加食の収益性向上へ ―― ニチレイ

大櫛社長
ニチレイは加工食品事業で、収益性の改善と生活者の節約志向への対応を強化する。販売促進費の最適化に加え、価格戦略の見直しとして「価格対応型」商品の投入を進め、全体の販売数量の維持・伸長を図る方針だ。今回の価格戦略の見直しについて大櫛顕也社長は「価格改定により、従来購入いただいたお客様の一部が離反している。これらの方々に対応する商品を投入し、もう一度戻していきたい」と述べ、節約志向が強まる市場環境を踏まえ、価格対応品や販促費最適化による下期の増益転換を目指す。
加工食品事業の収益性改善、生活者の節約志向への対応として、販売促進費の最適化、価格戦略の見直しを行う。販売促進費では、収益性・取引量などを考慮し、費用対効果のある販売促進費の再配分、投入につなげる。
価格戦略の見直しとして収益基盤の「本格炒め炒飯」「特から」などの既存定番商品と高付加価値・高単価のeveryONemealや三ツ星プレートなどパーソナルユースの「食スタイル対応商品」に加え、「価格対応型」を投入し、全体の販売数量の維持・伸長を図る。
価格対応商品とは、規格や包装形態の工夫や多様な顧客ニーズに対応した幅広い加工度を有し、「適正な収益性の確保」と「手に取りやすい価格帯」を両立した商品。
11日に行われた決算説明会で大櫛社長は、「本格炒め炒飯、特からなど既存定番品は、過去の価格改定後は一時的な数量減があっても数量回復、最終的に増益を確保してきた。今年に入り原料が想定以上に高騰。生活防衛意識の高まりもあり改定後も数量が伸びず、増収増益効果が不十分だ。上期に続き下期も厳しい状況で、価格改定+数量増のモデルが機能しづらい。また生活防衛意識の高まりの中で従来、購入いただいたお客様が価格改定後に一部離反されている。現行のラインアップでは対応しきれていない。より手に取りやすい価格帯の商品を市場提案型商品として投入し、離反したお客様をもう一度戻す」とし、「値頃感創出のため規格・包装を見直す。現在、規格を半分にした炒飯や業務用のベースライスなどをテスト導入。収益性を確保した商品設計とする。来期に向け開発資源、設備投資、人材をシフトし商品群を拡充する」とした。
今後は、収益ドライバーの既存定番品の着実な拡販と、高収益の食スタイル対応品に加え、低価格対応品の投入することで、加工食品事業の収益性向上を図る。
増収減益で推移
ニチレイは26年3月期第2四半期を発表した。
連結売上高3477億800万円(前期比0.1%増)、営業利益183億700万円(同7.0%減)、経常利益187億7000万円(同9.1%減)、中間純利益141億4900万円(同9.9%増)となった。
売上高は加工食品事業と低温物流事業が伸長したが、水産・畜産事業の構造改革で前期並み。営業利益は加工食品事業の減益が大きく響き減益となった。
セグメント別では、加工食品事業は売上高1648億円(同6%増)、営業利益82億円(同26%減)。増収も為替影響を含む原材料・仕入コスト増を価格改定効果などで吸収できず減益となった。
国内では、家庭用調理品が米飯類の価格改定の浸透のほか、チキン加工品や今川焼などのスナック類の拡販で5%増収、業務用調理品はチキン加工品や米飯類の販売数量伸長で10%増収、農産加工品は価格改定に伴う販売数量減で14%減収。営業利益は価格改定推進も原材料・仕入コストの更なる上昇や販促費の増加で26億円の減益となった。海外は北米のアジアンフーズ事業は前期並み、タイのGFPT社は欧州向けの加工品販売の拡大で増収。利益は北米での販促費の増加、タイの輸出事業での為替影響(ドル安バーツ高)で7億円の減益となった。
水産・畜産事業の水産は売上高212億円(同20%減)、営業利益5億円(同1044%増)。畜産は売上高250億円(同30%減)、営業利益3億円(同55%減)。水産・畜産共に事業構造改革が計画通り進捗。
低温物流事業は売上高1472億円(同7%増)、営業利益93億円(同23%増)。国内事業が引き続き堅調に推移し増収増益となった。
通期業績予想では売上高は加工食品事業と低温物流事業で伸長もその他(バイオサイエンス)との調整額の減額で当初計画の7000億円、営業利益は加工食品が下期増益に転ずるも55億円下方修正し395億円(前期比12億円増)とする。
冷食売上3.2%減 ―― 味の素
味の素は2026年3月期第2四半期決算を発表した。連結では売上高7388億8100万円(前年同期比0.7%減)、事業利益867億5400万円(同0.2%減)、税引前中間利益800億8900万円(同2.4%増)、中間利益567億3400万円(同1.6%増)、親会社の所有者に帰属する中間利益512億4500万円(同2.0%増)となった。
セグメント別では調味料・食品が売上高4359億円(0.6%増)、事業利益695億円(同1.1%減)、冷凍食品が売上高1385億円(同3.2%減)、事業利益41億円(同39.9%減)となった。
冷凍食品は国内では「家庭用冷凍食品で細分化する生活者ニーズに対応しきれず、値上げ後に主力商品のシェアがPB等に流出し販売が低迷」(中村茂雄社長)。北米も米国による関税影響、得意先の販促タイミングが下期にずれ込んだことにより売上・利益ともに前年を割った。
冷凍食品事業の今後の取組みでは、国内では既に「ギョーザ」の価格戦略の見直しを図っており、来春に向け製品力・採算性を両立させたギョーザ改訂品も計画。中長期的には松竹梅を意識した製品ラインアップの拡充を進めていく方針だ。
■中村社長、「国内冷食への打ち手で成長回復」
中村社長は、「課題は加工用うまみ調味料と冷凍食品事業にあると認識しており、これらの領域に対ししっかりとマネジメントしていく。課題の本質をちゃんと把握することが肝要だ。加工用うまみ調味料と国内冷凍食品事業への打ち手による成長回復に加え、海外食品事業では着実な数量成長、国内食品事業ではコロナ前の利益率の回復を実現する」とした。
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北米、欧州好調で大幅増益 ―― マルハニチロ
マルハニチロは10日、2026年3月期第2四半期連結決算を発表した。
売上高5366億9700万円(前年同期比0.9%増)、営業利益187億400万円(同16.6%増)、経常利益183億3200万円(同16.8%増)中間純利益は124億5500万円(同9.8%減)と増収、大幅増益となった。
営業利益は中間期として過去最高を更新。特に北米ユニットの収益改善と欧州事業の好調が貢献した。
セグメント別では、水産資源は売上616億円(同0.6%減)、営業利益10億円(前期は23億円の赤字)と黒字転換。北米ユニットの主力製品のスケソウダラ相場が堅調に推移したこと、生産拠点統合によるコスト低減や米国でのカニカマ製品の販売好調等が貢献し大幅に収益改善した。
食材流通事業は売上高3708億円(同0.1%増)、営業利益92億円(同0.9%増)。国内外での水産物の販売単価上昇や25年5月に取得した欧州子会社の利益が貢献するが、畜産事業の収益構造の見直しで売上利益とも前年並み。食材流通ユニットは、グループ内連携を強化し、業態ニーズを的確に捉えて販路拡大し増収も、業務効率改善や生産性向上に注力したがコスト上昇分をカバーできず増収減益となった。同ユニットの中での業務用冷凍食品は増収増益。焼きそば、鶏肉加工品など求めやすい価格、汎用性ある商品など底堅い需要となった。加工食品セグメントは売上高939億円(同4.7%増)、営業利益75億円(同6.9%減)。ペットフード事業(タイ)の北米向け販売や国内事業の価格改定効果などで増収。一方で原材料高値水準継続によるコスト増で減益。加工食品ユニットの市販用冷凍食品は増収も利益は苦戦した。
同社は投資家層拡大を目的に、12月31日を基準日として普通株式1株を3株に分割する。また2026~2028年の3年間、新社名「Umios」への変更を記念した株主優待を実施する。
各段階利益が10%増益 ―― ニッスイ
ニッスイは6日、2026年3月期第2四半期決算を発表した。連結業績は売上高は4529億4300万円(前年同期比2.8%増)、営業利益197億9100万円(同14.6%増)、経常利益212億1300万円(同11.2%増)、中間純利益142億9600万円(同13.7%増)。養殖や北米水産加工の改善に加え、CVSベンダーの国内チルド事業の好調が寄与し、各段階利益は10%以上の増益となった。
セグメント別の水産事業は売上高1788億円(同1.8%増)、営業利益60億円(同73%増)。養殖は販売価格が上昇したことに加え、養殖成績が改善したこともあり大幅増益。北米は加工の改善と商事の好調が寄与し、国内商事の苦戦をカバーした。
食品事業は売上高2517億円(同5.0%増)、営業利益168億円(同3.1%増)。海外は欧州での販売エリア拡大や白身魚原料のマネジメントが奏功し増益。国内は、チルド(CVSベンダー)は好調に推移したものの、米・すりみ原料価格の上昇をカバーしきれなかった。単体の食品事業売上高は818億円(同0.6%増)。家庭用調理冷食は208億円(同0.4%増)、業務用調理冷食273億円(同2.4%増)、農産冷食65億円(同0.2%減)。
家庭用は、〈まんぞくプレート〉や「ちゃんぽん」、「レンジで作るミックスフライ」など好調。業務用は焼売類が好調だった。また海外冷凍食品会社の家庭用合計は349億円(同5.6%増)、業務用合計は379億円(同0.8%減)だった。
下期の食品事業は北米・ゴートンズ社、仏・シテマリン社の生産能力増強、国内では、個食・簡便・健康など消費者ニーズに対応した差別化商品の展開を図る。
ファインケミカル事業は売上高71億円(同2.6%減)と微減したが、サプリメント向け原料の国内販売が堅調に推移した。物流事業は売上高83億円(同1.2%増)、営業利益12億円(同6.5%減)。人員増による人件費上昇や燃料費の高止まりが響いた。
通期目標は売上高9000億円、営業利益345億円、経常利益355億円、当期純利益250億円を計画する。