冷食は堅調に推移 ―― 2020年3月期第2四半期
冷凍食品メーカー各社の2020年3月期第2四半期決算が出揃った。売上上位5社の冷凍食品販売状況を見ると、売上・利益ともに概ね前年を上回る結果となった。家庭用・業務用別の状況では、家庭用で主力カテゴリーが売上を牽引。特に米飯類についてはニチレイ、味の素、日本水産が貢献カテゴリーとして挙げるなどその好調さが目立っている。業務用商品についても各社得意分野の商品が伸張するとともに、一部で春の価格改定効果が見られた。
ニチレイの加工食品は、売上高3・6%増、営業利益31・1%増と大幅な増益となった。味の素冷凍食品は冷凍食品を含む日本食品が売上高0・4%減、事業利益18・7%増で売上は微減となったものの、利益は2桁増。マルハニチロは加工食品事業セグメントが売上高0・4%増、営業利益6・9%増と増収増益となっている。日本水産の食品売上高も4・4%増となった。12月期決算の日本たばこ産業ではテーブルマークが所属する加工食品事業は売上収益2・1%増、調整後営業利益は40・0%増となったが、収益のうち冷凍・常温の売上は一部商品の戦略的縮小により20億円の減収となった。
家庭用の売上高を見ていくと、ニチレイは5・2%増。中でも米飯が8・1%増、チキンが5・6%増と主力カテゴリーが好調に推移した。味の素も家庭用は「ギョーザ」シリーズや米飯といった主力商品が好調を継続し増収。日本水産もおにぎりなどの米飯類が好調で3・7%増で前年を上回った。マルハニチロの家庭用冷凍食品ユニットは5億円減で主力の弁当カテゴリーの販売が減少し、それに伴う生産減により工場稼働率も落ち込んだ。テーブルマークでは冷凍うどん、お好み焼き等の販売は伸長した。
業務用の売上高を見ていくと、ニチレイの業務用調理品は2・2%増。主力のチキン加工品や和惣菜など調理野菜の販売が伸長。味の素の業務用はデザート、餃子等の主力カテゴリーの販売が拡大するも、一部商品が前年の販促影響を受けて減収となり前年並みで着地した。マルハニチロの業務用ユニットは介護食、CVS、生協向け等の販売が堅調に推移したことにより19億円増に。日本水産の業務用調理冷凍食品は春巻、焼売などの中華類が好調かつ価格改定もあり10・0%増となっている。
関東第2工場を竣工、ロボットを積極導入 ―― イートアンド
羽根つき餃子、水餃子を製造
イートアンドは13日、関東第2工場(群馬県邑楽郡板倉町)を竣工した(既報)が、15日に記者内覧会を行った。
第2工場は3直体制。第1工場が150人だが、第2工場は100人でスタート。省人化を進め将来的に80人体制にする方針だ。
第2工場は3ライン設置可能な設計となっている。現在、羽根つき餃子、水餃子で1ラインずつだが、羽根つき餃子ラインを1ライン増設する予定だ。生産スピードも成型機の台数増や省力化、効率化により焼き餃子は既存工場(関東第1工場)と比べ1ライン当たり1・3倍、水餃子は同2倍の生産スピードとなる。AIや自動化、機械化も進めている。現段階で導入する計画は、小麦粉のミキサー投入に自動搬送機を導入。餃子の餡の原料のひとつのキャベツも自動芯取り機を導入。現在、キャベツをセンサー台に人手で供給しているが、ロボットアームを導入する計画だ。水餃子の箱詰めも手作業だが、ロボットを導入し自動化する。またトレーに入れた餃子の個数、異物等をAIにより画像で確認する機器も導入予定だ。
生産体制は、第2工場の羽根つき餃子の成型機は1ラインに4台(第1工場は3台)。1台当たり9000粒/h。ライン全体で3000パックの生産量(詳細を本紙に掲載)。
今期売上52億円見込む ―― 八千代商事・井福社長
八千代商事の井福哲志代表取締役は本紙取材に対し、今期業績(1月期)および、今後の方針について以下の通り語った。
今期は10月時点で2億円ほどの売上増で推移している。残すは11~1月の当社にとっての繁忙期であり、2億円増、52億円での着地は間違いないと考えている。
ルート別では量販店が大きく伸びている。もともと当社は弁当や産業給食からのスタートだったが、今や量販店での取り扱いが大きく増えた。伸びの理由としては、商品価値はもちろん、品質管理の部署を4年前より強化し、スタッフを増員したことも大きい。クレーム対応や工場での作業改善を徹底した。弁当、産業給食は横ばい。しっかりと落とすことのないよう取り組んでいく。加えて外食にも力を入れていかなければいけないと考えている。
量販店向けでは9月からカキフライ等がスタート。順調に推移している。新しい商材としてはホタテフライの展開を予定している。国内の原料を海外で加工することを考えており、国産原料での打ち出しはやはり売上増につながる。いかに国内の原料を安く買うのかということに重点を置いている。
昨年もサンマで北海道産のものを仕入れ、それを中国に持ち込み加工したら、かなり売れ行きが良かった。
加えて自然解凍商品を積極的に展開していきたいと考えている。バックヤードでの簡便調理に貢献していきたい。重要なことは自然解凍でいかに作り立ての状態と変わらないレベルのものが作れるかということだと考えている。
現在、私も参加する開発部署を新設し、商品づくりに取り組んでいる。末端の事情に詳しい社員、そして技術面に詳しい社員、原料の相場についての情報を持っている社員を選んで8月より開発を進めている。年明けには形にしていきたい(詳細を本紙に掲載)。
魚素材のミールキットを発売 ―― イオン・新商品
爽やかな味わい
イオンは17日、冷凍ミールキット<トップバリュレンジ調理セット>シリーズ4品を、全国のイオン、イオンスタイル、マックスバリュなど1400店舗で発売した。
同シリーズは、電子レンジによる加熱によって内部でスチーム調理でき、そのまま調理が完結する冷凍ミールキット。魚に触れることなく、袋のままレンジ調理するので、魚の臭いも気にならず、調理後の後片付けも簡単にできる(詳細を本紙に掲載)。
一風堂監修のちゃんぽんを投入 ―― セブン・新商品
幻のまかない
セブン&アイ・ホールディングスは19日、<セブンプレミアム>の冷凍食品新商品として、「一風堂 博多ちゃんぽん!」を全国のセブン-イレブン2万1009店で発売する。
博多の名店「一風堂」の店舗では味わえない幻のまかないを“博多ちゃんぽん”として商品化したもの(詳細を本紙に掲載)。