理解促進、イメージ向上図る ―― (一社)日本冷凍食品協会

藤江会長
(一社)日本冷凍食品協会は20日、東京・大手町のパレスホテルで「令和8年度通常総会」を開催した。藤江太郎会長は、冷凍食品について「消費者と企業が『手間を分かち合う』価値を持つ商品」と指摘し、品質や衛生管理に裏打ちされた高い価値に見合う適正価格の実現と、それを通じた賃上げの必要性を訴えた。令和8年度事業計画では、広報事業として「冷凍食品工場で担っている手間の価値」を訴求し、冷凍食品の特性に対する理解促進とポジティブイメージの向上を図る。また、認定制度および認定マークの周知を進める。
開会に当たり挨拶した藤江会長は、現在の日本経済について「再成長の時期に入っている」との認識を示した上で、「必要なコストをしっかり製品価格に転嫁し、さらなる賃上げを実現して景気の好循環につなげていくことが大事な時期である」と述べた。その上で業界を取り巻く環境として次の3点を挙げた。一点目は冷凍食品市場の拡大。2025年の国内消費量が初めて300万tを突破したこと、国内生産量、生産額、一人当たりの消費量も伸長していることにふれ、「約30年前の1996年に200万tを突破し、そこから300万tを超えたことは非常にエポックメイキングな年だと思う」と語った。
二点目は、市場拡大の背景について、「タイパをはじめ、冷凍食品の価値の高さが認められている」とし、家庭用では簡便化志向や個食化ニーズの高まりに加え、外食との比較の中で価値が見直され、数量ベースでもコロナ禍以降初めて増加に転じており、業務用も、外食や中食、給食分野の人手不足を背景に、数量・金額とも引き続き伸長していることを説明した。
一方で、「タイパや簡便性は非常に重要だが、これらに偏りすぎると次の400万t、500万tの実現は厳しい」と指摘。その上で、「冷凍食品本来が持つ美味しさや高品質、長期保存性、供給の安定性といった価値をしっかり伝えることが重要であり、協会としても取り組んでいきたい」と述べた。
三点目には、冷凍食品の価値に見合った価格形成の必要性を挙げた。「会員各社は工場で衛生面や品質面を含め、様々な手間をかけている。ある意味で、消費者と企業が手間を分かち合っているという大きな価値がある」とした上で、「その価値が十分に価格へ反映されていない」とし、「コスト上昇分の転嫁だけでなく、価値に見合った価格への理解を得ていくことが大切だ。労働力人口も減少する中、価値に合った適切な価格を実現し、賃上げにつなげることが、業界発展にも消費者の購買力向上にもつながる」と強調した。
■冷食の価値発信重点に
令和8年度事業計画では、会員への情報発信の充実や、冷凍食品の価値発信を重点施策に掲げた。
広報事業では、「冷凍食品工場が消費者と手間を分かち合っている」ことをテーマに、各種イベントや媒体を通じて、工場が担う前処理などの手間を学べる展示や体験型施策を実施。さらに、冷凍食品工場と手間を分かち合うことで生まれる時間やゆとりの見える化を進める。冷凍食品認定制度については、認定制度および認定マークの継続的な周知と、各種広報施策との連動による認知度向上と理解促進を図るほか、認定工場相互による情報交換・共有の仕組みづくりも検討する。食品表示や環境、物流などの協調領域での取組みも推進する。
役員体制では、今年度は改選期に当たり、役職理事・理事を含めて重任。会社人事に伴い、理事では寺本博之氏(味の素冷凍食品)から南良勉氏(味の素冷凍食品)へ、監事では久留米克志氏(Umios Hokkaido)から足立克弘氏(Umios)へ、それぞれ交代した。
春の叙勲伝達式 藤井氏「自らの責務全う」

藤井氏(左)と映子夫人
農林水産省は19日、東京・霞が関の同省講堂で令和8年春の叙勲伝達式を開いた。藤井幸一(一社)日本冷凍食品協会副会長が旭日双光章を授章した。
藤井氏は「異常気象の常態化で原料の調達が不安定化し、ホルムズ海峡の閉鎖によって、包材などの確保も難しくなっている。メーカー各社が大変な思いをしており、情報交換を密にしながら乗り切らなければならない局面になった。そのような中で、この章は業界全体を代表して授章したと考えている。今後も業界の発展に向けて自らの責務を全うして参りたい」と語った。
社長に高付専務 ―― 大冷

大冷は18日、同日開催の取締役会で代表取締役社長執行役員に高付広昭取締役専務執行役員社長補佐兼経営企画室長の昇格を内定した。冨田史好社長は退任する。6月開催の定時総会・取締役会で正式に決定する。
高付広昭(たかつき ひろあき)氏は1967年3月30日生まれの59歳。1990年3月鹿児島大学水産学部卒、同年4月宝幸水産(現宝幸)入社、2004年4月大冷入社、2012年6月執行役員広域事業部長、2018年4月開発統括本部長、2019年6月取締役、2021年常務取締役、23年6月専務取締役、2024年3月専務取締役社長補佐兼経営企画室長、2025年6月取締役専務執行役員社長補佐兼経営企画室長。