大櫛体制が始動、100周年事業を柱に ―― 冷食協
伊藤前会長(左)と大櫛新会長
(一社)日本冷凍食品協会は19日、東京中央区のベルサール八重洲で令和2年度通常総会を開催、9代目会長に大櫛顕也ニチレイ社長が就任した。大櫛新会長は、「協会は昨年50周年を迎え、今年は次の50周年に向けた第一歩を踏み出す年であり、冷凍事業が始まって100年目に当たる記念すべき年でもある。業界の繁栄と協会事業の発展に努めていく」とした。新型コロナウイルスで、「食のインフラを担う冷凍食品業界は、働く人々の安全を守りながら事業の継続を図っていくことが重要な課題だ」とした。今年度広報PR活動は「冷凍食品100周年」記念事業を柱に展開していく。
総会は、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、出席は正会員に限定。正会員出席者15名、委任状出席者83名だった。
冒頭挨拶した伊藤滋会長は、「冷凍食品の昨年の国内生産量は159・7万tと僅かながら増加し、過去最高だった平成29年とほぼ同水準となった。また昨年の一人当たり消費量は過去最高を記録し、年間では23・4㎏となった。家庭用は各社のテレビを活用したPRなどもあり堅調だったが、業務用はやや伸び悩んだ感じだ。しかし、本年に入り新型コロナウイルス感染拡大に伴い、外出自粛、学校休止等で家庭内食が一気に増加、そのため家庭用冷凍食品の需要は急激に拡大し、一部の商品では供給が追い付かなくなるほどだ。一方、業務用は学校給食や外食の需要縮小から厳しい状況に置かれている。今後早く正常な需給状況に戻ることが望まれる。今回のような異常事態下でも、食品企業は生活必需品として食料品を国民に安定供給し続けていく社会的責任があり、その責務を果たしていくことが重要だ」とした。
総会では、令和元年度事業報告及び収支決算、監査報告、報告事項(令和2年度事業計画など)が原案通り可決した。任期満了に伴う役員改選では、伊藤滋会長(マルハニチロ会長)に代わり、新会長に大櫛顕也ニチレイ社長が就任した。
大櫛新会長は就任に当り、「当協会は、昨年50周年を迎えた。今年は次の50年に向けた第1歩を踏み出す年に当たる。加えて、1920年に北海道で水産物の冷凍事業が始まって100年目に当たる記念すべき年でもある。協会でも『冷凍食品100周年』記念事業を展開するが、100年の歴史の重みに思いを馳せながら、業界の繁栄と協会事業の発展に努めていく」とし、「近年の冷凍食品は、高齢化や女性の社会進出、単身・二人世帯の増加など社会構造やライフスタイルの変化に迅速に対応してきた。また、昨今の慢性化した人手不足の解消が課題となっている外食や中食業態では、高い品質を保ってのオペレーションには不可欠な素材、商材として活用されている。今後もこのような社会の変化の中、冷凍食品が人々の食生活に果たす役割はますます大きくなると考える」とした。
新型コロナウイルス感染の拡大について、「厳しい事業環境であるが、食のインフラを担う冷凍食品業界は、働く人々の安全を守りながら事業の継続を図っていくことが重要な課題になっている。当協会も冷凍食品事業のさらなる発展のため、長期的な視点に立ち、関係者の協力を得ながら活動を行っていく」とした。
令和2年度の事業計画では、「冷凍食品100周年」事業を柱に据えるとともに、「100周年」を広報事業全体で統一的に展開する。主な訴求対象は「シニア」を引き続き主とするが、「冷凍食品100周年」事業を展開する上で幅広い訴求対象とする。
9月に式典、10月に専門展、PRイベントは10月15日
冷凍食品100周年事業では、記念イベントを北海道森町と共催で9月に実施する。記念碑設置、式典・講演、祝賀会を予定する。10月7日~9日に東京ビックサイト青海展示棟で冷凍食品専門展「冷食JAPAN2020」を開催する。
「冷凍食品の日PR」イベントは、10月18日の『冷凍食品の日』が日曜日に当たりメディア取材の縮小が予想されるため、10月15日(木)にを開催する。また10月の冷食月間では今年も農水省「消費者の部屋」特別展示を行う。
【新任役員】会長 大櫛顕也▽理事 鈴木徹(東京海洋大)▽監事 若宮靖史(マルハニチロ)
食品事業好調に推移 ―― ニッスイ
日本水産は20日、20年3月期決算を発表した。
連結業績は売上高6900億1600万円(前期比3・1%減)、営業利益228億3400万円(同5・3%増)、経常利益258億700万円(同1・8%増)、当期純利益147億6800万円(同4・0%減)となった。
売上はその他事業(エンジニアリング事業)の大幅減収に加え、チルド事業での取引形態の変更による影響があったが、国内外の食品が大きく伸長、3%の減収にとどめた。営業利益は、その他事業、チルド事業、国内漁業・養殖が苦戦も南米鮭鱒養殖の大幅増益、グローバルで食品事業が寄与し増益を確保した。経常利益は2期連続で最高益を更新。当期純利益は豪エビ養殖会社の株式減損が影響し減益となった。
食品事業は売上高3372億円(同0・2%減)、営業利益127億円(同7・1%増)。チルド事業の減収も国内外とも冷食を中心に販売好調、微減にとどめた。利益はチルドの減益をカバーし増益。なお、単体の家庭用調理冷食は売上高496億円(同3・6%増)、業務用調理冷食売上高は407億円(同6・3%増)、農産冷食が売上高117億円(同5・3%増)といずれも増収。家庭用調理は米飯、麺を中心に拡大した。業務用は中華春巻、白身フライなど全般的に堅調だった。
今期は売上高6700億円(同2・9%減)、営業利益190億円(同16・8%減)、経常利益215億円(同16・7%減)、当期純利益150億円(同1・6%増)を見込む。
10年連続で伸長 ―― 2019年惣菜市場規模
(一社)日本惣菜協会は20日、2019年の惣菜市場規模を発表した。
惣菜マーケットは10兆3200億円(前年比0・7%増)で10年連続で前年を上回った。
業態別の市場規模は、CVS3兆3632億円(同1・7%増)、専門店・他2兆8961億円(同2・0%減)、食料品スーパー2兆7406億円(同2・2%増)、総合スーパー9639億円(同1・7%増)、百貨店3560億円(同1・0%減)となった。総合スーパー、食料品スーパー、CVSの販売構成比が高まり、専門店・他、百貨店の売上は減少。
カテゴリー別では、調理麺、袋物惣菜の販売構成比が依然として増加傾向にあり、19年は共に2桁増となった。
冷食8品を先行販売、今期全店展開へ ―― 大戸屋ホールディングス
レジ前のショーケースで
大戸屋ホールディングスは19日、東京・新宿の新宿アイランドイッツ店で「冷凍食品市場参入記者発表会」を開き、20日から首都圏22店舗で先行販売する冷凍食品8品の試食を行った。
8品は、OEM生産(1拠点)し、店舗配送向けのデポに納品。その後、各店舗に配送される。原料は、おにぎりの米のブレンドなどで一部異なる原料を使用する。
販売形態は、レジ前の大型ショーケース(2店舗)、または中・小ケースで行い、大ケース(1204×749×1615㎜)は1品当たり10~12食分を保管でき、全80食超の数量となる。
村山康介取締役は、「冷食は昨年7月に着手した。消費増税以降は在宅率が上昇しTO&Dは直近で昨対150%に拡大している一方、常連客からはTOのために店に通うのはつらいという意見があり、ニーズ対応が課題だった。今期中の全店350店での販売と、ネット・カタログ通販、量販への導入も目指す」とした。全店販売時の売上目標は売上の1割。
通販や量販店向けは秋冬新商品の商戦が始まる7~8月の参入を目指していく。
【冷食8品】▽鶏と野菜の黒酢あん(160g、税込580円)▽豚と野菜の黒酢あん(同、650円)▽デミハンバーグ(150g、550円)▽沖目鯛幽庵焼き(90g、680円)▽さば塩焼き頭尾同パック(120g、520円)▽しまほっけ塩焼き頭尾同パック(150g、630円)▽五穀米おにぎり2個入(160g×2個、200円)▽しそひじきおにぎり2個入(同)