惣菜やキット品等強化 米飯、凍菜大幅に伸長 ―― イオン・冷食販売戦略
青木部長
イオンリテールの青木郁雄デイリーフーズ商品部長はこのほど本紙の取材に応え、同社冷凍食品の2019年度・20年度第1四半期の販売概況、今後の取組などについて明らかにした。同社の20年度第1Qの冷凍食品の売上は米飯・凍菜等が牽引し2桁を超えて伸びた。新型コロナウイルス感染拡大に伴って巣篭もり需要が高まる中で、保存が効き、調理も簡便で味わいに優れる冷凍食品に支持が集まった。今後は惣菜・キット品などの強化を進めるとともにメーカーに対しては調理時間短縮への取組みに期待を寄せた。
同社の19年度の冷凍食品の売上は前年比101%で推移した。上半期にやや苦戦したものの、下半期に盛り返して前年度をクリアした。カテゴリー別では冷凍野菜、冷凍フルーツ、スナック、麺、中華惣菜などが好調で全体の売上を牽引した。
20年度第1Qの売上は同110%強と大幅に伸びた。巣ごもり需要の高まりを追い風に3~5月に売上が急伸して「商品の確保に苦労するほどに売れた」(青木部長)。
カテゴリー別では、米飯、冷凍野菜、冷凍フルーツ、パスタ、麺など、弁当冷食を除くあらゆる部門が好調だった。中でも、冷凍野菜は売上が同約30%、米飯は同約25%増えている。これまで市場がシュリンクしつつあった油調品なども、手作り需要を取り込んで復調している。
今後の取組としては、惣菜系冷食を強化し、冷凍ミールキットの展開も進める。売上が同約250%と大幅に伸びた〈ベジライス〉を活用した商品の開発にも取組み、需要が高止まりしている素材品の展開も強化する。
今後の市場環境について青木部長は、「新型コロナ禍で冷凍食品未利用者のトライアルが生まれた。冷凍食品市場は、当面はチャンスが大きい」と見ている。また、「価格・量目などを含めた消費の2極化が進むだろう。業界の垣根を超えた価格競争も激化するのではないか」という見方も示した。
冷凍食品業界に求めたいことについては、「冷凍食品売場の商品がすべて3分位以内で調理できるようになれば市場は大きく変わる。調理時間の短縮について、業界として引き続き取組を進めてほしい。また、今期は各社の商品数が絞り込まれている。その分、製造コストが効率化すると思うので、消費者に対しても価格メリットとして還元してもらえれば幸いだ」としている。
水産、食品垣根越えバリューチェーン構築 ―― マルハニチロ・池見社長
マルハニチロは7月29日、東京・豊海の同社新東京開発センターで、4月1日付で社長に就任した池見賢社長の会見を行った。
池見社長は、成長戦略について、「当社の強みは水産、食品だ。水産では、国内水産は苦戦しているが、一方海外に目を向けると、健康食ブームや発展途上国では良質なたんぱく源であり、水産業は成長産業になっている。食品については、国内の食品は生活パターンの変化、個食化が進行し、冷凍食品のマーケットは1兆円規模に拡大している。冷食はライフスタイルの変化ともにまだまだ伸びる」とし、「課題は、水産、食品の2つが別々に動いているところをどうつなげていくのか、水産は食品の中の1ピースとして扱わないと、末端の人には届かないと思う。グローバルな総合食品企業を目指すことと、水産、食品の垣根を越えたバリューチェーンを構築していきたい。それに健康の切り口を併せながら成長戦略を組んでいきたい」とした。
また組織力の強化もキーワードに挙げ、「当社は事業統合を行い、事業面では成功裏に来ているが、一方では管理部門、仕事のやり方、システム統一など組織に改善の余地がある。改善を進めていきたい」とした。
中計「Innovation toward2021」の進捗については、「全般的なコロナの影響、水産部門の苦戦の現状考えると2年後の計画達成は無理がある。時間軸を延ばしてどのタイミングで達成可能か検討している」とした。また食品事業については、計画ではオンラインにあるが、収益性は他社に比べまだまだ低い。アイテム集約などに手を付けないと収益性は向上しない。時間をかけて取組んでいきたい。
第1四半期の概況については、「悪いことは想定通りだが、それほどでもなかった。また想像以上に悪いのが漁業・養殖、想定通り良かったのは家庭用冷食、加工食品。想定以上に良かったのはタイのペットフード事業、畜産事業などであり、売上利益とも当初想定よりも良い」とした。
お水がいらない鍋を発売 ―― キンレイ・新商品
野菜しっかり
キンレイは8月24日より、2020年秋冬向け新商品として〈お水がいらない〉シリーズより、鍋料理を手軽に味わうことができる、「お水がいらない鍋 寄せ鍋」(541g)、「同 旨辛味噌鍋」(516g)を発売した。
今回発売する鍋商品2品はひとりで贅沢に鍋料理を楽しみながら、野菜をしっかりと摂ることができるトレー入り商品。鍋で温めるだけの調理方法に加え、レンジ調理でトレーごと加熱調理も可能となっている。
「寄せ鍋」はつくね、しめじ、鶏肉、がんも、きざみ揚げ、えびの豊富な具材に野菜を彩りよく盛り付けた。国産小麦100%使用したうどん入り。
「旨辛味噌鍋」は自社で炊き出したかつおだしをベースに2種類の味噌、豆板醤、コチュジャンを配合。仕上げにごま油と牛脂を加えた。具材には牛もつや油揚げ、野菜を盛り付けた。のど越しの良いちゃんぽん麺入り。
従来の〈お水がいらない〉シリーズに比べ100円高い398円の価格設定とし、販売単価アップが見込める商品となっている。
リニューアルは「お水がいらない 五目あんかけラーメン」(569g)。より高級感あるパッケージに刷新。中華料理の「湯通し」技法にならい、鉄鍋で炒めた野菜をさらにシャキシャキした食感に仕上げた。
〈だんどり〉に真鯛を追加 ―― 極洋・新商品
だんどり上手真鯛切り身
極洋は7月30日、2020年秋の新商品として、家庭用商品8品、業務用食品19品の計27品を発表した。そのうち、家庭用冷食は3品、業務用冷食は13品。
テーマは、「この時代に!キョクヨーからのご提案」とし、①魚に付加価値②簡便③健康の3つのコンセプトを掲げた。
①魚に付加価値では、原料調達から加工、販売までグループが一貫して手掛け、こだわりぬいた水産加工品を提案。昨年グループ入りしたクロシオ水産の養殖マダイを使用した「真鯛ラウンド(チルド)」「チルド真鯛皮付ロイン」の業務用チルド食品や業務用冷食では、「だんどり上手真鯛ほぐし身」「同真鯛切身(骨なし)」を投入する。
②簡便では、外食産業、量販店の販売スタイルの変化にマッチした商品を投入する。主な商品では、一口サイズのパック売りしやすいエビカツ業務用冷食の「海老カツS30」。家庭用冷食では「タルタルソースもおいしいえびカツ」など業務用超低温流通品として「マグロ漬け丼の具」などを投入する。
③健康では、健康価値のある商品を投入する。「オーシャンキングほぐし身かに5%」「同斜め切りIQF」、「同かにごこち35α」などの高たんぱく質食品や缶詰では「いわし味付減塩」「いわし味噌煮減塩」を投入する。