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今週のヘッドライン|2020年3月第2週号

冷食などキャンセル200億規模 ―― 学校給食用食品メーカー協会4団体

ヒアリング後の緊急記者会見(4日)
ヒアリング後の緊急記者会見(4日)

 「セーフティネットなどと言っていても中小企業は吹き飛んでしまう。給食専業の零細企業は廃業するしかない業者も出かねない」―4日、東京・神田の全給協事務局で行われた文部科学省、農林水産省の学校給食関連4団体ヒアリング後の緊急会見では、悲痛な訴えが相次いだ。冷凍食品等の学校給食キャンセル損害額は、3月分のみで200億円規模となる見込みだ。現場では、発注済みであっても納品された日配分しか払わない、行事食の倉中在庫は卸持ち、一旦卸の倉に入った商品はメーカーが返品を受けても衛生管理の点で廃棄・焼却となるなど、“見えない部分”の問題が山積している。給食停止の損失を一方的に受ける学校給食卸を補償し地域の経済を破綻させないよう努めることは当然、見えない問題まできちんと把握した上で、行政と業界が共にスピーディーに行動すべき時だ。

 (一社)日本給食品連合会(野口昌孝会長)、全国給食事業協同組合連合会(秋元直人会長)、(公社)学校給食物資開発流通研究協会(古川裕志会長)、および学校給食用食品メーカー協会の4団体は、中込武文甲信食糧社長(日給連副会長、全給協副会長)の呼びかけにより4日、急遽「新型コロナウイルス感染症対策のための学校給食中止における課題検討会」を開き、文部科学省の齊藤るみ初等中等教育局健康教育・食育課学校給食調査官、農林水産省の石黒梓食料産業局食品流通課食品サービス第1班係員のヒアリングを受けた。
 各団体役員は、野口氏、中込氏および大塚史生日給連専務理事、中島正二全給協副会長、原田哲郎同専務理事、福島毅春学流協理事、渡辺浩志同専務理事、平井昌一関東給食会副理事長らが出席した。
 会合後の会見で中込氏は、「いち問屋のことではなく、日本全国の話として統一して捉えてもらわなければならないということを強く訴えた。特に今回は、政治判断で国策として休校措置をしている以上、我々の窮状も国策として考えてほしい。3月の売上が立たない我々に猶予の時間は無い」とした。
 大塚氏は、給食卸の影響度合いについて、「全国の小中学校で930万食・390億円の影響が見込まれる。おそらく、生鮮品が半分以上、冷凍食品、チルド商品、デザートを含むその他の物資が残り半分。全国の数字であり4団体のみではないが、学校給食卸への影響は200億円程度あるとみている」とした。

日給連、公明党でヒアリング

 また日給連は3日、農林水産省から要請を受けて、公明党の「新型コロナウイルス感染症について団体ヒアリング」に野口会長が出席したことを報告し、「転売をするにしても、他の業務用業態、イベント関係、テーマパーク等はどこも疲弊した状態で転売できないことが予想され厳しい状況だ。八方ふさがりに苦しんでいる」と苦境を訴えた。
 いち問屋に自治体や学校・センターまちまちの給食実施状況やキャンセル対応を強いることは、引いては地域の経済・雇用を疲弊させることにもつながりかねない。一斉休校による給食停止の損失については、国として具体的な食材売上ロスの補填についての指針を提示すべきだ。
 損失の把握は学校給食だからこそ正確にできる。

2月最終週の冷食売上が急伸 ―― スーパー

 小売市場で、2月最終週(2月24日~3月1日)に冷凍食品の売上が大幅に伸びた。学校給食の停止により、代替として生まれた自宅での昼食需要を取り込んだ。加えて、新型コロナウイルスの感染拡大で買い溜め需要が強まっていること、前年に比べて祝日が1日多かったことも全体の売上増に寄与した可能性がある。
 商品スーパー各社の2月最終週の冷凍食品の売上を見ると、イオンの冷凍食品は、前年比30~40%と大幅に伸びた。売上増の要因については、例年2月末に開催している販促が影響した可能性もあるため、絞り込めないとしている。
 イトーヨーカドーの冷凍食品は前年比5割増となった。特にチャーハン、パスタ、ラーメン、お好み焼きなどの1食完結型商品がよく動き、枝豆を含む冷凍野菜も伸びた。
 冷食の週毎の売上は、2月に入って1割増程度伸びていた。週間の売上が1割程度増減することは、「販促によってはありえること」(同社)だが、「最終週の大幅な伸びは、外部環境の影響を考慮しなければ説明がつかない」。同社では、臨時休校によって生まれた児童・生徒向けの昼食需要を取り込んだと見ている。
 ライフコーポレーションの冷凍食品も好調に推移した。2月は当初から売上が増えていたが、最終週に急伸した。カップラーメン、米、飲料の動きと類似性があることから、「臨時休校によって児童・生徒向けの昼食需要が生まれたこと、買い溜め需要が高まったことなどが影響した」(同社)と見ている。
 サミットの冷凍食品は、同41.1%増で推移し、2月の月間売上も同14.1%増えた。在庫状況は、中華惣菜、丼ものの具の2品が欠品しているものの、「その他の商品は問題ない」(同社)。
 なお、3月に入って販促を見直す動きも出始めている。ライフ、サミットは3月第1週からチラシ特売を取りやめた。市場環境が急変していることから、商品の安定供給と特売の両立が困難になる可能性があると判断した。イオン、イトーヨーカドーは食料品の在庫状況に余裕があるとして、通常通りの販促を継続している。

コンビニ セブン、ローソン2桁増

 コンビニ業態では、2月最終週に、大手3社のうち、セブン、ローソンの冷凍食品が大きく伸びた。
 セブン―イレブンの冷凍食品は、同期間の売上が前年比で約3割増えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で買い溜め需要が起きたことが売上を押し上げた。
 ローソンの冷凍食品は、同期間の売上が同15%増と急進し、2月の月間売上も同9%伸びた。
 なお、2日にオンライン上で開いた会見の席上で、物流、原料調達に混乱がでる可能性に触れ、既に原料の仕入先について産地の多角化を進めていることを明らかにしている。
 ファミリーマートは、冷凍食品を含む食品の販売について、「大きな動きは出ていない」(同社)としている。

低温事業は順調に拡大 ―― 国分グループ・12月期

会見する國分会長(中央)
会見する國分会長(中央)

 国分グループ本社は3日、2019年12月期決算を発表した。連結売上高は1兆8916億7600万円(前期比0.3%増)、営業利益75億4200万円(同13.2%減)、経常利益100億7300万円(同4.5%減)と増収減益となった。
 同日会見した國分晃社長は、「一昨年導入した新収益管理システム『imap!』で収益管理強化など一定の成果を得たが、物流費の高騰をカバーできず減益となった」とした。
 食品の部門別売上高では加工食品7534億4400万円(同0.3%増)、菓子474億3000万円(同4.1%減)、冷凍・チルド3749億円(同9.1%増)となった。
 冷凍・チルドは大幅に伸長。冷凍・チルドのうち冷凍食品は1721億円(同19%増)、チルド食品は1758億円(同2%増)、冷菓269億円(同4%減)。なお、全社のデリカ売上高は1043億円(同6%増)であった。
 低温フレッシュ事業について國分社長は、「低温フレッシュの基盤確立が進んできている。前期の低温フレッシュ事業では『変化を価値にする』をビジョンに掲げ、①調達②製造③物流④品質管理の4つの機能強化に取組んだ。8月にはグループ最大の低温拠点の関西総合センターが稼働した。三郷センター開設を皮切りに2012年以降430億円を投じて進めてきた全国16カ所の3温度帯ネットワークが完成した。関西総合センターでは、高機能提供による関西エリアでの事業拡大を図る」とした。なお、カテゴリーカンパニーの国分フードクリエイト(株)は売上高1763億5400万円(同0.3%増)、経常損失9億9900万円と赤字だが、「物流費高騰が響いた。経営改善は進んでいる」(同)とした。
 國分社長は、「今期は第10次長計の総仕上げをしながら第11次長計を策定する重要な1年となる。国内では東京オリンピック・パラリンピックの開催により様々な経済効果が期待される一方で、年初より拡大している新型コロナウイルスの蔓延による経済損失など予断を許さない状況だ」とした。

プチケーキ2品などを発売 ―― 昭和冷凍食品・新商品

自然解凍にも対応
自然解凍にも対応

 昭和冷凍食品は4月より、春夏の新商品として、家庭用冷凍食品2品、業務用冷凍食品4品、業務用冷凍パン生地3品を発売する。いずれも国内工場製造品。
 家庭用で発売するのは、「ふんわりケーキ屋さん(カスタード)」「同(ショコラ)」(14g×12個)。カスタードクリーム、チョコクリームの入ったふんわりとしたプチケーキ。自然解凍・レンジ解凍に対応し、簡単便利に本格的なプチケーキを楽しめる。解凍後に温めると更に美味しく食べられる。
 業務用で発売する商品のうち、「プチアップルパイ」(500g×10袋×2合)は、シャキシャキ感のあるアップルフィリングをサクサクの生地で包んだ一口サイズのアップルパイ。フライ調理対応品。「おてがるラビオリ(ほうれん草チーズ)」(同)は、ほうれん草とチーズのフィリングを包んだラビオリ。フライ調理やレンジ調理で簡単にこだわり一品を提供できる。「レアチーズ風プチケーキ」(50個×4袋×2合)は、レアチーズ風のクリームを包んだ、冷やしても美味しいプチケーキ。自然解凍、冷蔵解凍対応品。「ル レクチェプチケーキ」(同)は、新潟県産のル レクチェ果汁を使用したクリームを味わい深い生地で包んだ。冷やしても美味しいので、夏場のデザートにもぴったり。自然解凍、冷蔵庫解凍対応品。
 冷凍パン生地は、〈おてがるブレッド〉シリーズから「プレーン」「チーズ」「チョコ」(12個×6袋×2合)を発売する。解凍いらずで簡単に焼成できるテーブルロール。いずれもオーブン調理対応品となっている。

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