エビなどの水産品は順調に推移している。
 中計2021「Changekyokuyo 2021」では、事業ウイングの拡大と、時間価値の提供により企業価値の向上を目指すことを基本方針に取組んでいる。今年度は最終年度となるが、3年間の具体的な成果を見ると、事業ウイングの拡大では、クロシオ水産の買収や長谷川水産の出資、タイの新工場建設。時間価値の提供では、だんどり上手シリーズの拡大や煮魚のラインアップ拡充に取組んで財務面では3年間で自己資本比率が中計目標の30%を達成するなど目に見える形で着実に成果が出ている。
 一方でクリアできていない課題として3点ある。一つは水産商事における収支の安定化だ。二つ目は海外販売の強化だ。三つ目の課題は食品事業の規模の拡大だ。
 現在策定中の新中計では、現中計の残された課題を踏まえて、収益の安定化、高収益構造の転換が引き続き大きな柱となる。その一つの施策として食品部門の組織改定を検討している。
 食品事業の商品提案力、企画開発力を強化し、メーカーとして自社製品をしっかり販売できるよう。生産、販売体制の一体化を実現する組織に改革する。
 組織改定では、従来の食品系組織の水産冷凍食品部、調理冷凍食品部、家庭用冷凍食品部、常温食品部の体制から業態別に市販用食品本部、業務用食品本部の2事業部に再編成し、支社が販売活動に専念できる体制にする。

グランプリは「ギョーザ」 ―― 日本アクセス・20年フローズンアワード

佐々木社長(左)と記念撮影するグランプリの味の素冷食・土田伸一首都圏リテール営業部長
佐々木社長(左)と記念撮影するグランプリの味の素冷食・土田伸一首都圏リテール営業部長

 日本アクセスは16日、東京大崎の本社で第8回「フローズンアワード冷凍男子 冷凍女子総選挙2020」の表彰式を開催、冷凍食品のグランプリは味の素冷凍食品の「ギョーザ」が選ばれた。
 佐々木淳一社長は、「今年はコロナに翻弄された1年だった。食品流通業界は、食のライフラインを守るべく、食の供給への対応に全力で取組み、巣ごもり需要やテレワークなど新しい生活様式を支えた。圧倒的に品揃えが豊富なスーパーマーケットに消費者が集まった一方、CVSや外食産業は大きな向かい風となり、この厳しい事業環境は今なお続いている。さらに小売企業は販促や商談を制限せざるを得なくなり、食品流通業界にも過去に前例の無い、思うような営業活動ができない期間が今もなお続いている。その中で今年もフローズンアワードを開催させていただいたことを心より御礼申し上げる」とコロナ禍で実施できたことに謝意を述べた。
 今回のアワードは、10月1日~11月30日の2カ月間、オープンキャンペーンWeb投票「冷凍男子冷凍女子総選挙2020」、クローズドキャンペーン「冷凍食品・アイスクリームを食べて応援キャンペーン」を実施した。協賛企業は冷凍食品26社、アイスクリーム24社、伊藤忠商事。
 アワードのエントリー数は、冷凍食品26メーカー119商品、アイスクリーム24メーカー80商品の合計199商品。
 冷凍食品では、新商品、冷凍野菜・果実、麺類、軽食・おやつ、米類、おかず〈弁当〉、おかず〈食卓〉、ご当地の8部門の上位3品を発表し、グランプリには「ギョーザ」(味の素冷凍食品)が選ばれた。また、特別賞も発表された。
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