冷凍食品新聞社 発行日(週刊・毎週月曜日)購読料1年33,600円(+税)昭和44年6月19日第三種郵便物認可

今週のヘッドライン|2020年4月第2週号

消費トレンドが急変 ―― 小売

 新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う緊急事態宣言の発令によって、消費者の購買行動が急変している。8日~9日に開かれた決算発表では各社のトップが消費への影響、今後の購買動向の変化について言及した。SMでは、冷食などのストック型商品が売れ、テレワークの拡大で素材品やミールキットに動きが見られる他、コンビニは、3月以降、オフィス街立地などの店舗が苦戦し、売上が減少傾向となっている。また、食料品の購入チャネルとして、ネット通販を利用する消費者が急伸していることが明らかになった。

 セブン&アイグループの3月の売上は、食品SMが前年を大きく上回り、ネット通販、宅配も軒並み伸長した。一方で、コンビニ、SCは苦戦している。売上が3割以上落ち込んでいる百貨店は、今後東京都などから営業自粛の要請が出される可能性があり、業績の先行きが見通せない。
 井阪隆一社長は、「ネットで生活必需品やミールキットを購入する消費者が急増している。新型コロナウイルス感染拡大を端緒として、消費のトレンドや購買チャネルが変化する可能性がある」として、事業会社のデジタルシフトを急ぐ考えを示した。
 イオン傘下のSM3社が構成するU・S・M・Hでは、直近の売上が、「従業員が疲弊するほど伸びている」(藤田元宏社長)。巣ごもり需要の拡大で、都心店でも調味料や乾麺を始めとした素材品が売れるなど、これまでの緊急時とは異なる消費行動が生まれている。
 藤田社長は今後の販売動向について、「企業がテレワークを進めたことで、家庭で洗練されたメニューを調理する消費者が増える。簡便な食品の需要も拡大するだろう。また、食料品の購入先としてデジタルチャネルの構成比が高まる」と見ている。消費行動の変動がコロナウイルス禍の収束後のトレンドにも影響する可能性があるとして、デジタル事業強化などの対応を進める考えも明らかにした。
 ローソンでは、各都道府県の外出自粛要請を受けて、3月後半から売上が目減りしている。住宅街立地の店舗は好調だが、オフィス街立地店などから客足が遠のいた。
 売上の減少率は全体で5%程度に留まったものの、「4月以降は更に大きなインパクトになっている」(竹増貞信社長)。
 商品面では好調な品群として冷凍食品などを名指しで挙げ、「しっかり品揃えていく」と説明している。

大阪舞洲物流センター2号棟が稼働 ―― 日水物流

舞洲地区の設備能力がほぼ2倍に
舞洲地区の設備能力がほぼ2倍に

 日本水産の子会社である日水物流(東京都港区、藤本健次郎社長)はかねてより建設中の「大阪舞洲物流センター2号棟」(大阪市此花区北港緑地1―1―12)を3月26日に竣工、4月1日より営業を開始した。
 大阪舞洲物流センターは、日水物流の西の拠点として大阪北港に16年4月に開業し、事業は順調に推移してきたが、近年の阪神港周辺での貨物の増加とともに保管スペースがひっ迫する状況となっていた。
 今回開業した「大阪舞洲物流センター2号棟」は、既存棟の設備能力2万5031tに匹敵する2万4887tの設備能力を持ち、これにより同センターの設備能力はほぼ倍増し、同社が保有する物流センター国内17カ所、設備能力38万4000tのうち、最大規模となった。2号棟の投資金額は47億円。
 2号棟は、人手不足に対応して自動倉庫や移動ラックを一部で導入しており、将来的には無人フォークリフトの導入にも備えた設計としている。また既存棟と同様、フードディフェンス対策及び地震対策を講じて、貨物の安全・安心を確保した。また自然冷媒を使用した冷凍機を導入し環境面にも配慮している。
 輸送・保管・荷捌き及び流通加工などの流通業務を一体的に実施、同業他社との共同により効率化・省力化を狙い、環境負荷の軽減にもつなげていく。なお3月31日付で物流総合効率化法の特定流通業務施設の認定を受けている(詳細を本紙に掲載)。

大森食品を完全子会社化 ―― 泉平

 泉平(泉周作社長)は4月1日、大森食品㈱(岡山県岡山市)の発行済株式の全てを取得し、子会社化すると発表した。
 泉平では、「これから起こる人口減少、高齢化などの環境変化へのニーズに応えるため、営業、物流、プロセスの力を磨いているが、これに加え、地域業務用食品卸売業としての総合力をさらに強化するため、大森食品をグループ会社化し、更なる事業拡大と企業価値向上を目指していく」としている。
 大森食品は、2019年3月期実績で売上高33億3085万円、従業員数98人(18年7月時点)。資本金1000万円。20年3月より第二会社方式で再生を図っていた。

三光商事を子会社化 ―― IZUMIYA

 業務用食材卸、IZUMIYA(鈴木雅治社長)は4月1日付で同業の三光商事(東京・小平、金田治久社長)の全株式を取得し、子会社化した。
 三光商事は1971年に東京小平市小川町1―478)に創業した業務用食材卸で、都内の三多摩エリアを中心に都内のホテル、レストラン、料飲食店などを主な得意先に2019年6月期、年商約12億5000万円を計上している。主な仕入先はヤグチ、東亜商事、日酒販、三幸など。
 なお、4月中に三光商事の社名を「IZUMIYA西東京」に変更する予定。IZUMIYAは、M&A(企業の買収・合併)に積極的に取り組んでいる。
 鈴木社長は直近の業況では「前2月期は東京北支店や横浜支店の伸長に支えられ、売上高は前期比6%増の111億円(前々期104億7500万円)で着地した。移転を決めた東京支店(住所=東京都江東区枝川3―11―10)は5月26日から営業を開始する」と語った。その上で、業界動向に関しては「業務用食材卸業界は、物流費、人件費の高騰に加えて、新型コロナウイルスによる感染拡大と三重苦に見舞われている。当社は財務体質や人材育成の強化と併行して、M&A(同)など規模拡大に向けた、攻めの経営を展開する」と意欲を示した。

会社所在地

〒160-0008
東京都新宿区三栄町24番地
黒田ビル2階