153品、改良は115品 ―― 秋冬家庭用新商品
2019年秋の家庭用冷凍食品新商品は本紙調べで22社から153品、リニューアル115品が市場投入された。新商品は昨年145品に比べ8品の増、リニューアルは昨年133品に比べ18品の減、トータルでは10品の減となった。今期の各社ラインアップを見ると、やはり10月の消費増税後の内食需要、家飲み需要、弁当需要の高まりを見込んだ商品が目立つ。それに伴い、幅広い食シーンに対応したマルチな商品提案が進んだ。また麺類を中心に包装の縦型化が進むとともに、米飯類はバラエティ化が加速している。
10月に迫る消費増税、軽減税率の導入により、内食化、家飲み、弁当需要の増加が見込まれる中、各社、惣菜、おつまみ、弁当、そしていずれの用途にも対応できるマルチな商品の提案が進んだ。
ニチレイフーズが提案するのはごはんにもお酒にも合う商品。「ささみソースカツ」と「ひとくち香ばしやきとり」を新たに投入した。また、味の素冷凍食品は得意のギョーザで家呑みにも最適な「ひとくち餃子」を投入している。
大人の弁当需要拡大を見込み味の素冷凍食品が〈おにぎり丸〉で発売するのは「和風ツナひじき」。イートアンドはのヤングファミリー層をターゲットに弁当需要の開拓を図り「冷めても美味しい羽根つきカレーぎょうざ」を投入した。
食シーンを広げる提案として今秋注目されるのは、「新個食宣言」を打ち出すマルハニチロ。袋がそのまま皿として使用できる「WILDish」、新トレーを採用しワンハンドで食べられる「もっちりマルゲリータ」は食べる場所を選ばない冷凍食品の新たなスタイルとして期待が大きい。
テーブルマークが発売した「ミニパックさぬきうどん6食」もその汎用性の高さが注目される。1玉100gで食べたい量や食シーンに合わせて使用できる商品として投入された。
カテゴリーで見ると米飯類のバラエティ化、“炒飯以外”の商品の充実も進む。ニチレイフーズは「牛すき焼めし」「たいめいけんドライカレー」を発売。明治は、トレー入り米飯〈満足丼〉シリーズを立ち上げ、ガーリックライスやオムライスを提案する。
パスタでは日清フーズ、日本製粉がそれぞれ主力ブランドの〈THE PASTA〉、〈オーマイプレミアム〉を一新。縦型包装化や新トレーの導入、そして味わいの変更により価格設定を含む見直しを行った。
健康訴求商品では、今秋、シマダヤが温度帯、販売先をまたぐブランドとして〈健美麺〉を立ち上げ。冷食2品も同ブランドで展開する。また、日清フーズは機能性表示食品〈からだにやさしいこと。〉から冷食2品を発売した。味の素冷凍食品の「五目炒飯」の塩分25%カットといった主力アイテムの健康面の取り組み強化も注目される。
なお業務用冷食事業を行っていたカルビーポテトがこのほど、家庭用に新規参入している。
豊富な商品群とスピード高める 骨なし中核に商品拡充―― 大冷
冨田社長
6月18日付で大冷の代表取締役社長に就任した冨田史好氏は3日、東京・月島の同社本社で社長就任後の記者会見を行い、抱負、今後の同社の目指す方向性など要旨以下の通り述べた。
当社は業務用冷凍食品を取り扱い約50年となる。私は5代目の社長となり、前任の齋藤修社長(現取締役会長)は社長を16年務めた、16年ぶりの社長交代となる。
当社の特長は、工場設備を持たないファブレスメーカーだ。取扱商品も単価5円、10円から最大100円まで扱う地味な商売であり、一つ一つ地道に積み上げることだ。決して派手な事はせず、業務用冷食中心に広げていきたい。地道に取組んでいく。しかし昨今、既存事業は苦戦しているが、3年前にスタートした直販などを伸長させていきたいが、冷凍食品以外に参入するつもりもなく、業務用冷凍食品に注力していきたい。
骨なし魚は当社の根幹事業には変わりがなく今後も当社の中核として品揃えを増やしていくが、切身商材の魚種を安易に増やすことは考えていない。中核として大切にしながら、他の商品群やお客様の要望に合った商品づくりを強化したい。
当社の強みは豊富な商品群とスピードだ。これを高めていきたい。仕入先もっと密に取組んでいく。ファブレスメーカーも維持していく。当社は売上高270億円~275億円でここ数年推移している。もちろん300億円を目指しているが、単純に売上を拡大することはない。実のある売上を維持していきたい。
自然解凍の新シリーズ投入
〈フィッシュデリ〉の骨なしさばきんぴら風
今回の新商品では、人手不足対応の時短調理商品として〈クイックシリーズ〉として」の自然解凍品3品を外食産業向けに新たに提案するほか、医療食業界向けには、魚と野菜のおオールインワンパック〈フィッシュ・デリ〉シリーズも新提案、人手不足対応に対する。
〈クイックシリーズ〉は、完全調理済みの調理品で加熱不測の心配もなく、自然解凍でだれでも提供できるのが特長。商品ラインアップは、柔らかいアメリオオアカイカを使用しフリッターに仕上げた「Quickいかフリッター」、助宗だらをフリッターに仕上げた「同白身魚フリッター」、特殊製法で自然解凍でも油で揚げてもエビの衣の美しさが特長の「同ポップコーンシュリンプ」の3品を投入する。3品とも自然解凍可能。
〈フィッシュデリシリーズ〉は、魚と野菜をオールインパックした自然解凍品。商品ラインアップは、さばとにんじん、ごぼうをごま油の効いた甘辛いタレで仕上げた「骨なしさばのきんぴら風」、助宗だらと酸味が効いたトマトベースのタレに、野菜(玉ねぎ、にんじん、いんげん)の旨味がマッチした「骨なしたらのトマト煮」、鶏胸肉のようなたんぱくの食感のあじと、香辛料の効いたソースと野菜(ピーマン、にんじん、玉ねぎ)の「骨なしあじの香味ソース」の3品。
自然解凍の骨なし魚〈楽らく柔らかシリーズ〉では、「骨なしメヌケ揚煮風」「骨なし天然ぶり照焼H」の2品を新たに追加したほか、〈楽らくクックシリーズ〉のダイスカットタイプには「楽らく骨なし天然ぶりダイスカット(打粉付)」を新たにラインアップした。
ギョーザステーション両国駅 「ひとくち餃子」試食も ―― 味の素冷食
11日間で6000人見込む
黒崎社長
味の素冷凍食品は8月30日~9月9日、東京・横網のJR総武線両国駅3番ホームに、「ギョーザステーション両国駅3番ホーム店」を開店した。
ギョーザステーションは、同社の看板商品「ギョーザ」「しょうがギョーザ」などの未利用者に、同商品の味わいを知ってもらおうと3年前から期間限定で開店し、連日長蛇の列ができる人気店となっている。両国駅3番ホーム店では春の新商品「ひとくち餃子」も試食として提供した。
今年度の出店は、8月8日~12日に大阪・心斎橋に出店した「心斎橋店」に続き2度目。来店客は11日間で延べ6000人を見込む。
8月30日の開店に先立って挨拶した黒崎正吉社長は、「当社のギョーザは18年連続売上No1の商品だが、1年に一度も口にしていない消費者も約80%程度いる。当店の出店で、ギョーザの味わいを広め、ファンの拡大を図りたい」とした。
関西総合センター開設 ―― 国分グループ本社
センター内でのフロチル加工も
国分グループ本社はこのほど、大型3温度帯汎用・専用併設型多機能物流センターの「関西総合センター」(大阪府茨木市)を開設、9月下旬頃稼働する予定。
同センターは広範囲な商品配送を可能とする大型3温度帯(常温・冷蔵・冷凍)汎用・専用併設多機能物流センター。同センター内では、センター内でのフロチル加工、メニューに合わせたキット化、業務用商材の小分けやセットアップなど先進的な各種流通加工機能の提供により、取引先の課題解決を図っていく。また同センター内に設置したテストキッチン機能を活用し、調理・試食プレゼンテーションによる最適な提案を行う。
8月29日に行われた記者会見で国分晃社長は、「低温、フレッシュカテゴリーにも強い国分となるべくさらに強化を進める」とした。
同社の3温度帯対応型物流拠点は2006年の千葉船橋日の出流通センター。2012年の三郷流通センター稼働から本格的に全国展開を図り今回で本土の全国ネットワークを完成させた。総投資額は430億円。