コロナ禍で大幅減、食卓への意識高まる ―― 家庭用・秋季新商品
2020年秋の家庭用冷凍食品新商品は本紙調べで25社から99品、リニューアル72品が市場投入された。新商品は昨年の153品から54品減、リニューアル品は115品から43品減ともに3桁から2桁への大幅減となった。コロナ禍において内食需要拡大による生産体制の主力商品への集中、リモートワークや移動の制限などにより開発に伴う業務が困難だったこと等が大きく影響。一方でニーズが大きく変化する中、例年とは一味違った商品提案も見られ、食卓向けの充実、健康対応、高単価品など新たな価値提案が進んだ。
内食需要の急激な拡大によりメーカーの生産体制が圧迫され、欠品が相次ぐ中、各社取り組んだのが既存主力品の生産確保。一方で大きく変化する消費者ニーズへの対応として限られたアイテム数の中で「Withコロナ」の商品提案を進めた。
ニチレイフーズが食卓にもおつまみにも使える商品として「旨辛チキン」とともに、チャレンジしたのは冷凍調味料素材「いろいろ使えるピリ辛肉そぼろ」。料理を一段上のレベルに引き上げる商品を投入した。
味の素冷凍食品は〈ザ★〉シリーズ第3弾「ザ★から揚げ」を新たに投入。こちらも食卓にもおつまみにもぴったりの商品のさらなる強化を進めた。
コロナ禍、ダウントレンドだった状況を一気に盛り返したのがスナックカテゴリーだ。家庭内での昼食、間食機会が増える中、日本製粉ではニップンスナックシリーズを新たに提案。中でも今秋、目立つのがピザアイテムの投入でありマルハニチロは「ミニピザ」「Cheeees!Pizza」でピザ商品を強化、デルソーレもプレミアムピザ2品を投入している。また、和風スナックでは山崎製パンが中華まんに新たにチャレンジしており、この秋スナックは注目のカテゴリーとなりそうだ。
昼食シーンで強さを発揮する米飯カテゴリーに新アイテムを追加したのが日本水産とテーブルマーク。日本水産は「Wカルビ飯」、テーブルマークは「ビーフガーリックライス300g」とともに男性を意識したラインアップとなっている。
外食の受け皿として冷凍食品に対しての期待が高まる中“おうち外食”などのフレーズとともにちょっと上質な高単価品の提案も進んだ。日清フーズと日本製粉はそれぞれ全面刷新やアイテム追加で高価格帯を強化。キンレイも〈お水がいらない鍋〉シリーズでさらなる単価アップを狙った。
コロナ禍において健康管理にも意識が向く中、機能性表示食品の冷凍うどんを家庭用で発売したのはシマダヤ。米久はトレンドの代替肉商品7品を投入し、健康ニーズへの対応を図った。
〈ポケチキ〉を刷新 ―― ファミリーマート
新しくなった〈ポケチキ〉
ファミリーマートは9日、同社のカウンター商品〈ポケチキ〉シリーズをリニューアルする。
今回発売するのは、「ポケチキプレーン」「同ホット」「同チーズ」(いずれも税込200円)の3品。「プレーン」「ホット」を定番商品に設定し、残り1品は順次新商品と入れ替えて売場のマンネリ化を防ぐ。既存品の購入客のうち6割を占める女性層をメインターゲットに据える。
今回のリニューアルでは、肉にジューシーな鶏もも肉を配合して成形し、衣の原料を変更してサクッと感を向上させた。味付けも調味料を変更するなどして肉の旨みを引き立てるシンプルなものに変更している。
ポケチキは、唐揚げとナゲットの特長を併せ持つひと口サイズのフライドチキン。昨年5月に発売以来1億個を売り上げ、同社の看板商品に育っている。
●今期はカウンター苦戦
8月25日に東内で開催したリニューアル発表記者会見では、カウンター商品全体の直近の販売状況についても説明した。
直近のカウンター商品の売上は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて苦戦している。オフィス立地店舗などの客数が目減りしたことが影響した。巣ごもり需要の高まりによってストック型商品として売上を伸ばした冷凍食品などと比べて、買ってその場で食べることが多いカウンター商品は「客数減の影響をダイレクトに受けている」(石川哲也ファストフーズグループマネジャー)。
ただし、〈ポケチキ〉〈ファミチキ〉などの看板商品は売上が比較的安定している。石川マネジャーは、「コンビニのカウンター商品は、短い時間で揚げた商品をすぐに食べて頂けることに強みがある。今後も、できたての味わいの良さを訴求しながら、カウンター商品全体の売上を伸ばしていきたい」としている。
家庭用冷食で機能性表示 ―― シマダヤ
健美麺ブランドで
シマダヤは2020年秋冬冷凍食品として家庭用新商品3品、業務用リニューアル品6品の計9品を発売する。
家庭用では〈健美麺〉ブランドの強化を図り、食後の血糖値上昇を抑える機能性表示食品の「冷凍〈健美麺〉食後の血糖値上昇を抑える稲庭風細うどん3食」(180g×3)と食塩ゼロ稲庭風うどんの5食タイプ「冷凍〈健美麺〉食塩ゼロ稲庭風うどん5食」(200g×5)を発売する。経済性を付与した5食タイプの讃岐うどんとして〈太鼓判〉ブランドより発売するのは「冷凍〈太鼓判〉粘りごし讃岐うどん5食」(200g×5)。共に9月1日より発売した。
業務用では〈α麺〉ゆでのび防止タイプの賞味期間を6カ月から9カ月に延長した。「〈α麺〉ゆでのび防止タイプ 冷凍讃岐うどん250」、「同 冷凍日本そば200」、「同 冷凍中華めん200」は2020年10月1日製造分より、「同 冷凍稲庭風うどん250」「同 冷凍そうめん230」「同 冷凍茶そば(京都産宇治茶使用)200」は2021年3月1日製造分より。
また、同社では家庭用・業務用冷凍麺の賞味期限を年月日表示から年月表示に変更する。
対象商品は家庭用冷凍麺NB商品と業務用冷凍麺NB商品。実施時期は業務用が2020年10月1日分より。家庭用は2021年4月1日より。
満足丼濃厚オムライスをリニューアル ―― 明治
コクと香り立ち向上
明治は2020年秋商品として8月下旬より、「満足丼 濃厚オムライス」(360g/1個入)をリニューアル発売する。
同商品はチキンライスに牛の旨味と隠し味に赤ワインとしいたけの旨味を効かせたコクのある濃厚なデミグラスソースとバター香るとろっと卵をあわせた濃厚オムライス。
今回のリニューアルではデミグラスソースのコクと香り立ちをさらに向上させた。
タマゴは製造工程を見直して、タマゴのふんわりとろっと感をアップ。バター風味の改良も行った。