過去最高数量を更新、3%増・160万t台に ―― 冷食協・冷凍食品の国内生産
品目別国内生産
(一社)日本冷凍食品協会は18日、平成29年(1-12月)の冷凍食品の国内生産、調理冷凍食品輸入量、国内消費量を発表した。国内生産は数量160万968t(対前年比3・0%増)と過去最高だった前年をさらに上回り、初の160万t台に突入。金額(工場出荷額)は7180億円(同4・5%増)と平成14年以来の7000億円台を回復した。全般的に好調だったが、前年大きく減少した農産物がやや回復、調理品も増加した。国内消費量、一人当たり年間消費量、金額ベースも過去最高となった。
国内生産の業務用・家庭用別では、業務用は数量94万9472t(同3・5%増)、金額4159億7500万円(同4・4%増)。数量、金額とも2年連続の増加となった。家庭用は、数量65万1496t(同2・3%増)、金額3019億8200万円。数量は3年連続、金額は1年ぶりの増加となった。業務用と家庭用の比率は数量ベース59・3%対40・7%(前年59・0%対41・0%)、金額ベースでは57・9%対42・1%(同58・0%対42・0%)となり、数量では業務用、金額では家庭用の比率がやや上昇した。
品目別では、大分類で引き続き水産物(同2・6%減)が減少したものの、前年の北海道台風による原料作物の不作等により大きく減少した農産物が4・2%増とやや回復したほか、国内生産の大半を占める調理食品が3・1%増と増加した。小分類の品目で前年に対して大きく増加したのは、炒飯(同10・4%増)、スパゲッティ(同13・4%増)、カツ(13・3%増)、卵製品(同9・5%増)。炒飯、スパゲッティは主に家庭用、カツは業務用が伸長した。減少したのは、うどん(同3・2%減)、魚類(同13・2%減)、たこ焼き・お好み焼き(同4・7%減)。うどんは家庭用が減少、たこ焼き・お好み焼きは、特にたこ焼きが原料高の影響で落ち込んだ。
品目別生産量の上位20品目では、コロッケ1位、うどんが2位、大きく離れて炒飯が3位と前年同様となった。
【消費量280万tの大台を突破】
協会では、「冷凍食品国内生産量」「冷凍野菜輸入量」「調理冷食輸入量」の合計を冷凍食品の「消費量」としているが、29年の冷凍食品消費量は285万5330t(同4・7%増)と280万の大台を突破。国民一人当たりの年間消費量は22・5㎏(同4・8%増)といずれも過去最高を更新した。金額ベースでも1兆585億円と1年ぶりに1兆円を回復し過去最高となった。
今回の結果について木村均専務理事は、「女性の社会進出、単身世帯の増加、シニア層の増加など社会構造の変化が冷食にマッチしたところに、各社がテレビCMなどでPR、その品目が増加している。業務用も量販惣菜はじめ人手不足への対応で冷食のメリットが浸透しているとしている。(詳細を本紙に掲載)
古川工場に新ライン、グループ生産能力3割増 ―― シマダヤ・冷凍麺
木下社長
人手不足・安全安心に配慮
シマダヤは13日、同社100%子会社であるシマダヤ東北古川工場(宮城県大崎市)の冷凍麺新ラインの内覧会および落成式を開催した。古川工場冷凍麺新ラインは3月初旬より稼働を開始。同社が成長分野と位置付ける業務用冷凍麺の需要拡大に対応していく。
今回新設された冷凍麺ラインでは1時間当たり1万6800食を生産。シマダヤ全体の冷凍麺生産能力を30%引上げる(3直稼働時)。
古川工場では現在、LL麺、冷凍麺を製造しているが、今回の冷凍麺新ラインの導入により、LL麺ラインを縮小、そのスペースに新ラインとして冷凍うどん、冷凍ラーメンのラインを入れた。8月には112万食の収容能力を持つ自動倉庫が完成予定となっている。設備投資額は20億円。
【シマダヤ最大のライン ―― 木下社長】
同日、古川工場で会見を行った木下紀夫社長は今回の新ライン増設の目的について以下の通り述べた。
当社は2021年に創業90周年を迎える。この2021年をゴールとした中期経営計画は6年計画で取組んでおり、今年度が第1ステージ(3カ年)の最終年度となる。この最終年度は40億強の設備投資による能力アップの計画を昨年より練ってきたが、そのひとつが古川工場の冷凍麺ラインだ。
新ラインは今までのシマダヤの中でも一番大きな能力を持ったラインであり、日本一だ。能力と安全安心、品質向上に向けて作り上げてきたラインである。これを古川工場の成長エンジンとしていきたい。(詳細を本紙に掲載)
家庭用は米飯、麺に挑戦、畜肉・凍菜を強化 ―― 極洋
極洋東京支社は13日、東京・溜池山王のザ・キャピトルホテル東急で「第23回東京支社極洋会総会」を開催した。井上誠専務取締役は食品事業部門の取組みについて要旨以下の通り述べた。
2018年3月期の食品部門(冷凍食品セグメント、常温食品セグメント)は17年3月期の売上高871億円に対して、2つのセグメントとも上回る見込みだ。
当社は今期より新中計「Change Kyokuyo2021」がスタートした。中計最終年度の2021年3月期で食品部門は売上高1200億円(冷凍食品1000億円、常温200億円)を計画する。初年度である今期の食品部門は1030億円を計画する。冷凍食品は830億円、常温は200億円だ。
冷凍食品では①直系工場製品中心の販売拡大②畜肉・冷凍野菜の事業拡大③家庭用新分野への商品投入の3点に注力する。直系工場製品中心の販売拡大では、今期の塩釜工場製品販売目標は8000t、キョクヨーフーズ7000tを計画する。そのほか、エィペックスキョクヨー、サポートフーズ、タイのKUEなども強化する。
畜肉・冷凍野菜の事業拡大では、当社は、「魚のキョクヨー」が中心だが、畜肉、冷凍野菜は総合食品会社としては必要だ。畜肉は売上30億円、凍菜は5億円だが、3年後にはそれぞれ100億円、50億円とする計画だ。(詳細を本紙に掲載)
凍菜を全品縦型包装に切替 ―― シジシージャパン
売場効率が高い縦型包装に
シジシージャパンは18日、東京・有明の東京ビッグサイトで開催した合同商談会の席上で、今年度中にPBの冷凍野菜全品を縦型包装に切り替える方針を示した。
同社はこれまで、加工食品などの包装について、売場効率向上の観点から小型化、縦型化を進めるよう食品業界に働きかけてきた。冷凍食品については、先行してPBの冷凍野菜全24SKUを今年度中に順次縦型包装に切替え、今後は他のカテゴリーでも縦型包装の導入を進めていく。
芹澤政満常務は、「今後の新商品は、できるだけ縦型包装にする。縦型包装は、リーチインへ陳列した際に隙間ができにくく、商品数拡大を図れる」とした。
同社では縦型包装への切替によって売場効率が42%向上し、リーチイン什器1面分当たり8品分の商品数を拡大できるとしている。それに伴って、CGCブランドの冷凍食品を既存の50品から55品程度に拡大し、1店舗当たりの取り扱い商品数拡大を図っていく。
【素材系、惣菜、大量目など強化】
また、展示会ではCGCブランドの冷凍食品新商品7品、リニューアル2品を発表した。
今後は、素材系冷食やハンバーグなどのおかず惣菜について開発を進めるほか、SM利用者の高齢化に伴って買い置き需要が拡大すると見て、大袋の「大阪風お好み焼き」(40個、800g)を7月頃に発売し、餃子などの大容量商品の展開も検討していく。
なお、販促面では、加盟社全体で拡販する「今月の1品」の5月度対象商品に、冷凍食品を約3年ぶりに選定した。対象商品は、「おいしい茶豆」(300g)、「塩味付きえだまめ」(400g)の2品。同時購入率の高いビール、ジップロック、浅漬けの素などとの関連販売を図っていく。(詳細を本紙に掲載)