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今週のヘッドライン|2020年12月第2週号

ニューノーマルな社会に対応 ―― ニチレイ・大櫛社長会見

ニチレイ・大櫛社長会見

 ニチレイは8日、恒例の年末会見を開催、ニチレイ大櫛顕也社長、ニチレイフーズ竹永雅彦社長、ニチレイフレッシュ金子義史社長、ニチレイロジスティック梅澤一彦社長(会見順)が出席、それぞれ20年の振り返りと21年の施策を述べた。本年は新型コロナ禍の中、WEBでの会見となった。大櫛社長は「新型コロナ禍で生活者の生活は一変、この変化は一過性のものでなく完全に元に戻ることはない」とし、「グループ一丸となってニューノーマルな世界に対応する」と述べた。

 会見要旨は以下の通り。
新型コロナ禍で、生活者の生活は一変した、外出自粛、テレワークの推進などの行動変容は食品領域にも多大な影響を与えている。この変化は一過性のものではなく、完全に戻ることはないと考えている。
 Withコロナを見据え、ニューノーマルな世界に対応していけるようにグループ一丸となって邁進していく。ニチレイGは、食を通じて社会のインフラを担っていると自負している。社会的な責任を持って食の供給を停滞させないように感染拡大防止策を徹底して事業活動を行っている。
 この環境下ひたむきに業務を遂行してくれている従業員に感謝したい。
 12月1日、創立75周年を迎えた。当社は水産、冷蔵倉庫業を祖業としている。創立当時、新規事業であった、冷凍食品は当社の主力事業となった。また食の欧米化を見据えた畜産事業の開始、保管だけでなく輸配送まで含めたコールドチェーンの構築、そしてバイオサイエンス事業など75年の歩みの中で業容、事業規模を拡大してきた。これも社会の様々な変化に迅速に対応することができたからだ。今、世界規模で未曽有の転換期を迎えているが、先人のDNAを受け継ぎこれらの変化を的確に捉え柔軟にかつ大胆に対応していくことで、今後も持続的成長を果たしていきたい。
 そのための道筋の一つとして五つの重要事項「マテリアリティ」を特定し本年6月に発表した。事業の機会とリスクを、「攻め」と「守り」と位置づけ、その両面から重要事項を特定した。①イノベーションを通じた新規事業領域の開拓。②中核事業である加工食品及び低温物流の更なる進化。③商品の安定供給にかかせない素材調達機能の強化。④世界的な重要テーマである気候変動への取り組み⑤これらを実現するために多様な人材の確保と育成、だ。
 昨年度より導入しているIMSという仕組みをベースにこれからも既存事業の枠組みを超えた新しい価値創造に積極的に挑戦していく。
 今通期業績は売上高5715億円、営業利益320億円を見込む。コロナ禍の中、減収ながら過去最高益を見込んでいる。
 先行き不透明だがニューノーマルな世界においても事業を通じた社会課題の解決に取り組みさらなる成長を目指す。

中国に食品開発センター開設 ―― ニチレイフーズ・竹永社長会見

ニチレイフーズ・竹永社長会見

 ニチレイフーズの竹永雅彦社長は8日の会見で9月8日、中国上海市に食品開発センターを開設したことを報告、今後「中国での冷凍食品事業を拡大していく」と述べた。
 同開発センターは日本の研究開発センターと同様の位置づけで、ユーザーとの共同開発や商談もでき、同社独自技術の開発を中国国内で推進する役割を担う。
 竹永社長は開発センターの設立意図に関して「中国はコロナ禍からの回復が比較的早く、売上高はまだ小さいものの、前年比2桁増で推移している。中国市場はCVSが10万店に達し、新型コロナ禍の中、CVSがある種の拠点として活躍した。今後も増えていく見込みだ。そこに対して当社が得意とするFF商材や家庭用冷凍食品の需要が高まっている。また、デリバリー需要、中食、外食も需要が高まっている。各企業と取り組むにあたり商品作りをきっちりとしていかなければいけない段階となった」と強調。「中継企業との共同開発案件が増加してきており、中国は市場機会が描けるステージまできている」と中国事業拡大への期待を表明した。

食品は中計通りで推移 ―― マルハニチロ・池見社長会見

マルハニチロ・池見社長会見

 マルハニチロは9日、東京・豊洲の本社で年末会見を開き、池見賢社長は今期の概況について要旨以下の通り述べた。
 今年はコロナ禍により今まで経験したことが無い特別な1年であった。巣ごもり需要という家庭用の特需的な伸長があった一方で、インバウンド、ホテル、外食の低迷により業務用食品の販売不振が続いている。特にインバウンド、会食関係の激減で我々の強みである高級水産物の販売不振により、水産事業で損益に影響が出た。一方海外事業は、業務用関係が厳しく、相対的に家庭用消費は進んでいる。海外漁業はメロ、キンメ、カラスガレイと高級魚が多いことと、コロナによる都市封鎖の影響等で船員の移動関係の制限もあり苦戦した。
 食品事業は、家庭用冷凍食品が米飯、麺など主食アイテムが大きく伸長した。家庭用では冷食、缶詰、魚肉ソーセージは好調に推移した。業務用は生協、宅配、介護食は好調だが、外食、ホテル、産給、CVS販売が苦戦している。
 食品全体では業務用の苦戦を家庭用の伸長でカバーし予算を上回る数値で推移しており、中計目標に沿った業績を見込んでいる。
 中計「Innovation toward2021」の進捗は、食品、物流は計画通りだが、厳しいのが水産、海外関係事業だ。中計は来期が最終年度となるが、目標の定量計画達成は難しいと見ている。達成に向け時間軸を見直すなど検討していく。
 来年度もコロナの影響は継続することを前提とせざるを得ない。世界経済環境はいまだ低迷の中でどのように事業展開するかがカギだ。「確固たる強いマルハニチロ」を実現するため、強い組織づくりに注力。IT化による業務フロー統一、管理業務の簡素化など一層推進する。コロナ禍によるライフスタイルの多様化なかで、食のプレイヤーとして多様化するニーズに対応、多くの人材を事業に投入できる体制をとる。事業では、コロナ禍で大きく相場が低迷、コスト高が予想される漁業・養殖事業の再生に注力していく。

気仙沼工場生産品39品 ―― ヤヨイサンフーズ・春新商品

本格海老カツ
本格海老カツ
レンジでサカナシリーズ
レンジでサカナシリーズ

 ヤヨイサンフーズは8日、11月より稼働している宮城県気仙沼市の気仙沼工場において2021年春新商品発表会および工場見学会を開催、気仙沼工場生産品39品を含む、全71品を発表した。発売は12月1日。
 気仙沼工場には魚ライン、水産カツライン、ソフリラインの3つのラインを設置。今回、旧気仙沼工場以来となる焼き魚商品を投入するとともに、水産カツはより品質を訴求した商品にチャレンジした。
 フローズンチルド商品としてロス低減と店舗陳列後の日持ち対応を図ったのが〈レンジでサカナシリーズ〉。量販店惣菜売場をメインターゲットに容器ごとレンジで温めるだけ、手間がかかる魚料理を手軽に喫食できる商品として提案していく。第1弾ラインアップは「さばの塩焼き」「さばの味噌煮」「いわしの梅煮」の3品。学校給食向けには焼き魚を2規格の品揃えで発売する。「国産さばの照焼き60/40」は加圧処理後にふっくら焼き上げたやわらかい国産さば。
 水産カツでは海老のプリプリとした食感・風味を追求するための新技術を採用。海老のサイズ・配合量の違いによる3種類のバリエーション(「本格海老カツ60」「ごつ厚海老カツ60」「プリッぷり海老カツ60」」)を揃えた。品質訴求シリーズとしては水産原料を自社でカット処理して配合、コーティング処理により、繊維感、ジューシー感を付与した「ふっくらカジキカツ50」「ふっくら白身魚カツ50」「ふっくら国産鮭カツ50」を投入する。
 ソフリは気仙沼工場においては素材ムース系の商品を生産。連続生産対応でなめらかな食感を追求した。新商品は「SF NEW牛肉ムース15」「SF NEW豚肉ムース」などカット不要小型素材ムース5品。

会社所在地

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